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ハイパワー4WDマシン 6代目ギャランVR-4はいまいくら? 全国に5台! 絶滅危機か!?

掲載 更新 25
ハイパワー4WDマシン 6代目ギャランVR-4はいまいくら?  全国に5台!  絶滅危機か!?

 40代以上のクルマ好きのおじさん世代にとって、三菱といえば、ラリーやWRCという印象が強いはずだ。

 今でも多くの三菱ファンには、ランサーエボリューションがWRCを席捲した当時の記憶が脳裏に焼き付いているのはないだろうか。

まさに「別格」 マツダの傾奇者 伝説のAZ-1はいまいくらで買えるのか?

 しかし、ランエボ前夜に、三菱WRCの基礎を築いたギャランの“Victory Runner 4WD”こと、VR-4のことを覚えている人はどれだけいるのだろうか?

 ギャランVR-4は、1987年10月、6代目ギャランに設定されたモデルで、当時最強の直列4気筒ターボエンジンに、ハイテク技術を結集した4WDシステムを搭載して、大人気となった。

 また、WRCのトップカテゴリーがグループAへ移行した時期と重なったこともあり、競技ベース車としても用意され、WRCでは篠塚健次郎選手によるWRC日本人初優勝を含む6度の優勝を獲得している。

 ギャランVR-4としては、280ps(ATは250ps)の2.5L、V6ターボエンジンや先進装備のAYCやASCが搭載された8代目ギャランVR-4(1996年~2002年)もよく知られているが、今回はラリーの印象が強い、6代目ギャランVR-4を取り上げてみた。

 はたして6代目ギャランVR-4は今、いくらで買えるのか? 中古車事情に詳しい萩原文博氏が解説する。

文/萩原文博
写真/ベストカーWeb編集部 三菱

【画像ギャラリー】ハイパワー4WDマシン、ギャランVR-4を写真でチェック!

ラリージャパンが11月に開催!

篠塚建次郎選手がWRC日本人初優勝を遂げたのはギャランVR-4だった

  2020年11月19~22日、日本で10年ぶりに北海道から東海地方(愛知県、岐阜県)へと舞台を移してラリージャパンが開催される予定。

 コロナ禍で今後の予定はどうなるかわからないが、今のところ変更はないとのこと。今後は、WRC熱が盛り上がっていくと期待している。

 現在、国産メーカーではトヨタ1社がヤリスでWRCに参戦しているが、昭和から平成にかけては、日産、マツダ、三菱、スバルと多くの国産自動車メーカーがWRCに参戦し、輝かしい結果を残してきた。

 国産車がWRCで結果を残したというとトヨタセリカ、スバルインプレッサWRX、そして三菱ランサーエボリューションが思い浮かぶはず。

 特に1990年代に圧倒的な強さを発揮したインプレッサとランサーは改造範囲の狭いグループA規定を見据えて生産されたモデルであり、搭載されたエンジンがスバルはレガシィ、三菱はギャランVR-4によって鍛えられたのは間違いない。なかでもギャランVR-4は6度も優勝を飾るなど輝かしい結果を残している。

 ギャランVR-4はラリーで活躍した6代目ギャラン以外にも、1996年~2002年まで販売された8代目ギャランVR-4がラインナップしていた。

 280ps(ATは260ps)の2.5L、V6を搭載し、AYCやASCなど当時の先進技術を投入したモデルだったが、6代目ほどの人気を得ることができず、VR-4は2002年に販売終了。そして2005年12月、ギャランシリーズは、36年におよぶ日本国内の販売を終了することになった。

 今回は、ラリーのイメージが強い6代目ギャランVR-4にスポットを当て、今、中古車で手に入れることはできるのか、現在の状況を調べてみた。

1996年8月~2002年9月まで販売していた8代目ギャランVR-4も名車の誉れが高かったが、販売は苦戦。2005年、日本におけるギャラン全体の販売が終了

国産ハイパワー4WDターボの元祖

1987年10月に発表されたギャランVR-4。発表された当時、205psターボを搭載し、ハイテク満載のハイパワー4WDとして人気となった

 1987年10月に発表され、12月に発売されたギャランのトップグレードであるVR-4は4WD、4WS、4輪ABSといった当時最新のデバイスを装着した。搭載されるエンジンは三菱を代表する名機、2L直列4気筒ターボの4G63型。

