4WDやオフロード車でなくてもSUV
2023年現在、頻繁にSUVという車種の名前を聞きます。国内外のメーカーを問わず、ほとんどがこのSUVという車種を製品としてラインナップしており、世界的にもトレンドになっていますが、一体どのようなクルマを指す意味なのでしょうか。
SUVとは「スポーツ・ユーティリティ・ビークル」の略称です。日本では「多目的スポーツ車」などと呼ぶこともあり、そちらの方が分かりやすいかもしれません。1980年代のアメリカでこの言葉は定着し始め、日本には1990年代後期頃から使われ始めたといわれています。なお「スポーツ」の意味は野球やサッカーなどの競技的な意味合いではなく、アウトドアレジャーやキャンプのために荷物をたくさん積んだり、整備されていない道路を走行するなど、広い意味での娯楽を指しています。
実はこのSUVという表現はかなり幅が広く、どこまでをSUVとするかもメーカーや識者によって様々なようです。
例えば、トヨタ車を例に出すと、小型車の「ヤリス」から派生した「ヤリスクロス」と、誕生以来ずっと本格的な4WDオフロード車である「ランドクルーザー」は同じSUVのくくりです。
大雑把に分けると、車体の大きさで「コンパクトSUV」「ミドルサイズSUV」「フルサイズSUV」、クルマのスタイルで「クロスオーバーSUV」「クロスカントリーSUV」などといった分類がありますが、このうち前述した「ランドクルーザー」やベンツ「Gクラス」の入るクロスカントリーSUVは、「クロスカントリービークル」と分けて呼ぶ人もいます。また、クロスオーバーSUVの場合は、整地された路面を走ること、つまり“街乗り”に重点を置いているクルマであり、わざわざSUV扱いするのはどうなのかという論もあります。
いうなれば雑な分け方で、現在30代 40代の人が子どもだったころに、母親がスーパーファミコンもPCエンジンもメガドライブもネオジオもセガサターンもプレイステーションも全部「ファミコン」と呼んだのと同じ状態かもしれません。
なお、元日産のエンジニアでモータージャーナリストの水野和敏さんは、雑誌『ベストカー』の2017年8月10日号で、SUVの定義について質問された際に、SUVとは車種によってその人の社会的なポジションが分かってしまうことを回避する、脱ヒエラルキーの象徴であり「従来のような定義された車型ではありません。ユーザーの欲求を満たす新たな価値観なのです」としています。
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みんなのコメント
本格クロカン車をSUVと言ったら、「そんな軟弱なものと一緒にするな。」
そうかと言って、本格クロカン車以外をなんちゃってSUVなんて言い方もするし。