見た目似てても中身がちがうこともたくさんある。
頭でそうわかっていても、簡単には割り切れないのが人間てものです。たとえばクルマ界なら、3気筒エンジン、CVT、姉妹車……、「どれも同じようなものなんじゃないの?」と思っている人も少なくないのでは?
マツダ・ロードスターのデザインは世界一!!【デザイン水掛け論Online】
でも他社との違いを出すためにこそ、日夜頑張っているのがメーカーというもの。…なんて偉そうに言う担当も、調べてみたら知らないことが多かった!「その違いはどこにあるのか?」に迫りました!
※本記事は2017年6月時点のものです。
文:ベストカー編集部
写真:shutterstock.com、ベストカー編集部
初出:ベストカー2017年6月26日号
■トールシリーズ 違うのはフロントマスクだけなの?
ダイハツトール/トヨタルーミー&タンク/スバルジャスティの姉妹車は、フロントマスクの組み合わせは違うが、そのほかは同じに見える。
しかしジャスティだけは、トール/ルーミー&タンクとは一部のグレードで装備と価格が異なる。トールで標準ボディの GターボSA2/ルーミー&タンクG-Tは180万3600円だが、ジャスティGSスマートアシストは189万円だ。
8万6400円の価格差が生じたのは、ジャスティがLEDヘッドランプ/フォグランプを標準装着したから。同じ金額でトール/ルーミー&タンクもオプション装着できるから買い得度は等しいが、設定の仕方が違う。
ちなみに先代ムーヴと姉妹車のステラでは、フロントスタビライザーの設定を変えていた。ムーヴはカスタムのみに装着したが、ステラは標準ボディを含めて全車に装着して、走行安定性と乗り心地のバランスを向上させていた。
(渡辺陽一郎)
スバルジャスティ
■マツダの「ソウルレッド」には2種類ある!?
ソウルレッドプレミアムメタリックはマツダ車のイメージカラーだが、新型CX-5はソウルレッドクリスタルメタリックを新採用した。
写真で見ると鮮やかなレッドで従来のカラーと似ているが、実車を比べると意外に違う。クリスタルは光の当たり方による濃淡の差が大きい。光が直接当たる上向きの面は若干ピンク色を含んだような鮮やかさで、陰になる横向きの面は、深みのある濃いレッドに見える。
(渡辺陽一郎)
今までの「ソウルレッド」とは異なるカラーを採用した新型CX-5
■ワゴンR、ムーヴ、eKワゴン…軽のハイトワゴン、スタイルもパッケージも似ているけれど
軽ハイトワゴンは全高が1600~1700mmで、全車のサイズがほぼ共通だ。ワゴンRは軽量化を徹底させて売れ筋グレードは800kg以下。JC08モード燃費は軽ハイトワゴンで最良の33.4km/Lになる。後席は背もたれを前側へ倒すと座面も下がり平らな荷室が広がる。この機能と後席スライドを両方とも左右独立にしたのは軽ハイトワゴンではワゴンRだけだ。
ムーヴは直進安定性とウネリのある路面を通過した後の収束性が最も高い。軽ハイトワゴンでは走りが優秀だ。
N-WGNは燃料タンクを前席の下に配置する特徴を生かし、後席の下に幅が990mm、奥ゆきが330mmの大型トレイを装着した。傘なども収まり使い勝手がいい。
デイズ&eKワゴンはタッチパネル式オートエアコンでインパネ周辺の質感が高い。後席は座り心地が柔軟で、座面の奥ゆきは535mmだからLサイズセダンを含めて最大級となり車内が最も快適だ。
(渡辺陽一郎)
ハイトワゴンタイプの軽はどれもほぼ同サイズだが、それぞれ特徴があり、一番新しいワゴンRは燃費性能でリードし、走りの面でも評価が高い
■コンパクトカーの4WD、どれも同じじゃないの?
