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やっぱり日産「エルグランド」にe-POWERが欲しかった!? 10年目のマイチェンの成果とは

掲載 更新 28
やっぱり日産「エルグランド」にe-POWERが欲しかった!? 10年目のマイチェンの成果とは

■2回目のマイナーチェンジを受けた「エルグランド」

 日産の内田誠社長兼CEOは事業構造計画発表「NISSAN NEXT」の会見で「積極的な新車投入」を公言しました。

アルファードを超える? トヨタが新型高級ミニバン「マジェスティ」発表!

 具体的には2021年までにグローバルで12の新型車を投入、そのいくつかはすでに発表されています。

 その一方で、そこからまだ抜け出せないモデルもいくつかあります。そのひとつがラージクラスミニバンの「エルグランド」です。

 初代モデルは1997年に登場。ミニバンとしての広い空間だけでなく、高い動力性能や運動性能を備えた「高級ミニバン」の元祖といってもいいでしょう。

 ライバルに対して圧倒的な優位性を持ち、誰がいったか「キングオブミニバン」の称号も与えられました。

 3代目となる現行モデルは2010年に登場。北米向けの「クエスト」との統合モデルとなり、駆動方式はそれまでのFRからFFへと変更されました。

 デビュー当初は高い人気を誇っていた現行エルグランドですが、高級ミニバンの双璧・トヨタ「アルファード/ヴェルファイア」が2015年3代目にフルモデルチェンジし、商品性を飛躍的にアップしたことにより風向きは大きく変わりました。

 このとき、エルグランドはタイミング的に大幅改良の時期でしたが、あてにしていたクエストが不人気で2016年に販売終了。国内専用モデルに戻ったことで開発は後回しになったのです。

 ただし、その間、何もしなかったわけではなく、小改良や特別仕様車の投入もおこなわれましたが、販売は大きく減少。現在はアルファード/ヴェルファイアの10分の1といった状況です。

 とはいっても、月に数百台レベルの安定した販売はおこなわれています。恐らく、「販売終了は困る、ミニバンがセレナ一車種では厳しい」という営業サイドの声と、「フルモデルチェンジさせるほどの投資は厳しい」という経営サイドの声から、今回2回目のマイナーチェンジとなったのでしょう。

 この辺りはデビューから9年目に大幅改良されたトヨタ「エスティマ」(2020年に生産終了)と同じ境遇です。

 では、エルグランドはどのようなアップデートがおこなわれたのでしょうか。

 まずエクステリアですが、フロントマスクをアップデート。従来は横基調だったグリルをドット調への変更やヘッドランプの変更(LED化)、初代モデル以来となる2トーン塗装などが実施されています。

 これらにより従来モデルで弱かった「煌びやかさ」と「力強さ」が引き上げられていますが、AUTECHのファクトリーカスタムモデル共通のフロントマスクに寄せたかなと感じましたが、ほかの部分は従来モデルと変わっていません。

 ちなみに今回の改良で、エルグランドから標準モデルは消え、すべてスポーティモデルの「ハイウェイスター」となっています。

 インテリアの変更は利便性の向上が主です。具体的には8インチから10インチに大型化されたディスプレイに合わせて、インパネセンターのデザインをアップデート。

 ナビやオーディオの操作がタッチパネルに集約されたことで操作性はアップしていますが、エアコンの操作系だけ残されたシフト周りは無駄に面積が広くスカスカな印象は否めません。

 トリプルオットマン+中折れ機能付きセカンドシート(7人乗り)や走行時の疲労を低減させる3層構造シート、3列目シートスライド機能(240mm)などを採用する室内空間は変わっていませんが、シートは連続したキルティングパターンの採用によりモダンで嫌味のない高級感に仕上がっているように感じました。

■待していたe-POWER搭載が見送られた

 今回は先進安全技術も充実もポイントで、インテリジェントFCW(前方衝突予測警報)、ハイビームアシスト、インテリジェントLI(車線逸脱防止支援システム)/LDW(車線逸脱警報)、標識検知機能、踏み間違い衝突防止アシスト、インテリジェント エマージェンシーブレーキ、インテリジェントBSI(後側方衝突防止支援システム)/BSW(後側方車両検知警報)、RCTA(後退時車両検知警報)などで全方向から運転をサポートする「360°セーフティアシスト」を全車に採用。

 また、長距離ドライブに役立つインテリジェントクルーズコントロールも全車標準装備になったものの、残念ながら今回も全車速対応ではありません。

 この辺りはマイナーチェンジで新世代「トヨタ・セーフティ・センス」へと刷新させたアルファード/ヴェルファイアと比べてしまうと苦しいですが、無いよりはあったほうがいいのは事実です。

 今回は走りに関する変更のアナウンスはありませんが、従来モデルと比べるとボディのシッカリ感やヒョコヒョコした動きが減った乗り心地、そして静粛性アップなどを感じました。

 これまでの経験から推測すると、作り込み精度アップや数値に表れない細かなリファインが効いているのでしょう。

 すでに登場から10年が経過するエルグランドですが、低床化や全高の抑制による低重心化やボディの高剛性化、アルミ製の前後サスペンションリンクやリバウンドスプリング内蔵のショックアブソーバー、リアマルチリンクサスペンション採用などによる基本素性の良さは健在です。

 コーナリング時の安定性としなやかな足さばきなどは「今でも十分通用するレベル」だと感じる一方で、芯が細くルーズなステアフィールは時代を感じさせる部分も。

 2.5リッター直列4気筒エンジン+CVTのパワートレインは必要十分な性能を備えているものの、アクセルを踏んだときの応答性やCVTの変速制御といった部分はドライバーの意志とはちょっとズレがあるように感じました。

「それならe-POWERを搭載してよ」といいたい所ですが、そのためにはほぼ全面刷新レベルの変更が必要だといいます。

※ ※ ※

 限られたリソースのなかで、エルグランドのイメージチェンジはできたと思います。

 もちろん、さまざまな事情で手を入れたくても手を入れられなかった部分があるのもよくわかりますが、「まだまだ現役を続行」というのであれば、もう少し手を入れてもよかったのかなと思うのも事実です。

 その辺りのモヤモヤはファクトリーカスタムのオーテックが解決してくれることを期待したいです。

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みんなのコメント

28件
  • 次のアルヴェルのモデルチェンジした後もこのまま売りつづけるんだろうね。小手先だけではもうダメなんですよ時代遅れの車は。
  • 日産自身が「エルグランドのアップデートには金かけられん」って言ってるんだから、仕方ないじゃん。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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