要望したのはリフトとターンテーブル、そして秘密の階段
「ガレージに居住空間が付けばそれでよかったんですよ」と施主のOさんはいう。
奥さまは隣りで苦笑い。けれど、30坪に満たない土地に車を3台収めようと思えば、しかも細い路地の奥にあって、車の通れる間口が2mしかないとなれば、あながち施主の言葉は戯れ言ではなく本心。「そこに家族が3人住めるなんて!」という望外の喜びもにじみ出ているように思う。
この土地を購入して家を建てたのは約25年前。
「インナーガレージなんていう言葉も知らなかった」から、カーポートを用意。ロータス ターボエスプリを購入した際に、アコーディオンガレージという簡易ガレージにした。
「けれど湿気がひどく、シートにカビが生えたりして大変でした」
年を重ねるにつれ収入も増え、ついに4年前「土地はあるから、上物だけなら」とインナーガレージのある家に建て直すことを決意。その際の愛車は先のロータスと、E36ベースのアルピナ B6。
「それと息子の車を入れて3台。出し入れしやすいようにと考えたら『リフト』と『ターンテーブル』は必須だと思ったんです」
他にも書斎やそこに繋がる秘密の動線など、希望条件を提示して、広く建築家を募れるサイトを利用したところ、複数の建築家から提案が届けられた。そこからOさんは車好きの建築家に絞り込んだ。
「僕の気持ちを理解できるのは、やはり同じように車が好きな人だと思ったんです」
それでも土地条件が厳しいことに加え「とりあえず」と施主が提示した予算額に縛られたのか、思うような提案がなかった。
ところが建築家の田邉さんは違った。
提示された予算にこだわらず、現地を見て「しばらく思案していたら『こういうのなら作れる』というアイデアわいたんです」。それを模型にして持っていくと、家族満場一致で「いいね!」だった。
スキップフロアも条件の一つだったそうだが、田邉さんはその意図を詳しく聞かずとも「あ、こういうことね」と理解し、段差を利用してリビングからリフトアップされた愛車を眺められる構造にしていた。
Oさんは「まるで僕の頭の中を、田邉さんが模型で見せてくれた感じだった」という。 こうして出来上がったO邸だが、この取材で久しぶりに訪れた田邉さんはビックリした。
あの時「この車を収めたい」と依頼され、あれだけリフトやターンテーブルの緻密な配置に腐心したはずのロータスとアルピナがないのだ。
「実は交差点で出合ったキャデラックATS-Vに一目惚れして、アルピナを手放したんです」とOさん。ガレージにはキャデラックのロゴまで掲げられている。ではロータスは?
すでに購入のめどはついているが、納車にまだしばらく時間がかかる車があるという。その購入資金として手放したのだ。
その車とは? 写真を見れば読者諸兄もブランドは察しがつくだろう。では車種は? 「そこは秘密にしておいてください」とOさん。
都心の細い奥に潜む、秘密基地のようなガレージハウスに、Oさんが恋い焦がれている1台が、来年にはやって来るようだ。 ■所在地:東京都■主要用途:専用住宅■構造:RC造+木造軸組■敷地面積:93.64 平方メートル■建築面積:55.35 平方メートル■延床面積:151.48 平方メートル■設計・監理:田邉恵一(田辺計画工房)■TEL:03-5768-2878
※カーセンサーEDGE 2021年2月号(2020年12月26日発売)の記事をWEB用に再構成して掲載しています 文/籠島康弘、写真/尾形和美
田辺計画工房【EDGE HOUSE】他のガレージハウスを見てみるカーセンサーEDGE.netはこちら
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