ポルシェを愛する写真家が選んだスイスの峠道
『カーブス・マガジン(Curves Magazine)』の設立者、そして編集長を務める写真家シュテファン・ボグナー。彼が選んだ最新のロケーションは、スイスのゴッタルド峠だった。今回の旅のお供は、最新の911 スピードスターを筆頭に様々な世代のポルシェたちだ。
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人間の移動手段の歴史を紡いできたゴッタルド峠
ゴッタルド峠の歴史は、人間の移動手段の移り変わりを示している。シェレネン渓谷への山道が開かれた1200年代、人々は徒歩で険しい道のりを行き来した。その後、交易の需要の増加に合わせるように道が整えられ、馬や牛が通れるようになる。ゴッタルド峠に初めて馬車の通行が可能な道路が登場したのは1830年代。駅馬車の時代を経て、1882年には初の登山鉄道が開通している。
20世紀初頭には自動車の通行が始まり、合わせて道路工事も行われた。第二次大戦後、1940年代~1950年代にかけて沸き起こった個人旅行の大ブームにより、ゴッタルド峠は現在の姿へと整備された。1980年には全長17kmのゴッタルド道路トンネルが開通。これにより、かつて数日間を要したアルプス越えは、たった15分のドライブへと変貌している。
自由な自動車での往来が可能になった現在。ゴッタルド峠は800年に及ぶ、人類の交通の歴史を目の当たりにできる貴重な場所となった。アルプスの山々を縫うように作られた曲がりくねった道は何世紀にもわたって進化し、建築と自動車や鉄道などの進化によってより速く、そしてより快適に移動できるようになったのだ。
無数の犠牲者を出した悪魔の橋を渡るポルシェたち
かつて、あまりの過酷さにアルプス越えを諦めた人々のことを考えれば、この曲がりくねった山岳路をポルシェのスポーツカーで走行するというのは、非常に象徴的な行為と言えるだろう。特にゴッタルド峠で最も有名な、ロイス川に架けられた「悪魔の橋(The Devil’s Bridge)」は、この川を渡るために何人もの人々が亡くなっているのだ。
この峠に死を覚悟して挑んだ人々がいたことが幻のように、現在のゴッタルド峠はドライバーの琴線をくすぐる素晴らしいワインディングロードが広がっている。ここを走ることは、多くの自動車ファンにとって憧れですらある。
軽快にスピードを上げる356 スピードスターは、よりプリミティブな感動を我々に訴えかけてくるだろう。それはステアリングやシートから伝わってくる路面からのインフォメーション、ガソリンの匂い、ギヤボックスやブレーキの感触、ドライバーの五感を常に刺激してくれる。
356から911へと受け継がれた“スピードスター”の精神
そして、356のスピリットを受けついた、新型911 スピードスターも山岳路を疾走する。
抜群の運動性能やGTとしての快適性を持ちながら、ポルシェが刻んできた歴史をすべて背負いゴッタルド峠を走るならば、これ以上の存在はないと実感させてくれる。シンプルな空冷エンジンを搭載する356から最新の911に乗り換えると、ノスタルジアを忘れさせてくれるような4.0リッター・フラット6のパワーに圧倒されることになるはずだ。現在に蘇ったスピードスターはここまで快適なのかと。
乾いたエキゾーストノートを響かせながら、ポルシェたちはシェレネン渓谷を駆け上がり、ウルナー谷の絶景を楽しみ、イタリア国境に近いティチーノへと向かっていく。この道々を走れば、誰もが歩いてこの厳しい難路を越えた人々、黄色い幌を備えた駅馬車の隊列、そして螺旋状のトンネルを一気に流れる黒い蒸気機関車の煙を思い起こすことになる。
そういった意味で、今回初めてこの峠道を走った911 ロードスターも、ゴッタルド峠の長い歴史のごくごく一部だと、言えるのかもしれない。
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