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【速さはターボSに迫る】ポルシェ・パナメーラGTS スポーツツーリスモへ試乗 MC版 前編

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【速さはターボSに迫る】ポルシェ・パナメーラGTS スポーツツーリスモへ試乗 MC版 前編

フェイスリフトを受けたパナメーラ

text:Matt Saunders(マット・ソーンダース)

【画像】パナメーラをじっくり 競合車も 全117枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


少し強めのスポーツ魂を宿した、モダン・ポルシェ。モデルレンジで、中の上に位置するGTSに共通するテーマだ。それはパナメーラでも同じ。

一方で近年のポルシェは、GTSの性格付けに多少悩んでいたようにも見える。ポルシェ・パナメーラは先日、フェイスリフトを受けたことはご存知の読者も多いだろう。

新いパナメーラGTSなら、運転にこだわりを持つドライバーが、積極的に選びたくなる内容に仕上がっていると思う。

さて、初代が登場したのは2009年。これまでの多くのパナメーラには、エアサスペンションと四輪駆動、ATという組み合わせが与えられてきた。

ドライバーにとって、訴求力をプラスすることにつながる手法、コイルサスペンションに後輪駆動、MTという組み合わせは限られていた。特別で、味わい豊かな仕様として。

今回のパナメーラGTSでも、選べない部分は多い。われわれの期待に反して、とでもいうべきか、新しいGTSでは後輪駆動もスチールコイルのサスペンションも、MTも用意されていない。

従来のパナメーラでは、すべてを選択できたグレードがあったのに。

トルクは同値ながら最高出力は19psアップ

ポルシェのエンジニアは、自然吸気エンジンでドライバーの気持ちを鼓舞させる、アピール力も追求していた。以前の、ターボの付かない初代パナメーラでは。

しかし4年前、2代目へのモデルチェンジと同時に4.8LのV8自然吸気ユニットは、4.0LのV8ターボへスイッチ。結果的にGTSらしさは薄まり、単にターボより安いモデル、という見られ方もされるようになっていた。

最新のパナメーラGTSでは、標準の5ドア・リフトバックに加えて、シューティング・ブレークのスポーツツーリスモも選べるようになっている。今回試乗したのも、スポーツツーリスモの方。

4.0L V8ツインターボのエンジンは、基本的にフェイスリフト前と変わらない。しかし、自然吸気エンジンのような直線的なパワー感を強調するため、電気的な改良が加えられている。

左右非対称でサイレンサーが配される、スポーツエグゾーストも標準装備。ポルシェによれば、従来のGTS以上にサウンド面での魅力を持たせたという。

馬力アップは悪い話ではない。新しいGTSでは、従来から19psが上乗せとなっている。最高出力の発生回転数は、従来より750rpm引き上げられている。

最大トルクは変わらず63.0kg-m。発生回転数も1800rpmからと同じだが、不足はないだろう。

果たして本当に、自然吸気エンジンのような印象が得られるのか。あくまでもポルシェとしての主張なのか、確かめたいポイントだ。

GTSならシンプルなシャシーが選べる

シャシー周りは、上位グレードのターボSにかなり近づいていると思われる。その反面、標準のGTSでは電子制御のアクティブ機能が削られている。必要なかったのだろう。

パナメーラ・ターボSには、最新の四輪操舵システムやアクティブ・アンチロール、電子制御のトルクベクタリング・システムなどが標準装備される。しかし、標準のGTSには備わらない。

アクティブなシステムの設定に納得できないドライバーにとっては、ありがたい仕様だと思う。ドライバーへの訴求力も、違ってくる。シンプルで純粋な、大きなグランドツアラーを欲しているなら、このGTSは絶好の選択肢となるかもしれない。

ところが、ドイツのビルスター・ベルク・サーキットで開かれたパナメーラ発表会の試乗車には、オプションでGTSに選べるすべての電子システムが盛り込まれていた。素のGTSは、確かめられなかった。

メーカーのデモ車両としては、珍しくはないことではある。ブレーキも、標準ではスチール製のディスクだが、カーボンセラミックが奢られていた。

GTSはエアサスペンションを装備するが、素のターボSと比べて車高は10mm低いとポルシェは話していた。エアサスだから、走行速度やドライビング・モードに合わせて、さらに車高を変化できる。

試乗では、アクティブ・アンチロールや四輪操舵システムは、非常に優れたチューニングが施されていると感じた。筆者の意見では、あえて選ばないという選択の必要性はないだろう。特にこの大きさと重さのクルマでは。

乗り心地や操縦性は確実に向上

これらのシステムは、992型のポルシェ991の開発段階で、かなり高質な知見を獲得しているようだ。パナメーラとも近い、純EVのタイカンの開発プロセスも大きかったはず。

タイカンは、パナメーラが基礎とするMSBプラットフォームの改良版を採用している。パナメーラの足回りも、手を加えて流用している。

フェイスリフト後のパナメーラのステアリングや乗り心地、操縦性は、確実に向上している。ボディサイズや車重を反故にする、俊敏性を得ている。ステアリングは、リニアでありつつレスポンシブ。ポルシェらしい。

エアサスペンションの乗り心地は、素晴らしく良い。柔軟に足回りが動き、路面の影響を受けにくい。ただし、フェイスリフト前でも乗り心地は良かったけれど。

アップデート後となる2021年仕様では、垂直方向の落ち着きと、姿勢制御の締りが向上している。とても効果的だし、GTS以外のパナメーラで共通する部分でもある。

高速で起伏の大きい路面を走行させても、従来以上に一貫して高い接地感が保たれる。ステアリングの感触や重さも、新次元と呼べる内容。シャシーの限界値を、より深い位置まで探ろうという気持ちにさせてくれる。

旋回性も秀逸。優れた姿勢制御と、余裕のあるグリップとトラクションで、自然に高い速度のままコーナーを抜けていく。郊外の狭い道でも、幅の広いボディを積極的に操ることができそうだ。

この続きは後編にて。

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