現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 「小さな高級車」と言われるクルマは数あれど本物は 「バンデン・プラ・プリンセス」だけ! ベビーロールスとも言われたガチすぎる中身

ここから本文です

「小さな高級車」と言われるクルマは数あれど本物は 「バンデン・プラ・プリンセス」だけ! ベビーロールスとも言われたガチすぎる中身

掲載 28
「小さな高級車」と言われるクルマは数あれど本物は 「バンデン・プラ・プリンセス」だけ! ベビーロールスとも言われたガチすぎる中身

 この記事をまとめると

■「バンデン・プラ・プリンセス」について解説

「高級車は大きいもの」への反骨! 超難題の「小さな高級車」に挑んだクルマ3選

■「ベビー・ロールス」とも呼ばれた元祖「小さな高級車」

■1964年にコンプリートモデル「プリンス1100」が発売された

 始まりは馬車の架装メーカー

 小さな高級車というフレーズ、耳に聞こえのいいインパクトから数多くのクルマに使われてきましたが、「本革シート採用」とか「贅沢なウォールナットを使用」くらいで高級をうたわれても、真の高級を知るユーザーからは鼻で笑われがち。高級の定義にもよりますが、マスプロダクトなクルマではどうしても限界がありそうです。そこへいくとバンデン・プラ・プリンセスは、大量生産車でありながら「ベビー・ロールス」の呼び名さえ戴いた元祖「小さな高級車」。その出自を知れば知るほど、バンデン・プラ・プリンセスがいまでも「高級」を知る人々から人気なことがわかります。

 だいたいバンデン・プラ・プリンセスという車名からして格式が高そうな雰囲気ですが、もともとはベルギーで創業した馬車の架装メーカー「ファン・デン・プラス」社がことの始まり。いわゆるコーチビルダーというやつで、当時は王侯貴族や大金持ちを相手にしたビジネス。金に糸目をつけない注文主に対し、安っぽい素材やみすぼらしい仕上がりなどもってのほか。腕のいい職人、確かな素材、そして顧客の意図を汲むビジネスセンス、いずれが欠けても成り立つものではないでしょう。

 こうしたスキルやセンスをもって、1913年ファン・デン・プラス社はとうとうイギリスにクルマのボディを製作するコーチビルドショップを設立。当時の高級車はエンジン&シャシーとボディワークはそれぞれ専門業者が請け負うのがスタンダード。当然、コーチビルダーも群雄割拠していたわけで、ファン・デン・プラス社もイギリスのお金持ちを相手に、大陸で培ったセンスと技を見せつけようじゃないかと、意気揚々と乗り込んだわけです。で、このころからファン・デン・プラス(Van den plus)というベルギー風味(オランダ語圏の苗字?)の社名がバンデン・プラ(Vanden Plus)と英語っぽい表記と呼び方になった模様です。

 バンデン・プラを一流コーチビルダーと言わしめたボディワークは数多くありますが、代表的なものはやっぱりロールスロイス。とりわけ1914年のシルバーゴースト「アルパインイーグル」は完全なオープンルーフやパーティングラインが見当たらないスチール製ボディなど伝説的なヒット作となりました。コーチビルドはどうやらオープンボディに自信があったようで、ベントレー4 1/2オープンツアラーや、オランダの高級車「ミネルバ」にも特徴的なトランクをリヤに積んだオープンボディを提供しています。

 そして、コーチビルダー受難の時代、すなわちシャシーとボディを一貫生産するマスプロダクトの時代を迎えると、バンデン・プラもご多聞にもれずオースティンに吸収されるという憂き目に。もっとも、任されたのは同社の大型セダンA99の高級仕様ボディということで、ブランドに敬意を払われたのかバンデン・プラ3リッターとかバンデン・プラ4リッターという車名が付けられたのは大いなる救いだったかもしれません。

 インテリアもラグジュアリー!

