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日本のドバイ警察!? 総額5000万円オーバー、栃木県警のスーパーパトカーたちはなんとどれも寄贈車!

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日本のドバイ警察!? 総額5000万円オーバー、栃木県警のスーパーパトカーたちはなんとどれも寄贈車!

 世界にはアッと驚く超高額パトカーを導入している国がある。その代表格ともいえるのが、アラブ首長国連邦のドバイ警察だ。フェラーリやランボルギーニ、ブガッティなどスーパーカーが揃う驚きのラインナップである。

 さすがにドバイ警察には及ばないが、実は、日本にもスーパーパトカーを何台も保有する警察がある。それが栃木県警! ホンダNSXに始まり、日産フェアレディZ、日産GT-RやレクサスLC500まで4台も! なぜ栃木県警ばかりにスーパーパトカーが揃っているのか? 今回は導入のワケやパトカーの値段、さらには隊員から聞いた使い勝手などをリポートする。

新型Zのモチーフにもなった名車 Z32型フェアレディZの魅力と知られざる真実

 なお、平成時代のパトカーをまとめた『平成~令和新時代 パトカー30年史』もあわせて参照いただきたい。

『平成~令和新時代 パトカー30年史』はこちら

文・写真/有村拓真

[gallink]

■スーパーパトカーが4台も栃木県警に存在するワケ

 警視庁や大阪府警といった日本でトップを争う規模の警察ではなく、なぜ栃木県警にこんなスーパーパトカーが何台もあるのか? もちろん栃木県警が特別にリッチというわけではない。

 実は、スポーティなパトカー、それ自体は、全国の都道府県警でも見ることができる。過去には、三菱GTOやスバルインプレッサWRX STi(GD型)、マツダRX-7(FD3S)などのパトカーが活躍してきた(一部はまだ現役)。これらはすべて国費つまり国の予算で購入されたパトカーである。

 これに対して、栃木県警ではホンダNSX(NA2)、日産フェアレディZ Ver.NISMO(Z33)、日産GT-R(R35)、レクサスLC500という、上記に挙げたよりもさらに高額な、日本を代表するスポーツカーが、パトカーとして活躍している。なぜこのような高級スポーツカーがパトカーになったのだろうか。

スーパーパトカーが4台揃ったシーンは圧巻だ

■これ全部、寄贈車。いったい、誰が?

 実はこれらの高級スポーツカーは、警察の予算で導入されたものではなく、すべて寄贈によるものなのだ。

 まずNSXとフェアレディZは、栃木県と関係の深い、ホンダと日産それぞれのメーカーからなのである。

 ホンダは1990年代初頭、栃木県の高根沢町にNSXなどの生産工場があり(現在は研究所)、ホンダからNSXの寄贈の申し出があり、1992年に県警への導入が実現している。

NSXパトカーはヘルメットを付けて乗務すると窮屈だそう

 初代(NA1)はパトロール中に事故で廃車となったという話を伝え聞く。現在使用されているNSXパトカーは2代目で、1999年頃に寄贈され、現在に至っている。

 次に日産フェアレディZだが、こちらは同県の上三川町にフェアレディZなどを生産する栃木工場が存在する関係から寄贈の申し出があり、2007年にパトカーとしての導入が実現した。ちなみに警視庁には4台のフェアレディZ(Z34)パトカーが活躍しているが、これらはいずれも都費(都の予算)で購入されたものである。

 メーカーからの寄贈に対して、個人寄贈というパトカーがある。それが日産GT-RとレクサスLC500だ。いずれも栃木県内の会社役員からという。「ええっ、マジか!」である。

 GT-R(R35)のほうは、2017年に寄贈の申し出があり、架装などを終えて翌年2018年6月15日に寄贈式が行われた。

2018年の寄贈式当日のGT-R。R35GT-Rのパトカー誕生に多くのパトカーマニアが歓喜した

 なお、埼玉県警にもGT-R(こちらはR34だが)パトカーが5台配備されていたが、複数台はいまだに現役である。上記で紹介した警視庁のZパトカーと同じく、県費(県の予算)で独自導入されている。

 最後にレクサスLC500だが、こちらもGT-Rを寄贈した男性からで、2020年9月18日に寄贈式が行われた。

 なお、NSX、Z、GT-Rの3台は高速隊、LC500は交機隊の所属となっている。

■スーパーパトカー4台のそれぞれのお値段は?

