この記事をまとめると
■8月に入り、電力不足を心配する声が大きくなっている
猛暑で電力不足の危機! 「電力需給ひっ迫注意報」が出てるのにEVに乗るのはアリ?
■夏の電力消費の約3分の1がエアコンによるもの
■自動車オーナーができる節電について解説する
夏は一日4kWh程度の電力をエアコンによって消費している
8月になって電力不足を心配する声が大きくなっている。岸田首相が原発再稼働について具体的なスケジュールなどを指示したという報道もあるが、タイミング的には冬季の電力需要増には対応できても夏場の電力不足をカバーするには間に合わない。
さて、夏場の電力需要が増える主な原因は冷房(エアコン)なのはいうまでもない。一般家庭における電力消費のおよそ3分の1がエアコンによるものになっているという。電力量でいえば、毎日4kWh程度を家庭用エアコンで消費しているといえる。
とくに一日の中で、電力消費のピークとなるのが14時頃だ。やはり気温の上がる時間帯には、冷房に要するエネルギー(電力)が増えてしまうと捉えることができる。
こうした夏の電力不足に対して、自動車オーナーが節電に協力できるようなことはあるのだろうか。
まず直接的に有効なのは、電力消費をシフトすることだ。
冷房を我慢して消費電力を減らすのも、それに耐えられる人ならいいが、熱中症などで倒れてしまうと、さらに医療行為などでの消費電力が増えてしまう。がんばり過ぎるのもかえってNGといえる。暑い盛りの時間帯にもエアコンを使用しつつ、消費電力を減らす方法を考えなくてはいけない。
そうした方法のひとつが、電気自動車(EV)を蓄電池設備として利用して、電力消費の時間帯をシフトするという手段だ。これをV2H(ビークル・トゥ・ホーム)という。
夜間など電力需給に余裕のある時間帯にEVのバッテリーを充電しておいて、その電力を昼間に利用することにより、エアコンなどの利用を我慢することなく、電力需給のひっ迫に対してポジティブな効果を生むことできる。
ただし、このためにはV2Hと呼ばれる機能を実現する設備の導入が必須となる。そして、V2H機器の導入には数十万円のコストが必要である。
地方自治体によっては数十万単位の補助金が期待できることもあるため、実質的な負担はそれほどでもないが、節電に協力するためにV2Hを導入しようというマインドであればいいものの、コストパフォーマンスを優先して考えるタイプのEVユーザーにとっては積極的に導入したいとはならないだろう。
キャンプや車中泊は節電系レジャーだ!
そもそもEVやPHEVのユーザーでなければV2Hは導入できない。エンジン車ユーザーは節電に協力できることはないのだろうか。
たとえば、地域によって電力需給のひっ迫リスクは異なっている。経済産業省の発表によると、電力需給の安定供給指標である予備率について、8月の東京は4.4%ということだが、北海道は12.5%と余裕しゃくしゃくの状態となっている。
夏場のドライブ目的地を避暑地にすることで、電気を使うユーザーである自分自身をシフトするというのも、大きな意味では節電的な行為といえるかもしれない。
新型コロナウイルスの流行により、リモートで働くというスタイルが増えてきているが、ワーケーション(ワークとバケーションを合わせた造語)といってリゾート地でテレワークをするといったトレンドも生まれている。
単なる気分転換や新しい働き方としてのワーケーションではなく、電力需給を考慮して冷房を使わずに済むような避暑地へクルマで移動するというのも、節電につながるだろう。
近年、キャンプや車中泊も流行しているが、これらは基本的にアンプラグドな行為であり、節電につながるレジャーといえる。
これまた目的地に涼しい場所(避暑地や山中など)を選べば、夜も快適に過ごせるだろうし、アウトドアで過ごしている間においては電力消費をゼロとできるわけだから、節電に協力しているといえなくはない。
というわけで、今年の夏は“節電に協力する”ために避暑地に向かってドライブして、アウトドアレジャーを楽しむというのが自動車ユーザーのすべき、クルマの楽しみ方なのかもしれない。
ちょっと無理やりな感じもあるが、少なくともクルマで移動している時間帯においては、電力消費を減らしているのは間違いない。冷房の効いた家でゴロゴロしていたくなる暑い日だからこそ、積極的にドライブを楽しむのも悪くなさそうだ。CO2排出削減という世界的なテーマに対してはネガティブな行為からもしれないが……。
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どのみち総発電量が不足する冬のピークではどの時間帯に充電しても電気自動車は負荷になる。