 このギャランVR-4こそが、ラリー用のプロトタイプで終わったスタリオン4WDラリーの意志を受け継いだ国産ハイパワー4WDターボの元祖で、1989年にデビューするスバルレガシィRSや日産スカイラインGT-R(BNR32)に2年先行してのデビューにより、大ヒットとなったのだ。

 MT車のデビュー当初の最高出力は205psだったが、1989年のマイナーチェンジで220psへパワーアップ。

 そして、1990年の一部改良で、タービンの変更やインタークーラーの大型化などにより240psへと出力が向上している。

 この4G63型エンジンと4WDシステムはランサーエボリューションに受け継がれ、市販車だけでなく、WRCでも大活躍する。

 三菱のラリーというとWRCのランサーとパリダカのパジェロのイメージが強いが、実はギャランも数々の栄光を手にしている。

 ギャランは1988年(本格参戦は1989年)~1993年のシーズン途中までWRCに参戦したのだが、6度優勝している。

 そのうちの2回は1991年、1992年のコートジボアールラリーで、日本人ドライバーの篠塚建次郎選手によるものだった。

 ドライバーやメイクスといったタイトルは獲れなかったものの、高いポテンシャルをギャランは発揮していたのだ。

 ベース車となった市販モデルのVR-4は標準モデルに加えてラリー専用車として、VR-4RやVR-4RSという限定車も設定。

 また、1989年のマイナーチェンジ時には4G63型2L直列4気筒自然吸気エンジンをAMGがチューニングしたギャランAMGモデルも設定。

1989年に設定されたギャランAMG

 さらに、1990年1月には前年のWRC RACラリー優勝記念モデルである2.0ターボスーパーVR-4という特別仕様車が設定された。

 1990年10月の一部改良ではVR-4モンテカルロを設定。そして、1991年にはVR-4RSをベースに、AMGと同じボディカラーを採用し、オートエアコンや電動リアスポイラーを採用したVR-4アームドバイラリーアートが発売されるなどVR-4ファミリーとしては多彩なラインアップを誇っている。

 1992年5月になると、ギャランは3ナンバーボディに一新して上級化を図った第7世代に移行する。同時に、ラリー直系のスポーツセダンという特性はランサーエボリューション(1992年9月発表)に引き継がれた。

 VR-4をイメージリーダーに、アグレッシブなスタイリングを持つ高性能なスポーツセダンとしてユーザーを魅了した6代目ギャラン。

 そのインパクトの強いキャラクターは、後に「歴代モデルのなかで最もギャランらしい世代」とファンから称賛されるようになった。

1990年に発売されたギャランVR-4モンテカルロ

全国にVR-4の在庫車はたった5台しかない!?

上の写真をクリックするとギャランVR-4の中古車情報が見られます!

 現在、1987年~1992年まで販売された6代目ギャランの中古車の流通台数はわずか8台で、そのうち5台がVR-4、そしてAMGが2台、1.8MSが1台となっている。

 この3ヵ月の間、流通台数はほぼ5台で推移し、ほとんど変化はない。中古車の平均走行距離は約9.8万kmで、こちらもこの3ヵ月の間、全くの横這い。

 この動きにリンクして平均価格の推移も約100万円で全くの横這いで推移している。6代目ギャランVR-4の中古車相場は、すでに底値といえる状況だ。

 興味深いのは1992年に登場した7代目ギャランの平均価格は約80万円、1996年に登場した8代目ギャランの平均価格は約15万円なので、いかに6代目ギャランの中古車の人気が高く、相場が高いかは見てとれる。

 6代目ギャランの中古車相場の推移を1年スパンに拡大してみると、1年前の平均価格は約126.3万円だった。

 その後年末に約86.3万円まで下がったものの、年明けには現在の約100万円に戻り、3ヵ月どころかこの半年の間、全くの横這いとなっているのだ。まさに6代目ギャランの底値といえる状況となっている。