 こんなすごいパトカーたち、やはり気になるのはそのお値段だ。

 NSXはベース車が約920万円だが、パトカーへの架装費用が約400万円程度という話だ。つまり総額約1300万円ということになる。また、フェアレディZはベース車が約440万円となっているが、そこへ架装費用が追加されると約840万円ということだ(いずれも隊員談)。

 GT-Rはベース車が約1100万円のピュアエディションとなっているが、パトカーへの架装費用を合わせると約1870万円という。この金額は寄贈式取材時に判明した。

 LC500はベース車の約1300万円に架装費用を合わせると約1740万円(こちらも寄贈式の取材時に判明)となっている。この4台を合わせると総額は余裕で5000万円超、もう少しで6000万円にも届こうかという、超豪華パトカー軍団なのである。

■スーパーパトカー 肝心の使い勝手は?

 日ごろからクラウンなどの標準的なパトカーを扱っている隊員にとって、これらのパトカーに乗務する際はかなりの注意が必要だという。どの車種もクラウンに比べると車高が低い上、NSXは極端に低く、さらにMT車なのも手伝って初めて乗車する隊員は慣熟のために専用の訓練を行っているという。他方の3台はAT車なのでシフト操作は問題ないが、やはりNSX同様の訓練を実施しているそうだ。

 直進安定性やカーブなど、どのような場面でも運転しやすいのがLC500で、違反車両にブレなくすぐに追いつけるとか。初めて乗車する際は、車両感覚を掴むのが難しかったそう。

LC500のエンブレムはポリスロゴ貼付のため外されるか検討されたが、結果的に市販車とは違う位置に存在している

 なお、パトロールのドライブでもっとも頼もしいのはGT-Rなのだそうである。

 どの車両も2シーターなので、取り締まりの際は、違反者を助手席に乗せて違反処理を行っていたそうだが、近年ではコロナ禍の影響もあり、基本的にはパトカーに乗せずに違反処理を行っているそうだ。「どの車両も末永く大事に使っていきたい」という声を聞くことができた。

■どこで出会える? 栃木のスーパーパトカー軍団

 これらのスーパーパトカーだが、栃木県内を走行していてもよほど運が良くないと出会えない。ただ、これらのパトカーを用いた行事が不定期で開催されている。近年登場した行事を参考までに紹介しよう。

・栃木県警察年頭視閲式
・春の交通安全運動各種行事
・GWのりものイベント
・秋の交通安全運動各種行事
・スーパーGTパレードラップ
・年末における出動式など

年末の出発式には多くのギャラリーが詰めかけた。Zもカメラを向けられて大人気だった

 このように季節ごとの行事やイベントで登場することが多いが、4台まとめて勢ぞろいするのはなかなかないので県警のツイッターなどを小まめにチェックされたい。

 いずれのイベントもコロナ禍で中止や規模縮小となっているが、2021年の年末に開催された出動式には白バイなどを含めて約50台が参加するということもあり、全国からパトカーファンが集まって大変な盛況となった。加えて、地元県民の方々も老若男女問わず集まり、大変な人気ぶりであることがわかった。

 交通安全の啓発に絶大な威力を誇る栃木県警のスーパーパトカー軍団。子どもたちからは、「将来おまわりさんになってこれらでパトロールしたい」というほほえましい声が会場から聞かれた。

 ドライバーの皆さんはスーパーパトカーのお世話になることのないようにこれからも安全運転で!

[gallink]

もっとパトカーについて知りたい方は『平成~令和新時代 パトカー30年史』もご覧ください。『平成~令和新時代 パトカー30年史』はこちら

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みんなのコメント

44件
  • 子供の憧れになるし良いと思う。
    寄付された方には尊敬しかない。
  • 取り締まりで違反者捕まえても後部座席に乗せれないよな
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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