■ホンダ新型「フリード」に搭載された同社ミニバン初の機能とは!?
2019年11月現在、ホンダはミニバンを3車種ラインナップしていますが、このうち5ナンバーサイズのボディを持つのが「フリード」と「ステップワゴン」です。
なぜホンダの技術はマネされない? 他社が「センタータンク」採用しない理由
ともに車両価格300万円以下から購入できる、若いファミリー層にも身近なモデルですが、モデルごとの特徴は大きく異なります。
そこで、両車はそれぞれミニバンとしてどのような点が魅力的なのか、具体的な利用シーンを挙げつつ比較していきます。
フリードは、2016年9月に現行モデル(2代目)が発売され、2019年10月にマイナーチェンジがおこなわれたホンダのコンパクトミニバンです。全長4265mm×全幅1695mm×全長1710mmと、コンパクトなボディサイズです。
最小回転半径もステップワゴン(5.4m以上)よりひとまわり小さい5.2mと、運転時に扱いやすいことが特徴です。搭載されるエンジンは1.5リッター+モーターのハイブリッドと、1.5リッターのガソリンです。
なお、2019年10月のマイナーチェンジで、下り坂においてシフトレバーを操作することなく、ある一定のブレーキ操作をおこなうだけで、エンジンブレーキを併用したスムーズな減速を可能とする「ステップダウンシフト制御」を採用しました(ガソリン車に設定)。
これにより、不意に現れた長い下り坂においても、運転スキルに関わらず安心して走行することができます。なお、ホンダのミニバンでは初めての採用です。
ステップワゴンは、5代目となる現行モデルが2015年4月に発売されたクルマです。モデルとしての歴史は長く、初代モデルが登場したのは今から20年以上前の1996年に遡ります。
歴代で5ナンバーサイズが維持され続けており(一部スポーティグレード除く)、全幅の面でフリードと変わらないことから、ボディが大きく見える反面、運転初心者にとってもそれほど扱いにくいものではありません。
ステップワゴンはボディサイズが全長4760mm×全幅1695mm×全高1840mm(2WDの標準仕様)と、フリードと比べ約500mmほど長いボディとなっています。全高の高さもステップワゴンの方が上です。
搭載されるエンジンは、2リッター+モーターのハイブリッドと、1.5リッターダウンサイジングターボのガソリンです。
フリードとステップワゴンの共通点のひとつとして、2種類の外装デザインが用意されている点が挙げられます。
フリードに設定されているのは、標準モデルとSUV風のエクステリアを持つ「クロスター」です。
クロスターは、専用のフロントグリルや前後バンパーが採用されているほか、LEDフォグライト、ルーフレール、アルミホイール、専用色のドアアウターハンドルやドアミラーが取り入れられており、アウトドアシーンにも似合うデザインとなっています。
一方、ステップワゴンには標準モデルのほかに「スパーダ」と呼ばれるスポーティモデルが設定されています。
スパーダは、専用デザインのフロントグリルにより存在感が増したほか、LEDヘッドライトにより引き締められた顔つきとなっています。
なお、ステップワゴンの各モデルのなかでハイブリッド仕様を選択できるのはスパーダ仕様に限られることもあり、このあたりはパワートレインの選択とあわせて外装を決めることになりそうです。
■多人数乗車しない人にオススメのフリードが存在! どんなモデル?
両車はボディサイズが異なることから、室内の広さに関して違いが出るのは当然ですが、その他の使い勝手の部分に関しても、特徴的な機能や装備によって差別化が図られています。
フリードは、ステップワゴンと全長が約500mmも異なるにも関わらず、室内長は3045mm(3列シート仕様)と、ステップワゴンの3220mmに迫る数値を誇ります。
2列目がキャプテンシートの場合、上位車種のステップワゴンと同様両側にアームレストが装備され(一部グレード除く)、ボディが小さくても大人4人が快適に移動できる空間を実現しているといえます。
しかし、全長の短さのしわ寄せは3列目シートにきているので、6名以上での移動が頻繁にある人は、フリードの3列目を事前に確認しておく方がよいでしょう。
そして、フリードにはステップワゴンにはない2列シート仕様「フリード+」が設定されています。
フリード+の荷室は、開口部地上高が335mmと、ステップワゴン(開口部地上高445mm)を凌ぐ超低床設計となっています。さらに、上下2段に分けて使える荷室を持ち、フックの取り付けなどレジャーで便利に使えるユーティリティナットも装備されています。
「ミニバンの広い荷室は魅力だが、多人数乗車はしない」というユーザーに、フリード+は非常に魅力的な存在です。
一方、ステップワゴンの荷室はフリードと比べ広さに余裕があるだけでなく、3列目シートに床下収納式の「マジックシート」が採用されています。跳ね上げ式のフリードと異なり、後ろ方向の視界を邪魔しないことは、運転のしやすさにも貢献するといえるでしょう。
また、バックドアには横にも縦にも開く「わくわくゲート」が装備されています(一部グレード除く)。バックドアの中央付近から住居の開き戸のように開く機構で、これにより開口に必要なスペースがわずか640mmに収まるなど、スムーズな荷物の出し入れに役立ちます。
運転席前のインパネアッパーボックスをはじめ、各種収納の充実による利便性の高さは、両車に共通するポイントです。
※ ※ ※
同じホンダのラインナップに属する2台のミニバンですが、単純なボディサイズの大小や、それに伴う室内の広さの違い以外にも、車種ごとにさまざまな特徴があることがわかります。
とくに、フル乗車する機会がそれほど多くない場合は、外装や機能の独自性の方が、より重要視されることになるでしょう。
クロスターやスパーダのようなモデルを、見た目重視で選ぶのも良いですし、ステップワゴンのわくわくゲートのような他社のライバル車にもない特異な装備を求めて指名買いするのも、自分らしい愛車選びのなかの醍醐味といえるかもしれません。
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