群を抜いていいのがデミオの4WDシステムである。こらもう同じクラスのライバルをまったく相手にしないくらい本格的。滑り始めの兆候を人間より敏感に感知して制御してます。対照的なのがモーター使う日産の電動4WD。こちらは走り出しの短い時間しか後輪を駆動しないし、走り始めたら事実上FFのまま。50km/hくらいで滑りやすい路面を走った時のスタビリティを含め、比較にならないほど(ユックリ走っていれば大差ない?)。
デミオに続いていいのは電子制御式を使っているタイプ。そしてホンダのリアルタイム4WD、ビスカスカップ式と続く。私がコンパクトクラスの4WDを買うなら、0.1秒も迷わずデミオにするだろう。そのくらい大きい性能差があると思っていただきたい。
(国沢光宏)
マツダの4WD性能は他車をリードしている
■ひとくくりにエコタイヤと言いますが
タイヤラベリング制度で「A-b」、「AA-c」などの表記のあるタイヤのうち大文字で記される転がり抵抗性能がAAA、AA、Aを獲得し、かつ小文字で記されるウェットグリップ性能がa~dに収まるタイヤを『低燃費タイヤ』と呼ぶのだが、今の時代、低燃費タイヤの認定を受けているタイヤは実にさまざまで、例えば横浜ゴムの『アドバン・フレバV701』などはハイグリップスポーツタイヤだし、ダンロップの『ビューロVE303』はプレミアムコンフォートスポーツタイヤだ。ブリヂストンのプレミアムタイヤで知られる『レグノ』だって低燃費タイヤである。
低燃費タイヤはザラザラした乗り味で音は大きくウェットグリップが低いというイメージは完全に過去のモノ。もちろんエコピアやブルーアース、エナセーブ、ナノエナジーといった各タイヤメーカーが力を入れて開発しているベーシック低燃費タイヤの性能も大幅に向上している。
(編集部)
いまやさまざまなタイプの製品が揃うエコタイヤ
■CVT…いろいろ言われてますけどね…
CVT(無段変速機)といえば「トロい」とか「レスポンス悪い」というマイナス評価がついて回る。確かに燃費を追求しようとしたら低い回転域を常用しなければならず、加えてそこからアクセル踏まれても変速にタイムラグあるため、気持ちよく反応してくれない傾向。なかでも厳しいのがトヨタ系。巡航時にエンジン振動出るギリギリの回転数まで落とすため、踏んだ時にほとんど反応しないのだった。といってもこの特性は「CVTだから」ということじゃない。どういったセッティングにするかで大きく変わってくる。
最も進んだCVTはスバルWRX S4が採用しているタイプだろう。S#モードを選ぶと、クロスレシオになる。普通なら1~3速ギアくらいしか使えないワインディングロードでも1~5速まで使えるのだった。タイのラリーでこのCVTを使ったが、もう少し煮詰めてやればマニュアルより適正なギアレシオを選べるようになるだろう。
そのほかのモデルも燃費重視からドライバビリティ重視に変わりつつある。スバルXVのCVTなど好例。今までのCVTより元気よく走ります。
(国沢光宏)
走り重視に変わりつつあるというスバルのCVT。現行インプレッサではフリクションの低減、小型軽量化などが行われている
■同じ燃料電池車でもやっぱり違いはある
両車ともに燃料電池車で走りは話題にならないが、比べるとクラリティが勝る。MIRAIは車両の向きを変えやすいが、後輪の接地性が少し足りない。クラリティは操舵感に鈍さがなく、後輪がよく踏ん張って安心感が高い。
乗り心地はMIRAIが少し硬いが、クラリティは重厚感が伴う。上下動を抑えて上質だ。ボディもクラリティが少し大きく、後席も広くて快適だ。結論をいえばクラリティは高級セダン、MIRAIは軽快に走るスポーティセダンの位置付けになる。
(渡辺陽一郎)
全幅1875mmとワイドボディのクラリティ フューエルセルは、そのフォルムもミライとだいぶ印象が違っている
■3気筒のNA(自然吸気)エンジン
軽自動車用についていえば「判別しがたし!」ということになります。目隠しテストされたら、普通の人より少しはマシな評価&判断能力を持っているつもりの私ですら違いがわからないワな、という強い自信ある。660ccという小さい排気量だと3気筒特有のビート音や振動も強く出ないのだろう。特にターボ付けちゃうと、乗り比べてもわからないほど。結果として自動車メーカーのエンジン担当者も、これといった振動騒音対策を打たない、と予想しておく。個性もなし!
けれど1000ccを超えると差が出てくる。最も上手なのは日産。アイドリングこそ3気筒特有の「揺れ」を感じるものの、走り出してしまうとほとんどわかならい。だからこそノートeパワーのように発電機用エンジンとしても使えるんだと思う。トヨタ(ダイハツ製)の3気筒についちゃ1000ccという排気量が味方してるかもしれない。むしろ4気筒よりトルク感あって好ましい。「う~ん」なのが三菱。アイドリングから高速巡航まで「3気筒ファンにすすめておく!」でございます。
(国沢光宏)
軽の3気筒エンジンはどれも似ているが、排気量1Lを超えると差がでてくる
■スバルEJ20型エンジン 同じ型式でも現在と初代レガシィでは違う
スバルファンを魅了してやまない名機EJ20がデビューしたのは1989年。初代レガシィから搭載され28年になるが、現行型のWRX STIに搭載されるユニットと比べると、1994ccの排気量とボア×ストローク比が92×75mmであるという基本レイアウト以外はほとんどすべてが刷新されている。
そもそもスバルのエンジンの場合、EJ20という型式は同じでもターボとNAがあったりするなど、過去28年の間には数え切れないほどの仕様違いが存在する。
例えば初代WRXの前期型用と後期型用でさえ、ピストンやバルブなどの主要部品で互換性のあるものはほとんどないなど、最強のターボ版ではデビュー後数年ですでに別物化しているのだ。
いっぽう、現在のスーパーGTで使われるモータースポーツ向け最強仕様のEJ20はWRC時代から受け継がれたもので、世界チャンピオンを獲得した実績と信頼のあるユニットを延々と磨き続けている。
(マリオ高野)
写真はどちらもEJ20型エンジンだが、長い歴史の間に大きく変更されている
■トーションビームサスペンションの乗り心地
トーションビームといえば、コンパクトカー御用達の「シンプルでコストのかからないサスペンション形式」である。代表格が歴代フィットや先代プリウス。極めてキャンバー変化少なく安定性という点では優れている半面、フリクションの大きい大容量ブッシュを使わなければならないため(フィットなどダンパー外してトーションビームだけ動かすと超シブいです)、乗り心地で厳しい傾向。
ただ使っているダンパーによって乗り心地はずいぶん違う。やはりショーワ製と組み合わせている車種がいい。KYB製だとトーションビームの弱点を目立たせてしまう。ベストなトーションビームはテネコ製のダンパー使うスイフトスポーツ。ザックス使うVWゴルフもすばらしい!
