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【スポーティSUV初春の百花繚乱】アルファロメオ トナーレ × ステルヴィオ「熱い走りは変わらない」

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【スポーティSUV初春の百花繚乱】アルファロメオ トナーレ × ステルヴィオ「熱い走りは変わらない」

アルファロメオSUVモデルステルヴィオの弟分となるトナーレがついに日本上陸を果たした。アルファ初の電動化モデルで、よりコンパクトなミドルサイズのSUVだ。さっそく、走りを確かめるべく、ステルヴィオとともにロングツーリングに繰り出した。(Motor Magazine 2023年4月号より)

アルファ初の電動化モデルのミドルサイズSUV
フェラーリを筆頭にランボルギーニやポルシェといったスポーツカーメーカー、さらにはもっと幅広い車種を扱ういわゆるフルラインメーカーの中ではBMWなど、名称そのものが際立ってスポーティなイメージを連想させる自動車のブランドは、世界にいくつかの例を挙げることができそう。

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そうした中でも、「イタリアを代表する」というフレーズが加えられれば前出フェラーリと共に即座に多くの人の脳裏に浮かぶのが『アルファロメオ』というブランドであることに、異論を挟む人は少ないだろう。

1910年の設立以来、その歴史はすでに110年以上。その長い時間のすべてが、必ずしも順風満帆だったわけではなかったことは多くの人の知るところ。「紆余曲折を経た末に現在に至る」と、振り返ればそう表現をした方が適切であるようにも思えるのが、このブランドの実際でもあった。

一方、現在のラインナップに目をやれば、一時の拡大路線が改められスポーティさを軸としたステランティスグループ内でのプレミアムブランドという立場が明確に再定義され、各モデルの立ち位置もよりわかりやすくなったのもまた事実。そうした状況の中、ステルヴィオに続く、第二のSUVとしてローンチされた最新のモデルが『トナーレ』である。

ブランド初のSUVとして誕生したステルヴィオと同様にイタリアの峠の名称に由来するネーミングが与えられたこのモデルは、現行ラインナップ中では言わば「ステルヴィオの弟分」に相当するというのがそのポジショニング。実際、4530×1835×1600mmというボディサイズは、160mm短く、70mm狭く、80mm低いというのがステルヴィオとの関係。ホイールベースが185mm短いこともあり、その最小回転半径も6.0mのステルヴィオよりは小さい5.8mとなっている。

アルファロメオではそんなトナーレを「ミドルサイズSUV」と紹介するが、タイトな道幅の山岳路や、ひと昔前と変わることのないコンパクトな駐車枠も多く残る日本では、端的に言ってそれは「より身の丈感が強い」という印象を強く味わえそうなサイズ感。 

同時にトナーレの特徴は、パワートレーンに電動化技術を組み込んだアルファロメオ初の作品でもあるということ。2025年にはブランドで初となるピュアEVを発売し、27年にはすべてのラインナップをピュアEV化するというステランティスグループ内でも電動化への急先鋒と言える野心的な計画を明らかにしているのがアルファロメオ。ようやく初の電動化モデルをリリースするという「スロースターター」でありながら、わずか数年で本当にそんな計画が達成できるのか?という興味をそそられるものの、兎にも角にもトナーレによってその火ぶたが切って落とされたことは間違いない。

さらに、日本仕様にはアイシン製のナビゲーションシステムを標準で採用。歩行者検知機能付きの被害軽減ブレーキを筆頭に、いわゆるADAS機能もフル装備状態とするなど、前述兄貴分のステルヴィオに勝るとも劣らない多くの機能を搭載するのもいかにも最新設計のモデルらしい部分。その上で、いかにもアルファロメオの作品と紹介したくなるエクステリアのスタイリッシュぶりは、ステルヴィオの場合と同様に健在だ。

