ルノーのコンパクトSUV「キャプチャー」に追加された「E-TECH HYBRID」に今尾直樹が試乗した。
適度にスポーティな乗り心地
新型シエンタのヒットは確実か──トヨタの巧みなクルマづくりを考える!
「アルカナ」、「ルーテシア」に続いて、コンパクトSUVのキャプチャーにも、ルノー独自のハイブリッド・システム、E-TECH HYBRIDを搭載したモデルが上陸した。発売は9月1日からで、そのキャプチャーE-TECH HYBRIDにいち早く試乗したのでご紹介したい。というか、ご紹介すべく試乗したのでした。
筆者はアルカナE-TECH HYBRIDに乗ったことアルカナ? はい。ルーテシアE-TECH HYBRIDはアルカナ? ナイカナ? ないのでありまして、ルーテシアとの比較はできない。なので、アルカナと較べてどうなんだろう? という興味を持ってキャプチャーE-TECHにのぞんだ。
1クラス上のアルカナは車重1470kg、キャプチャーは1420kgで、50kg軽い。前者のホイールベースは2720mm、後者は2420mmである。おなじパワートレインを少々小さくて軽いクルマに積むわけだから、キャプチャーのほうが切れ味はある。と、考えるのが当然だろう。
ところがそうともいえなかった。キャプチャーE-TECH HYBRIDは不思議なクルマだった。渋谷で乗り込んで、スターター・ボタンを押すと、エンジンがヴァフォン! とかかったので、ちょっと驚いた。マンションの中庭だったから音が反響したことはある。ハイブリッドなのに元気なクルマだ。と、思った。
ところが、発進時はEV走行となり、40km/h程度までそれを維持する。つまり、とっても静かなのだ。足まわりはガソリン仕様のキャプチャーそのままに、タイトで弾力感がある。
もっと平たくいうとフワフワでもガチガチでもなくて、プラスティックの下敷きを机の上に斜めに当てているときみたいな感じ。って、かえってわかりにくいでしょうか。なんというか、適度にスポーティな乗り心地、といってもよい硬さで仕立てられている。
エンジン・サウンドもなかなかよい
試乗したのは、ちょうどお盆休みに入る直前で、渋谷から首都高速の池尻の入路までの246号も混んでいた。池尻では電光掲示板が東京料金所から海老名まで渋滞、と告げており、箱根方面に向かおうと思ったけれど、諦めた。それで、とりあえず第三京浜経由で横浜方面に向かうことにした。
第三京浜を制限速度の80km/hで走りながら、エネルギーの動きを表すモニターを観察していると、バッテリーとエンジンとタイヤの三角関係の→、すなわちエネルギーの動きがコロコロ変わっていることがわかった。アクセルを軽く踏むとエンジン→タイヤになって、エンジンがタイヤを駆動しているかと思えば、次の瞬間には、アクセルを無意識にゆるめていたのだろう、バッテリー→タイヤ、つまりEV走行になり、次の瞬間にはエンジンから→がタイヤとバッテリーの両方に向かっていたりもする。いつの間にか路面が坂道になっていたのだ。
エンジンが始動したか停止したかは、ロード・ノイズが一定程度入ってくることもあって、ほとんどわからない。モーター駆動になったからといって加速の様子が変わらないし、エンジン駆動になったからといって、また然りである。
制御がよくできているんだなぁ。てなことを思いながらドライブしていたら、横浜に着いちゃったので、もうちょっと走ってみよう。とアクラライン経由で木更津方面に向かい、館山道を少々南下し、内房の山道も走ってみた。
高速と山道でスロットルを全開にしてみると、アルカナとちょっと違うのは、エンジンの存在がはっきりとわかることだ。タコメーターがないので回転数は不明ながら、高回転域ではっきり、ぶううううううう、という乾いたサウンドが、やや控えめながらはっきりと聞こえてくる。なかなかいい音である。