 とはいえオースティンもまたブリティッシュ・モーター・コーポレーション(BMC)に吸収されてしまうのですが、よほどバンデン・プラのネームバリューが高かったのか、ここでも高級車部門で生き残ることに。で、その後の10年ほどは細々とボディを作って生きながらえていたのですが、1962年に転機が訪れました。BMCのメガヒット「ミニ(ADO15)」に続く、ADO16が発売されると、1964年ついにバンデン・プラのコンプリートモデルが「プリンス1100」の名で発売されたのです。

 ADO16はそもそもミニの兄貴分ですから、全長3.7mという超コンパクトサイズ。しかも一般大衆のアシとして作られているので、高級感とかラグジュアリーとは無縁といっても過言ではありません。そこにバンデン・プラが高級要素をこれでもかとぶち込み、プリンセスの名に恥じないクルマに仕上がったのです

 具体的には質素なフロントマスクにクロームの効いたグリルを追加し、オプションパーツだったアディショナルランプを標準装備。しかも、オプションパーツよりも大型化するという豪気っぷり。

 また、バンデン・プラ・プリンセスといえば、そのラグジュアリーなインテリアが有名ですが、ダッシュボードはもちろんウォールナット張りで、ドアの内張上端部はウッドキッピングという手法で木製パネルを貼りこみ、鉄板むき出しだったADO16と鮮明な差別化を施しています。

 さらに、シートやドアの内張は正真正銘のコノリーレザーをフルに張りこみました。座面だけコノリーみたいなナンチャッテと違って、なにからなにまでコノリーというのはロールスロイス以外では滅多にみられません。なお、プリンセスはシート自体の作りも違っており、簡素といって差し支えないADO16とは異なり、分厚くてクッションの効いたシートが採用されています。

 また、シートといえば、前席背面にピクニックテーブル(新幹線などでよく見る収納式のテーブル)が装備されていることも、ショファードリブン(運転手によるドライブ、つまりオーナーは後席に座るべき)というコンセプトを体現しているわけです。

 いまとなっては旧弊で、職人頼みな作りといえますが、効率やコストといった要素が見当たらないところは現代の高級車とは代えがたい魅力でしょう。芸能界きってのクルマ好きだった樹木希林さんや、常盤貴子さん、紗栄子さん(元ダルビッシュ有の奥様)といったステキな女性に愛されるのもバンプラのキャラゆえかと(ちなみに、浅田美代子さんが樹木希林さんから譲ってもらったバンプラというのは、日産マーチをカスタムしたものでしたw)

 ミニ同様、パーツの供給やメンテナンスしてくれる工場にも不自由するという話は聞きませんので、ロールスロイスが無理でもバンデン・プラ・プリンセスで「真の高級車」を味わうというのもグッドチョイスに違いありません。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油7円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