新たなデザインモチーフが採用されたフロント&リア
正直、このところさまざまなブランドから次々送り出されるSUVVには食傷気味だったという人でも、その中に埋没することのないこれほどまでにスタイリッシュなモデルであれば、ちょっと乗ってみたいナ、と感じる人は少なくないはず。

ステルヴィオのルックスの良さには大いに惹かれながらも、「ちょっと大き過ぎるんだよナ・・・」とそんな印象を抱いていた人にとって、まさに"ど真ん中"に命中しそうな存在がトナーレでもあるわけだ。

一方そんなトナーレと並べると、ボディの大きさが改めて印象に残るのがステルヴィオである。見比べると兄弟モデルでありながらヘッドライトとテールランプまわりの造形テイストがかなり異なることに気が付くが、実はそこにはトナーレにのみ「サインカーブ(正弦波)」と称される新たなモチーフが採用されていて、とくにそれはライト点灯時に強調されることで大きく異なる雰囲気を醸し出すことに繋がっている。

実はそんなモチーフは、これからのアルファロメオ各車に拡大展開されて行くことが予想されるもの。実際、すでに欧州では22年の10月、トナーレ同様の3連LEDを組み込み、新しい顔つきにリファインされたステルヴィオが発表されていて、最新モデル同士の比較では、軽快さが強調されたトナーレに対して重厚さと風格を加味したステルヴィオと血縁関係の深さが一層強調されながら、兄弟関係がさらに明確化されていることも興味深い。

ところで、アルファロメオ車の中でも電動化のけん引役ということもあり、PHEV仕様の存在もすでに明らかにされているトナーレだが、まずは日本に上陸したモデルが搭載するパワートレーンは、ミラーサイクルや可変ジオメトリーターボの採用などで効率や出力の向上に開発された最高出力160psを発生する1.5Lの4気筒ガソリンターボエンジンに、最高出力15kW(20.4ps)を発するモーターを用いるマイルドハイブリッドシステムを組み合わせた1種類。

駆動は前2輪で行われるが、前出PHEV仕様は4WD。しかもこちらでは275psという圧倒的に高いシステム出力が発表されているから、そんなフラッグシップモデルの日本への導入も今から待ち遠しいという人も少なくないだろう。

歴史と伝統を感じるエクステリアデザイン
このブランドらしいダイナミックでスポーティなエクステリアのデザインに心躍らされるトナーレだが、そうしたワクワク感はドアを開き、キャビンへと乗り込んでからも継続することになる。

ダッシュボードまわりでは大型のディスプレイばかりが主役のように扱われるモデルも少なくない昨今だが、このモデルではドライバー前面にレイアウトされるのはかの「双眼鏡型」のメータークラスター。

実はその表示部分は12.3インチのカラーディスプレイで、オーソドックスな指針式のメーターはもとより最新モデルらしくさまざまな情報の表示を行うことも可能だが、それでもアルファロメオらしい歴史と伝統を感じさせられる造形が、このブランドには不可欠な熱い走りのイメージを彷彿とさせてくれることに、流行に踊らされない安心感を抱く人も少なくなさそう。斬新さやモダンな印象ばかりを追わないこうしたデザインも、アルファロメオらしさを演じるひとつの側面と言える。

今回テストドライブを行ったトナーレは、日本導入を記念して設定された『エディツィオーネ スペチアーレ』グレード。ボディやパワートレーンは同一でありながらよりベーシックなグレードとして設定された『Ti』に対しては、装着するタイヤが19インチに対して20インチであったり、パドルシフトやシート/ステアリングヒーターが装備されている。

とはいえADASの機能に差はなく、ナビゲーションシステムを含めたコネクティビティの機能も同一。また、23年2月には「スポーツ性能と上質感を高めた新グレード」として『ヴェローチェ』が新設定されている。 

まずはモーター出力によって走り始める一方で、アクセルペダルを踏み込むと比較的容易にエンジンが始動。その先、アクセル操作に伴う加速力コントロールの場面では、わずかにリニアリティに欠ける印象を受けることも皆無ではないものの、絶対的な加速力が十分に高いことは間違いない。