(国沢光宏)
FF車のリアサスで主流のトーションビーム式
■輸入車の2Lターボはどれも同じ?
輸入車のターボには、エンジンやタービンは基本的に共通だが、制御ソフトと過給圧を変えてパワーやトルクを高めた仕様がある。同じ2Lターボでも、メルセデスベンツのE200とE250、C200とC250、BMWの523iと530iなどは、いずれもチューニングが違って性能も異なっている。
同じエンジンでも価格差が開き、E200とE250のワゴンアバンギャルドスポーツではE250が39万円高い。装飾が異なりヘッドアップディスプレイも加わるが15万円程度の違いだ。残りの24万円はチューニングの変更に基づく。排気量が細かく違った自然吸気の時代が懐かしい。
(渡辺陽一郎)
BMW5シリーズ
■姉妹車 アルトとミラの商用バン 中身は一緒?
アルトやミラ(イースではない)には商用バンが用意される。軽自動車税は乗用の年額1万800円に対して商用は5000円と安いが、重量税は同じで初回車検は2年後と短い。荷室を優先する商用車の規定に基づき後席も狭い。それでも商用を条件に車両の使用を許可する企業や市場があるので用意している。
アルトとミラともに車内は質素で装備は最小限度だが、アルトは緊急自動ブレーキや横滑り防止装置が設定されて燃費もいい。ミラは発売から10年以上を経て設計が古いが、エンジンはアルトよりも実用回転域の駆動力が高く加速力は活発だ。視界のよさもミラが勝る。
(渡辺陽一郎)
上がアルトバン、下がミラバン。アルトは登場したのが新しいだけに燃費性能でリードする
■赤帽のダイハツ製サンバー、実は特別仕様!
運送業の赤帽が使う軽トラックは、かつてスバルが自社開発していたサンバーをベースに、耐久性の優れた特別仕様としていた。今のサンバーはダイハツ製OEM車になったが、それでも赤帽協同組合の指定仕様となる。
その赤帽仕様車はサンバーがダイハツ製になった2012年に用意され、エンジンと駆動系を中心に耐久性を高めた。クランクシャフトには高周波の焼き入れを行い、プラグはイリジウムに変更。デファレンシャルギアのケースも強化され、前輪のブレーキパッド、タイヤもハードに使われる。同じサンバーでも赤帽仕様は異なる。
(渡辺陽一郎)
サンバーはダイハツ製になった今も赤帽モデルはスペシャル仕様である
■スーパーGTの富士でのレース
スーパーGTは同じ富士スピードウェイで5月と8月の2回開催されます。ですが、このレースはシリーズ戦のなかで成績によってオモリが加算されるウェイトハンデのルールがあるのがポイントです。2戦目の5月よりも5戦目の8月のほうが、ウェイトを積むマシンと積んでないマシンとの差が大きくなるわけです。そうなると戦い方がまったく違ってきます。
さらに、夏の8月のほうが気温も路面温度も上がり、その熱は体力的にもマシンの信頼性の面でも、ものすごくマイナスに働きます。同じ富士でも8月はハンデを積んで熱とも戦うので、5月とは大きく違いますね。
(脇阪寿一)
8月の富士でのレースは熱との戦いなので、選手をはじめ水分補給がとても重要
■中国モーターショー 北京ショーと上海ショーがあるが……
決定的に違うのはホスピタリティである。土地柄なんだろう。北京が官僚的。上海のほうはおおらかだ。
国際プレス対応ひとつ取っても、北京についちゃ申請時からハードルが高く、アレコレ注文を付けられる。そもそも北京の場合、ショー会場のメディア受付に行くまでの通行証の提示を求められるのだった。通行証なければ受付もできないということ。ただショーが始まってしまうとコントロールできなくなり、どうにでもなるのは共通。出展しているメーカーも北京と上海で勢力図が違うため微妙に異なる。
(国沢光宏)
上海ショーも北京ショーも広大な会場で開催され、パクリカーもあるが対応面などで違いを感じさせる
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