インドア志向の癒やし系ユーザーがターゲット
10月1日、日産自動車(以下、日産)は『NV200バネットMYROOM(マイルーム)』を発表。12月からの発売を予定している。
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NV200バネットMYROOM(以下、バネットMYROOM)は、昨年11月に発売して好評を博した特別仕様車『キャラバンMYROOM Launch edition(ローンチエディション)』、そして今年7月にカタログモデルとなった『キャラバンMYROOM』に続く、車中泊に対応したMYROOMシリーズの新たなモデルだ。
じつは、日産にはMYROOMシリーズとは別に車中泊に対応した『マルチベッド』というシリーズも、キャラバンやNV200バネットに設定して展開している。両車の違いは、マルチベッドがアウトドア志向のアクティブ系カスタマーをターゲットにしているのに対し、MYROOMではインドア志向の癒やし系カスタマーがターゲットとなっている。
MYROOMシリーズのコンセプトは「MYROOM into the nature」。自分のお気に入りの部屋ごと自然の中に持ち込んでリラックスできるクルマ。つまり、クルマで出かけるのではなく、部屋にタイヤがついていて、部屋ごと出かけるイメージだという。
しかも、キャラバンMYROOMでは比較的ゆとりのあるサイズのため家族での使用も想定しているが、バネットMYROOMではソロ活でも楽しめ、ふたりまでで使うのがちょうど良いサイズで、安心感や居心地の良さを与えることを目指している。
ベース車は、バンDX。したがって4ナンバー登録となる。エンジンは1.6Lで、2WDはCVT、4WDは4速ATとの組み合わせとなる。車両価格は、2WDが464万3100円、4WDが496万7600円だ。
発売は今年12月からの予定だが、10月1日の発表以降、地方のキャンピングカーショーやジャパンキャンピングカーショーに出展予定だ。まずは10月26日・27日の大阪キャンピングカーフェア2024で初お披露目される予定だ。
より「マイルーム」らしさにあふれたインテリア
それでは、バネットMYROOMの概要を紹介していこう。
ボディカラーは、ミッドナイトブラック、ホワイト、ダークメタルグレーの他に、サンドベージュ/ホワイトのMYROOM専用ツートンも設定。スライドドア/リアサイド/バックドア/スライドガラスウインドウ(両側)にはプライバシーガラスを採用し、ブラックのスチールホイールが足元を引き締める。リアクオーターウインドウ/バックドア用のMYROOMステッカーはディーラーオプション設定される。
木目調ステッカーが貼られたインテリアでは、ヘリンボーン生地の平置きベッドと2 in 1リアシート、スライドテーブルを設置し、バックドアやスライドドアもトリムされて、室内を広く感じさせる。天井のウッドルーフパネルはスポット照明付きで、ルーフサイドにも間接照明が備わる。AC100V外部給電システムと停車時換気システムも標準装備。カーテンはオプションとなる。
ベッド上の高さは953mmあり、大人がベッドに座っても頭がぶつからない高さを確保。ベッド下も260mmの高さがあり、1000Whクラスまでのポータブルバッテリーや買い物かごなどが積載可能だ。ベッドは長さ1840×幅1200mmのセミダブル幅で、両側の壁面には十分な収納スペースもある。
2 in 1のリアシートは、座面を前側に起こして背もたれを前側に倒すと停車時には後ろ向きのソファになり、背もたれを後ろに倒せばベッドとして活用できる、なかなかの優れものだ。
また、2WDには積載に応じバネ乗数が変化するコンフォートサスペンションを採用。リアシートの乗員にも乗用車ライクな快適な乗り心地が得られるようなセッティングとなっている。
なお、ベース車のNV200バネットは今年7月に一部仕様向上され、踏み間違い衝突防止アシストやバックソナー、インテリジェントDA(ふらつき警報)といった運転支援装備や、7インチのアドバンスドライブアシスト・カラーディスプレイといった快適装備も設定。もちろん、これらはバネットMYROOMにも備わっている。
キャラバンMYROOMよりも幅広い年齢層をカバー
コロナ禍により、不特定多数の人との接触を避けて旅行したいと考える人が増え、キャンピングカーの人気が高まった。この傾向は脱コロナの2023年以降も続いており、2023年には1万90台ものキャンピングカーが生産された(出展:2023年キャンピングカー白書)。
しかも、バンコン(ワンボックスやミニバンをベースに架装したもの)やキャブコン(キャンピングカー専用のシャシに居住スペースを仮装したもの)といった本格的なキャンピングカーだけでなく、MYROOMシリーズのようなモデルから軽自動車ベースのものまで、さまざまな車中泊仕様のカスタマイズ車が増加している。
MYROOMシリーズの第1弾となったキャラバンMYROOM Launch editionは発売後、約3ヵ月で190台を完売したほどだ。さらに、NV200バネットのクラスでも車中泊車仕様を望む声が高いといった背景から、バネットMYROOMが生まれたというわけだ。
キャラバンMYROOMのターゲットカスタマーは、夫婦やファミリーで出かけ、キャブオーバーバンの運転も問題なく、車中泊での仕様を前提とした人たちだった。
だがバネットMYROOMでは、MYROOMとしての価値観は変わらないものの、夫婦でもひとりでも出かけ、ミニバン同様の運転のしやすさを求め、日帰り旅行をはじめ送迎や買い物といった日常使いにも、といったカスタマーを想定している。
年齢的には50~60代の夫婦で、子育てが終わった”エンプティネスター”と呼ばれるポストファミリー。旅好きで、夫婦でもひとりでも外に出ることを好む。審美眼を持ち、良いものや非日常感を求めている。そして自分たちのペースを大事にする。現在の保有車は、SUVもしくはミニバン。ターゲットカスタマーのイメージは、こんなところだろうか。
「ひとりでゆったり、ふたりでぴったり」といった、ジャストフィットサイズのNV200バネットMYROOMの登場で、日産のMYROOMシリーズの人気はさらに高まりそうだ。となると、いずれは「セレナMYROOM」なんていうのも登場するのでは……? といった期待まで抱かされてしまいそうだ。
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