E-TECH HYBRIDのシステムそのものはアルカナとまったくおなじ。なのに、キャプチャーの場合はモーターがあまり目立たない。というか、エンジンが前面に出ている。もしや電池の容量が異なるのか……と、思ったけれど、リチウム・イオン電池も含めて、アルカナと同じなのである。
E-TECH HYBRIDの仕組み
いまさらながら、ここでE-TECH HYBRIDについて簡単におさらいしておくと、ICE(内燃機関)は1.6リッターの直列4気筒DOHCの自然吸気ガソリンで、最高出力94psを5600rpmで、 最大トルク148Nmを3600rpmで発揮する。ほかにメインとサブ、ふたつの電気モーターを持っており、メインの駆動用モーターは49psと205Nm、サブのスターター&ジェネレーターは20psと50Nmを発揮する。
0~40km/hまではおおむねモーターが駆動し、40~80km/hではモーターとICEが協力し合う。80km/h以上の高速巡航はICEのほうが、効率がよいのでICE主役となり、加速時にはメイン・モーターが加勢する。サブ・モーターはほかに仕事があるので直接駆動にかかわることはない。
E-TECH HYBRIDの最大の特徴は、ICEとメイン・モーターを、電子制御ドッグクラッチマルチモードATという長い名前のトランスミッションがつないでいることだ。このATはエンジン側に4枚、モーター側に2枚のギアを持っていて、それをクラッチ、シンクロなしのドッグクラッチにより変速する。このとき、ドライバーに代わってギアの回転を合わせるのが、サブ・モーターの仕事なのだ。
サブ・モーターが変速時に回転数を合わせる。というコンセプト自体、最近試乗したスズキ「エスクード・ハイブリッド」もそうだった。ところが、E-TECH HYBRIDはルノーがF1カーでも採用しているドッグクラッチを使っている。その変速は電光石火。ほとんどシームレスで、ショックは文字通り皆無。ドライバーにはいつ変速したのか、さっぱりわからない。それほどスムーズで、びっくりである。
最大の美点は、ちゃんとギアを介していることにより、エンジンの回転フィールとサウンドが、加速感とピッタンコにシンクロしているところにある。
ヨーロッパのひとは、やっぱりエンジンが好きなのだ。ニッポン人は、ま、燃費がいいのならいいんじゃないですか、とCVTを許容する。でも、あちらのひとたちは、これはちょっと……とCVTは結局受け入れなかった。それと相通じるものがここにはある。
ニッポンのバケーションでも最適
おそらくキャプチャーE-TECH HYBRIDのほうが、車格的にアルカナよりも遮音材が少ない。おなじプラットフォームでも壁の間の詰め物が異なることで、アルカナよりもキャプチャーは、サイズもさることながら、庶民的なのである。
不思議と50kgの軽さもホイールベースの短さはスポーティネスにはつながっておらず、E-TECH HYBRIDは1.3リッター・ターボのガソリン仕様に較べて、あちらもなかなか静かなクルマだと記憶するけれど、それよりも静かで、近所の買い物から、家族とか友だち4人と、あるいはドライバーを含めてふたりと荷物をたくさん積んで、おしゃべりを楽しみながらバケーションに行くのに適した能力を備えている。
キャプチャーE-TECH HYBRIDはディーゼル並みに燃費がよくて、燃料代の節約になり、でもディーゼルと違って、Noxを出してはいまいか……
と、頭を悩ませる必要がない、ということでも、たいへん真面目なコンパクトSUVなのだ。
日頃、筆者は自動運転アシストを使わないけれど、この日の帰りはアクアラインの木更津側から料金所の手前から渋滞だったからだ。ACC、いわゆるオート・クルーズ・コントロールで先行車にくっついて、加速と停止を繰り返してくれるだけでも助かった。
ニッポンのバケーションでも最適ではあるまいか。
文・今尾直樹 写真・安井宏充(Weekend.)
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