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ワンボックスの二大巨頭 トヨタ「ハイエース」と日産「NV350キャラバン」 選ぶポイントはどこにある?

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ワンボックスの二大巨頭 トヨタ「ハイエース」と日産「NV350キャラバン」 選ぶポイントはどこにある?

■見た目も中身も「そっくり」なライバル

 トヨタ「ハイエース」と日産「NV350キャラバン」。商用バンのライバル同士ですが、パッと見の違いは大きくありません。むしろ『そっくり』な2台です。ところが、販売台数については大きな差があるようです。

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「ハイエース・シリーズ」と「NV350キャラバン・シリーズ」の2018年1月から7月までの販売台数をトヨタ、日産に問い合わせたところ、以下の回答をいただきました。

●ハイエース・シリーズ:3万5700台●NV350キャラバン・シリーズ:1万8982台

 このように「ハイエース」は「NV350キャラバン」の倍近い台数を販売しており、「ハイエース」が圧倒しているといえます。

 見た目や大きさ、新車価格もグレード別で同じくらいの両車ですが、どんな違いがあって人気に差があるのか、「ハイエース」と「NV350キャラバン」それぞれの特徴からひも解いてみます。

「ハイエース」と「NV350キャラバン」は思いのほかデザインが似ています。特に横から見ると、窓やドアの形などがとくに似ています。車両の寸法もほぼ同じとなり、外観の大きな違いは主に“顔”ということになります。

 似ている理由のひとつは、両車とも車体寸法の制限いっぱいで作っているためです。例えば4ナンバー仕様では全幅1.7m未満、全長4.7m未満という中で、最大限のスペースを使える工夫をしていけば、パッケージングは似てきてしまうのも仕方ありません。乗用車はあまりサイズにこだわらず3ナンバー化が進んでいますが、商用車ではサイズアップして1ナンバーになると、高速道路の料金が上がるなどコスト面で不利になり、4ナンバーに収めておくことが求められるからです。

 同じく共通項として、両車ともボディと荷室、座席のバリエーションが非常に豊富です。一見、どのグレードも同じように見えても、ボディの長さ、屋根の高さ、ドア数、座席数、そしてエンジン、トランスミッション、2WD/4WDといったさまざまな選択肢があります。

■乗用バージョンに大きな違いが

 貨物用の4ナンバー仕様では同じようなラインナップですが、ワゴンバージョンでは決定的な違いがあります。「ハイエース」が全車ワイドボディに対して、「NV350キャラバン」では標準ボディも用意しています。

「ハイエース」のワゴンですと横幅1880mmという室内の広さを重視したワイドボディなのに対して、「NV350キャラバン」は横幅1695mmという5ナンバーサイズ。約18cmも違えば狭い道での取り回し性能が大きく変わります。

 ワゴンバージョンを使っているユーザーは、個人よりもお店や介護施設、宿泊施設などの送迎用がメインです。運転する方は『運転のプロ』ばかりではありませんから、取り回しのよさで「NV350キャラバン」を選ぶ法人もあるでしょう。

 ちなみに、ワゴンバージョンには「マイクロバス」という14人乗り仕様がありますが、こちらは「ハイエース」「NV350キャラバン」ともにワイドボディとなっています。

■維持費に重要な燃費はどう?

 燃費の違いはどうでしょうか。同じ4ナンバーのバン仕様のカタログ燃費を比べると、上級グレードの「ハイエース スーパーGL」と「NV350キャラバン プレミアムGX」で両車2WD/ガソリン2リッターエンジン/AT車標準ルーフ/標準幅のモデルで比べるとJC08モードで「ハイエース」が10.2km/L、「NV350キャラバン」が9.8km/Lです。

 同じくディーゼルエンジンでは「ハイエース」が12.4km/L、「NV350キャラバン」が12.2km/Lです。

 カタログ燃費ではわずかな差となっていますが、複数台所有して年間数万kmも走るような使い方だと、このわずかな差が無視できない維持費の差になりえますから、燃料代削減という点で「ハイエース」に分があるということになります。

■両車とも先進安全装備は装備可能

 安全装備について比較すると、いまや必須条件となりつつある“自動ブレーキ”の装備については両車とも搭載可能です。しかし、内容が若干異なります。

「ハイエース」は『ミリ波レーダー』と『単眼カメラ』を装備し歩行者も認識ができますが、「NV350キャラバン」は『ミリ波レーダー』のみで、対象は車両などに限定されます。

 しかし、搭載した時期は「NV350キャラバン」が2016年1月から、「ハイエース」は2017年11月からと、「NV350キャラバン」のほうが時期は早いので、仮に中古車を購入する場合「NV350キャラバン」のほうが自動ブレーキ付き車を狙える可能性が増えます。

 一方で、日産には『アラウンドビューモニター』という、クルマの前後左右のモノを上からの視点で見られる装備があり、「NV350キャラバン」に動くモノを検知できる『インテリジェント・アラウンドビューモニター』がオプション装着可能です。運転席が高く、死角が大きくなりがちなクルマのため、安全に車庫入れをしたり、ぎりぎりの場所に駐車をする必要がある工事現場などでは、「NV350キャラバン」は事故予防装備が充実しています。

■リセールバリューはハイエースが上

 中古車の状況はどうでしょうか。まず買取価格をいくつかの中古車査定サイトでオンライン査定してみました。車両の状態は、2013年式/10万キロ走行/2WD/ガソリン2リッターエンジン/AT車/標準ルーフ/標準幅の4ナンバーの上級グレード「ハイエース スーパーGL」と「NV350キャラバン プレミアムGX」としました。

 査定の結果、ハイエースのほうが概ね高い額を示しました。その差は1割から2割ほどの差です。

 また、中古車販売価格を見ると同程度の車両状態では「ハイエース」が高値で、やはりリセールバリューで有利と言わざるを得ません。新車の販売台数同様に中古車でも「ハイエース」のほうが、より需要があるということです。

 最後に実際に「ハイエース」「NV350キャラバン」を買われたユーザーが、それぞれを選んで評価した点をトヨタ、日産の広報部に聞きました。ユーザーの声を抜粋すると以下になります。

●ハイエース「デザインがよい」「信頼性が高い」「使い勝手がよい」

●NV350キャラバン「インテリジェント・アラウンドビューモニターで安心できる」「自動ブレーキが標準装備なので安全」「使い方に合わせた荷室アレンジが簡単にできる」

 以上から、「ハイエース」はデザインや、信頼性を重視して選ばれる方が多く、一方「NV350キャラバン」は先進安全装備で選ばれる方が多いようです。総合すると商用車ユーザーのニーズに「ハイエース」がよりマッチしていて、それが人気の差となって現れたということになります。

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