 5台流通しているVR-4は約78万~約220万円で、そのうち2台は78万円、85万円のプライスが付いていた。

 最高値の220万円の中古車を見てみると、1990年式で走行距離は8.1万km、ボディ再塗装まで行われているレストア車で、サイドのステッカーまで忠実に仕上げられている。もう1台の168万円のVR-4は1988年式、走行距離3.6万kmのワンオーナー車だった。

 ちなみに2台のギャランAMGは、1台が価格応談で1990年式、走行距離13.7万km。もう1台は1990年式で7.6万kmだった。

 もし、手に入れたいという人は躊躇している時間がないほど中古車は減少している、まさに危機的状況といっていいだろう。

 流通している中古車は1989年のマイナーチェンジ後のモデルが中心だが、前期型はブレーキの容量が足りずフェードしやすいという症状が出ると、ギャランVR-4オーナーのブログに書かれていた。しかし、これはマイナーチェンジ後のパーツに交換すれば問題ないとのこと。

 また、エアコンなどの故障が頻発している状況が見受けられるが、4WDや4WSといった電子デバイスのトラブルはあまり書かれていないところは、さすがWRCのベース車といったところか。

 しかし、誕生からすでに33年経っている旧車だけに、しっかりとしたメンテナンスや同じクルマを所有しているユーザーとの交流はマストといえるだろう。

全長4560×全幅1695×全高1440mmと今見ると小さく感じる6代目ギャランVR-4

■6代目ギャランVR-4年表
・1987年10月、ギャラン登場、12月にVR-4発売。ラリー専用モデル、VR-4R限定100台発売。
・1988年3月、モータースポーツ用のベース車として装備を簡略化した「2.0DOHC TURBO VR-4 RS」を追加。
・1989年10月、マイナーチェンジ。VR-4にリクエストの多かったAT車を追加(ただしATの耐久性を考慮し210ps)。VR-4のMT車は220psにパワーアップ。4G63型2L直列4気筒自然吸気エンジンをAMGがチューニングしたギャランAMGモデルも設定。
・1990年1月、1989年WRC RACラリー総合優勝を記念して、本革スポーツシート、シースルーヘッドレスト等を装備して、専用ボディカラー(オニキスブラック)とした「2.0DOHC TURBO SUPER VR-4」を発売。
・1990年10月、一部改良。VR-4の5MT車は240psにパワーアップ。タービンの変更、インタークーラーの大型化、ボンネットへのエアアウトレット装備等各種変更。上級グレードにキーレスエントリー、運転席パワーシートを設定。ビスカスLSD、サンルーフ、専用デカール等を装備し、専用ボディカラー(オニキスブラック)とした「2.0DOHC TURBO VR-4 モンテカルロ」を発売。
・1991年1月、 AMGチューンのエンジンとAMGデザインのアルミホイールはそのままにエクステリアをVR-4と同じものとして値段を下げた「2.0 DOHC AMGタイプII」発売。
・1991年6月、4WS付きのE39A VR-4RSをベースに、AMGと同じシュロスシルバー色に塗られ、パワーウインドウやオートエアコン、電動リアスポイラーを装備した、「VR-4 Armed By RALLIART」を発売。
・1992年5月 販売終了し、7代目へ。

■初期型、1987年12月~1989年9月
4G63型2L、直4ターボ:205ps/30.0kgm
■中期型、1989年10月~1990年9月
4G63型2L、直4ターボ:220ps/30.0kgm、ATモデルは210ps
■後期型、1990年10月~1992年5月
4G63型2L、直4ターボ:240ps/31.0kgm

■6代目ギャランVR-4(1987年)主要諸元
●全長×全幅×全高:4560×1695×1440mm
●ホイールベース:2600mm
●重量:1360kg
●エンジン:4G63型直4DOHCターボ
●排気量:1997cc
●最高出力:205ps/6000rpm
●最大トルク:30.0kgm/6000rpm
●トランスミッション:5速MT
●タイヤサイズ:195/60R15
●価格:278万1000円

【画像ギャラリー】ハイパワー4WDマシン、ギャランVR-4を写真でチェック!

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