隣合うギア同士のレシオが接近した7速DCTを大型固定式のパドルでマニュアル操作できる点も、個人的には高いポイントを与えたい部分。ハンドル操作によってその位置が移動し、操舵角次第で左右が反転してしまうこともある回転式のパドルに対し、こちらは常にアップ/シフトのコマンドを確実に入力できるからだ。

SUVらしからぬアップテンポな走りを彩るのは、目立ったロールも感じさせずに右に左にと次々迫るタイトなコーナーをリズミカルにクリアして行く、軽快なコーナリングの感覚にもある。あのダイナミックでスポーティなルックスのボディを、こうして自身がテンポ良く走らせている姿を想像すると自然と頬が綻んでしまうというのは、アルファ乗りが密かに共通して抱く快感かも知れない。

余裕の高速クルージングを実現するステルヴィオ
そんなアルファロメオ車らしく軽快で身軽なテイストが印象に残るトナーレに比べると、改めて兄貴分らしい貫禄と落ち着きを感じさせてくれたのがステルヴィオの走りだった。

今回乗ったステルヴィオは、2.2Lのターボ付き直列4気筒ディーゼルエンジンが生み出した最高210ps/最大470Nmという最高出力と最大トルクを、8速ATと4WDシステムを介して路面へと伝えるシャシを備えた『Q4 Ti』のグレード。

前出スペックも示すように最新ディーゼルエンジンが発するトルクの大きさはトナーレのそれを遥かに凌ぎ、とくにエンジンは2000rpmを下回る低回転でゆるゆると回っているに過ぎないのに200kg近くも重い重量をものともしない高速クルージングシーンでの余裕に満ちた走りは圧巻そのもの。軽快なトナーレの身のこなしには強い魅力を覚えつつも、「長い距離を長時間走って行くならば、絶対こちらを選びたいナ」と思える走りを堪能させてくれたのがステルヴィオであった。

こうして、単にサイズの違いのみならず、走りのテイストでもキャラクターの違いが巧みに演じられているのがトナーレとステルヴィオというアルファロメオのSUV兄弟。電動化モデル第一弾としてローンチされたトナーレに対し、これからそのテーマに取り組んで行くことになるのがステルヴィオだ。

これまでこのブランドが取り組んでいなかった事柄が新しい乗り味を提供してくれるだろうと期待と想像を逞しくすると、一体この先アルファロメオはどのような未知の世界を示してくれることになるのか、まだまだワクワク感が止まりそうにもない。(文:河村康彦/写真:伊藤嘉啓)

アルファロメオ トナーレ エディツィオーネ スペチアーレ主要諸元
●全長×全幅×全高:4530×1835×1600mm
●ホイールベース:2635mm
●車両重量:1630kg
●エンジン:直4DOHCターボ+モーター
●総排気量:1468cc
●最高出力:117kW(160ps)/5750rpm
●最大トルク:240Nm/1700rpm
●モーター最高出力:15kW(20ps)/6000rpm
●モーター最大トルク:55Nm/2000rpm
●トランスミッション:7速DCT
●駆動方式:FF
●燃料・タンク容量:プレミアム・55L
●WLTCモード燃費:16.7km/L
●タイヤサイズ:235/40R20
●車両価格(税込):578万円

アルファロメオ ステルヴィオ 2.2ターボディーゼル Q4 Ti主要諸元
●全長×全幅×全高:4690×1905×1680mm
●ホイールベース:2820mm
●車両重量:1820kg
●エンジン:直4DOHCディーゼルターボ
●総排気量:1468cc
●最高出力:154kW(210ps)/3500rpm
●最大トルク:470Nm/1750rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:軽油・64L
●WLTCモード燃費:16.0km/L
●タイヤサイズ:255/45R20
●車両価格(税込):703万円

[ アルバム : アルファロメオ トナーレ × ステルヴィオ はオリジナルサイトでご覧ください ]

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