「4気筒モデル=角テール」はS57Dがルーツ!?
日産の看板車種として存在し続けているスカイライン。2021年には「次期モデル開発中止」などというニュースが駆け巡ったが、これは結局のところは虚報であったようだ。スカイラインには、日本を代表する車種として今後も存在し続けてほしいものである。そんなスカイラインだが、元は日産の車種ではなかったということも最近では知られなくなってきたかもしれない。
羊の皮を被った羊、参上!フジミ製プラモ「スカイラインS54」をショートノーズ化する・前編【モデルカーズ】
【画像43枚】二代目スカイラインの1500デラックス化、その詳細な工程を見る!
スカイラインは、かつて存在していた自動車メーカー、プリンス自動車工業による乗用車であった。その初代モデルは1957年の登場で、トヨタ・クラウンに次ぐ長い歴史を誇る車名である。プリンスは1966年8月に日産に吸収合併、このときからスカイラインは日産の商品となった。この時点ではスカイラインは二代目モデルであり、その途中から日産スカイライン(当初は日産プリンス・スカイライン)となったのだ。
二代目スカイラインであるS50型は1963年9月にデビューした。クラウンと肩を並べる高級車であった初代とは異なり、ファミリー向けセダンに生まれ変わったS50は、1.5Lの直列4気筒OHVであるG1型エンジン(最高出力70ps)を搭載。メンテナンスフリー(封印エンジンやシャシーのノングリースアップ化など)を推し進めた設計にはプリンスらしい先進性が窺われるが、前ダブルウィッシュボーン/後ろリーフのサスペンションなど、機構的にはオーソドックスなものである。
スタイリングについてはアメリカ志向の強いプリンスだったが、S50型スカイラインのそれはフィアット1800や2300に似たものがあった。ただし、フィアットのリア周りはピンと張ったテールフィンが特徴だが、スカイラインのそれは角を落としたなだらかな形状となる。また、リアパネルを囲むメッキのモールは、先代における、左右を繋げたU字型のテールフィンの名残りのようでもあった。円形のテールレンズも、先代の砲弾型テールを発展させたものと言えるだろう。
1964年には営業用モデルのスタンダードを追加している。つまり、当初はデラックスのみの発売であった。スタンダードはフロントグリルがシンプルなものとなり、バンパーにオーバーライダーはなく、サイドモールもフロントドアの途中からと言う具合に差別化。同年の第2回日本グランプリには、このスカイライン1500のノーズを200mmも延長し、グロリア用の2L直列6気筒SOHCエンジンを搭載した2000GTが参戦。GTはホモロゲ取得のため市販化もされ、ここからスカイライン神話が始まるのだが、これについては今回は省略しておこう。
日産に吸収された2ヶ月後にはマイナーチェンジ
1965年2月にはフロアシフト仕様を、同年6月にはAT車とエステート(ワゴン)を追加。こののち1966年8月には前述の通りプリンスが日産に吸収され、車名が「日産プリンス・スカイライン」となる。10月にはマイナーチェンジを行い、ボディ前後のデザインを変更。フロントグリルは左右ライト枠を繋げる形で太いバーを配したものとなり、リアエンドは角型のテールレンズとガーニッシュによるデザインへと改められた。このテールレンズは、リアパネル全体のU字型を縮小したような形で、かつ、S40グロリアのそれと同じ配色の3分割デザインとなっている。なお、GT系は丸型テールのままであった。
さらに1年後の1967年8月には再びマイナーチェンジ(1500のみ)を実施。このときの大きな変更が、エンジンのリニューアルである。デラックスのみ、エンジンを新設計の直4 SOHC、1483ccのG15型にチェンジし、最高出力88psと、一気に17psもパワーアップ。これを誇示するように、フロントグリルにも「88」と書かれたバッジが装着されている。日産では、「SOHC、5ベアリング、ショートストローク、電磁ポンプ等の採用により、高速走行時の耐久性が一段と向上した」としていた。
このマイナーチェンジでは、フロントグリルのデザインは変更されていないが、リア周りは再び一新。テールレンズは横長の長方形(正確には五角形)となり、フィニッシャーはそれより一段細いものに。また、細かなところではフロントフェンダーのウィンカーが円形から長方形のものへと変更されている。そしてこの1年後、日産の下で二度目のフルモデルチェンジを行い、C10型スカイラインへと生まれ変わったのである。
ボディ改造と同時に欠点も修正、と言うより修正しないと改造も不可能!
前編の記事でもお伝えしたように、この最終型1500デラックス(S57D)の作例は、フジミ製1/24スケール・プラモデルの2000GT-A/GT-Bを改造して制作されたものである。同キットのボディ形状は、GTのロングノーズが再現されているというだけでなく、あちこちに独特のクセが見られるもの。グリーンハウスは側面が直立しすぎで、かえって下すぼまりの不安定な形にも見え、またボディサイドは上から見ても横から見ても中央部分が膨らんだ樽型をしている。
作例のボディは、こうした欠点をまず修正してからショートノーズ化を実施。その甲斐あって非常に自然な佇まいを実現している。と言うよりも、キットのままではサイドのラインが直線的でないので、短縮したノーズを違和感なく繋げるのは、基本形状の修正なしには不可能であろう。そのうえで、フロントグリルやテールレンズ/フィニッシャーなども自作。これらの工作については写真のキャプションで詳述しているので、前編の記事と併せてじっくりとお読みいただきたい。
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