改良新型レクサスISとは
text:Shigeo Kawashima(川島茂夫)
【画像】どのパワートレインが好き? 改良型レクサスIS【内燃派? ハイブリッド派?】 全69枚
photo:Keisuke Maeda(前田恵介)、LEXUS
レクサスセダンでは最小モデルであり、コンパクトサイズを活かしたスポーツセダンとして誕生したのがIS。
もっとも、代を経る毎に車体サイズを拡大し、現行モデルでは全長4.7m級となり、コンパクトとも言い難いのだが、FRスポーツならではの操る楽しさを求める姿勢は初代から変わっていない。
このMCは内外装のフェイスリフトと安全&運転支援機能のアップデートなどの変更が加えられているが、見所は走りの熟成。
ニュルブルックリンクでの経験をもとに2019年4月に新設された下山テストコースで走り込みを行い、機械では計測できない人間の感性領域にまで踏み込んだ操縦性を追求。スポット打点の追加などによる車体剛性の向上などのハードウェアの改良も加えられている。
新型には3タイプのパワートレインで全10仕様用意されるが、試乗したのは最もスポーティな350 Fスポーツとラグジュアリー系の最上位となる300hバージョンL。
前者はISのコンセプトそのもの、後者は「小さな高級車」の側面も持つモデルである。
IS350 Fスポーツ どんな感じ?
先代ISには、「IS F」という5LのV8を搭載したスーパースポーツが存在した。
レクサス車のパフォーマンスを象徴するモデルでもあったが、現行RCの登場によりRC Fにバトンタッチしている。現行型にIS Fに相当するモデルは設定されていないのだが、350 Fスポーツにはその精神が継承されているように思えた。
搭載エンジンは3.5LのV6。現行ISでは唯一の6気筒車であり、グレード展開はFスポーツ/2WDのみとなっている。
装着タイヤも含めて外観は他のFスポーツと共通だが、専用OPとしてリア・トルセンLSDを設定し、ISの中でもスポーツ性にこだわった設定。
最大トルクは38.7kg-mにも達するが、ふつうに走らせていると小気味よさは今ひとつ。浅いアクセル開度の穏やかな踏み増しでは初期反応が緩い。
最大トルク発生回転数が4800rpmで、しかもV6なら誉めるべきなのだろうが、ハイブリッド車などの電動パワーアシスト採用車が増えたせいか、相対的に低負荷低回転での応答遅れを意識してしまう。
深く踏み込み高回転を使って加速させれば、最近は少なくなった高回転型NAエンジンの心地よさが溢れ出る。
排気音のエンジンフィールも粗野な部分がなく、非エコ運転ではあるがマニュアル変速を使い中高回転で走らせたくなるパワートレインである。
「F」のようなフットワーク
ストロークを抑えた硬めのサスチューン。限界性能追求というほどではなく、スポーツモデルの良識の範疇である。
感心させられるのは、硬さの中にあるしなやかさだ。
操縦特性は徹底的に弱アンダーステア。タイトターンやアクセルオンなどアンダーステアが強まる力学的傾向には則しているが、その変化幅は少ない。
パワートレインの重みを感じさせる収束感のよさやトラクションを掛けながら前輪をじわりと押し出すようにラインを拡げる感覚がいい。頭の中で描いた走りの設計図どおりに扱えるのはとても楽しい。
しかも、乗り心地の質感が高い。
車軸まわりの微小な動きも含めて揺れ返しが極めて少なく、硬いのに穏やかなのだ。
タイヤの接地面から車体骨格までが一体となって、揺れや衝撃を吸収しているような乗り心地。
段差乗り越えでは相応の突き上げはあるものの、その乗り味はスポーツ車の中でも最良クラスと言っていい。IS Fをマイルドに仕立て直したようなフットワークである。
300hバージョンL どんな感じ?
ISの基本グレード展開は標準仕様/Fスポーツ/バージョンLの3タイプ。
冒頭で述べたとおり、ラグジュアリー系上位の300hバージョンLはレクサスブランドならではの贅を楽しむモデルである。
ただし、快適性重視で選ぶタイプとは言い難い。
パワートレインは2.5L 4気筒を核にしたスプリット式ハイブリッド。
クラウンに採用されたシステムと比較するとエンジンが一世代古いタイプになるのだが、電動でドライバビリティを作り込めるハイブリッドでは動力性能面のハンデはほとんどない。
低負荷域からペダルコントロールに自然な加減速追従で扱いやすく、品のいいパワーフィールを示す。静粛性も良好であり、先進的なプレミアムセダンを実感できる。
ただ、フットワークの洗練感はイマイチ。車軸まわりの振動が目立つ。
硬い骨格に緩い関節というか、長く大きな入力ではしなやかなのだが、細かな凹凸ではサスやタイヤが個別に揺れる感じなのだ。
同型登場時に比べるとかなり改善され、殊更に挙げるほどではないのかもしれないが、350 Fスポーツの出来がよかっただけに気になった。
「買い」か?
高精度高性能な内燃機の素の味を楽しめるのは大きな魅力だが、WLTC総合モード燃費は10.7km/L。市街地モードでは7.0km/Lである。
エコ性能を考えると躊躇う気持ちもあるのだが、IS350 Fスポーツが洗練を伴う良質なスポーツセダンなのは間違いない。
ISのコンセプトの象徴であるとともにレクサスFスポーツを代表するモデル。ツーリング&スポーツ性能にこだわるユーザーならば650万円の価格は納得できるはずだ。
IS300hバージョンLは、スポーティもコンフォートも少々中途半端な印象が強いが、時代性と言う点では同クラスでもトップレベルのWLTC総合モード燃費18.0km/Lを達成。
持続的エコの時代性を備えたプレミアム&スポーティセダンである。環境とクルマ趣味の両立という点では高く評価できる。
どちらもスポーツ性を軸としたクルマ趣味が必要なモデルだが、選択の分かれ目はISらしさへののめり込み具合。
のめり込むなら現行型のラストスパートという感覚の350 Fスポーツの一択である。
改良新型レクサスIS350 スペック
レクサスIS350 Fスポーツ
価格:650万円
全長:4710mm
全幅:1840mm
全高:1435mm
最高速度:-
0-100km/h加速:-
燃費(WLTC):10.7km/L
CO2排出量:217g/km
車両重量:1660kg
パワートレイン:3456cc V6
使用燃料:ガソリン
最高出力:318ps/6600rpm
最大トルク:38.7kg-m/4800rpm
ギアボックス:8速オートマティック
改良新型レクサスIS300h スペック
レクサスIS300hバージョンL
価格:600万円
全長:4710mm
全幅:1840mm
全高:1435mm
最高速度:-
0-100km/h加速:-
燃費(WLTC):18.0km/L
CO2排出量:129g/km
車両重量:1690kg
パワートレイン:2493cc 直4+モーター
使用燃料:ガソリン
最高出力(エンジン):178ps/6000rpm
最大トルク(エンジン):22.5kg-m/4200-4800rpm
最高出力(モーター):143ps
最大トルク(モーター):30.6kg-m
ギアボックス:電気式無段変速機
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みんなのコメント
HVの方が売りなのは分かるが燃費にしてもエンジンのデカさにしても恥ずかしいレベル。
先進性を前面に押し出すのか、重厚感のあるリッチな路線でいくのか
迷いを感じる。レクサスらしさレクサスのフィロソフィーはこの内装で行く!
といった気概がない。