東京ガス、EV充電サービス「EVrest」に新料金メニュー…充電器ごとの柔軟な設定が可能に
東京ガス、EV充電サービス「EVrest」に新料金メニュー…充電器ごとの柔軟な設定が可能に
レスポンス
【RQ決定情報2025】スーパーフォーミュラの新チームをサポートする『KDDIレースアンバサダー』のメンバーが発表
【RQ決定情報2025】スーパーフォーミュラの新チームをサポートする『KDDIレースアンバサダー』のメンバーが発表
AUTOSPORT web
ホンダe:HEVと日産e-POWER 元エンジニアが判定「長所」と「短所」をガチで比べるとどっちがいいの?
ホンダe:HEVと日産e-POWER 元エンジニアが判定「長所」と「短所」をガチで比べるとどっちがいいの?
ベストカーWeb
「マイクロバス」はトヨタの商品名だと知ってた? 60年以上むかしのトラック「ダイナ」ベースのバスがとってもおしゃれ! 昭和懐かしのクルマを紹介します
「マイクロバス」はトヨタの商品名だと知ってた? 60年以上むかしのトラック「ダイナ」ベースのバスがとってもおしゃれ! 昭和懐かしのクルマを紹介します
Auto Messe Web
ユーザーがクルマの「リコール」を放置すると車検に通らない場合も! そもそも「リコール」ってどんな場合に出されるもの?
ユーザーがクルマの「リコール」を放置すると車検に通らない場合も! そもそも「リコール」ってどんな場合に出されるもの?
WEB CARTOP
ママチャリとロードバイクが合体!? トップチューブレス設計のスポーツバイク「ママチャリロード2」発売
ママチャリとロードバイクが合体!? トップチューブレス設計のスポーツバイク「ママチャリロード2」発売
バイクのニュース
ホンダ「WR-V」一部改良! 高級インテリア採用&精悍すぎる「ブラックスタイル」登場! 値上げ実施も“全車250万円台以下”をキープ!
ホンダ「WR-V」一部改良! 高級インテリア採用&精悍すぎる「ブラックスタイル」登場! 値上げ実施も“全車250万円台以下”をキープ!
くるまのニュース
2025年2月の新車販売ランキング、スペーシアが2位浮上 N-BOXはトップ変わらず
2025年2月の新車販売ランキング、スペーシアが2位浮上 N-BOXはトップ変わらず
日刊自動車新聞
テストでは最多周回を走り込んだメルセデス。弱点の克服を実感「開幕戦には完全な準備ができたマシンを持ち込む」
テストでは最多周回を走り込んだメルセデス。弱点の克服を実感「開幕戦には完全な準備ができたマシンを持ち込む」
AUTOSPORT web
ジャガーは何をやろうとしているのか 1900万円の新型EV、狙いは? 独占インタビュー
ジャガーは何をやろうとしているのか 1900万円の新型EV、狙いは? 独占インタビュー
AUTOCAR JAPAN
レクサス最新「“5人乗り”コンパクトSUV」に注目! リッター「28キロ」走る“最安&最小”な「LBX エレガント」がスゴイ! “豪華内装×特別カラー”など気になる仕様とは?
レクサス最新「“5人乗り”コンパクトSUV」に注目! リッター「28キロ」走る“最安&最小”な「LBX エレガント」がスゴイ! “豪華内装×特別カラー”など気になる仕様とは?
くるまのニュース
タカラトミーが Juju 選手とパートナー契約…スーパーフォーミュラマシンに「TOMICA」のロゴ
タカラトミーが Juju 選手とパートナー契約…スーパーフォーミュラマシンに「TOMICA」のロゴ
レスポンス
2025年2月の外国メーカー車販売、前年比3.6%増の1万8601台 2カ月連続プラス VW増加で底上げ
2025年2月の外国メーカー車販売、前年比3.6%増の1万8601台 2カ月連続プラス VW増加で底上げ
日刊自動車新聞
【中国】約200万円! トヨタ新型「bZ3X」25年3月発売に反響多数! 「RAV4より広くて快適そう」「価格安すぎ」「先進運転支援システムが気になる」の声も! 新たな「bZシリーズ」登場!
【中国】約200万円! トヨタ新型「bZ3X」25年3月発売に反響多数! 「RAV4より広くて快適そう」「価格安すぎ」「先進運転支援システムが気になる」の声も! 新たな「bZシリーズ」登場!
くるまのニュース
トヨタ「アルファード」でスポーツVIPを表現! 愛車に「リンファード」と名付けた理由は給油口を見れば納得…実は家族愛あふれる1台でした
トヨタ「アルファード」でスポーツVIPを表現! 愛車に「リンファード」と名付けた理由は給油口を見れば納得…実は家族愛あふれる1台でした
Auto Messe Web
黒いトヨタのエンブレムがカッコいい! ヤリス&ヤリス クロスに特別仕様車「Z“URBANO(ウルバーノ)”」が登場。
黒いトヨタのエンブレムがカッコいい! ヤリス&ヤリス クロスに特別仕様車「Z“URBANO(ウルバーノ)”」が登場。
くるくら
「運転者管理システム」の運用3月22・23日全国一斉停止、マイナカード移行作業で免許証更新業務もストップ[新聞ウォッチ]
「運転者管理システム」の運用3月22・23日全国一斉停止、マイナカード移行作業で免許証更新業務もストップ[新聞ウォッチ]
レスポンス
外国人が「簡単に取れる日本の免許証制度」とは? 問題が指摘される「外免切替」 国家公安委員長「制度改正の検討」を示唆! 事故実態は「把握せず」
外国人が「簡単に取れる日本の免許証制度」とは? 問題が指摘される「外免切替」 国家公安委員長「制度改正の検討」を示唆! 事故実態は「把握せず」
くるまのニュース

みんなのコメント

28件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村