グローバル市場でボルボの柱となっている60シリーズだが、特にステーションワゴンのV60はボルボを代表するモデルの1台だ。このV60には電動化を進めるボルボの最新PHEVモデルをラインアップし、2020年モデルではPHEV用のリチウムイオン・バッテリー容量が30Ahから34Ahに増大。その最新バージョンのPHEVに試乗してみた。
モーターを生かした爽快な走り
2030年は「MaaS」の時代!とは言うが「MaaS」とは何だ?
試乗したモデルは「T6ツインエンジン AWD」で、フル装備モデルのインスクリプションだった。走行モードがピュアモードでない限り、エンジンとリヤ・モーターで加速するが、発進直後はモーターのトルクが強力で、しかも滑らかだ。ツインエンジンとは2.0気筒のガソリンエンジンにターボとスーパーチャージャーを搭載したエンジンで、さらにモーターも搭載したパワーユニットのことだ。駆動はエンジンがフロントタイヤを駆動し、モーターはリヤタイヤを駆動する方式のPHEVモデルだ。
ボディサイズは全長4760mm、全幅1850mm、全高1435mm、ホイールベース2870mmとなっている。
全開の加速では0-100km/hは5.4秒というから、相当に速い。また、このクルマのアクティブ・ノイズコントロールは、走行中の騒音を打ち消す働きもあるが、パワーモードや強い加速時にはエンジン音をドライバーに聞かせるような演出も盛り込まれており、心地よいエンジン・サウンドも提供するなど憎い技も入っている。
もちろん標準走行モードとなるハイブリッド・モードは燃費を追求するため、高速道路の巡航、下り坂、減速時などにはすかさずエンジンが停止してモーター走行をしたり、減速回生が行なわれる。このあたりの動作はメーターパネルで表示されるが、なんの違和感もなく走り続けることができる。また下り坂や、ワインディング路を気持ちよく走りたいときは、セレクターを「D」から「B」にシフトする。
このBポジションでは回生ブレーキ力が強まり、同時にセレクターを手前に引くことでATのギヤもダウンシフトする。このシフトダウンを繰り返すことで任意のギヤ段=エンジンブレーキ力を選択できる。
ただし、このギヤ段はあくまで回生ブレーキとエンジンブレーキを合成したバーチャルのギヤ位置で、実際のATギヤの位置を示すわけではない。このBモード+シフトダウンで、ドライバーの好み通りのエンジンブレーキ・フィールが得られるのだ。長い下り坂や山道を気持ちよく走るにはうってつけの仕組みだ。
上質な重厚感も魅力
T6ツインエンジン AWDの車両重量は、ベースのT5モデルよりバッテリー、モーター類の重量が追加されるので車両重量は2050kgとかなりの重量級だ。T5モデルは1700kgだから約300kg重い。ただし、動力性能がアップしているので加速力ではむしろT6ツインエンジン AWDモデルのほうが力強く感じる。
しかし重量級のT6ツインエンジンAWDは、走りの面ではよりどっしり感が増し、ハンドリング、乗り心地などのバランスでは一クラス上といった安定感や重厚なフィーリングがある。また走行中の車内の静粛性、快適さもクラスでトップレベルだろう。
上質で自然と体にフィットするしつらえの良いシート、センスが良く上品なインテリアの配色やデザインなどボルボ・ワールドは心地よくて、ドライバーだけでなく乗員も快適そのものだ。
また、ボルボ車共通でフル・スペックのドライバー支援システム「インテリセーフ」を標準装備している点も強みになっている。
2種類のPHEV
ボルボのPHEVは、内燃エンジンとモーターという2種類の動力源を持つことからツインエンジンという独特の名称を使用している。システムとしては、エンジンのクランクシャフトと直結する発電用ジェネレーターと、リヤアクスルに駆動用モーターを配置した2モーター方式だ。
その2種類のPHEVモデルだが、318psを発生する4気筒ツインチャージャー・エンジン+モーター駆動システムを組み合わせ、総合出力405psの「T8 ツインエンジン AWD」。それと、同じ4気筒ツインチャージャー・エンジンで、出力253psのエンジン+モーター駆動システムを組み合わせて総合出力340psの「T6ツインエンジン AWD」の2種類が設定されている。ちなみにリヤの駆動モーター出力はT8もT6も共通で87ps/240Nmだ。またトランスミッションは全モデルがアイシンAW製の8速ATを搭載している。
EV走行ができるEVモードも装備
ボルボのツインエンジン AWDは、EVモード(ピュア・モードと呼ぶ)ではエンジンは停止し、リヤモーターだけで走行する。この場合は最高速125km/h、航続距離は48.2kmが可能だ。ハイブリッドモードでは、エンジンとモーターの両方の駆動で走行するが、65km/h以上ではモーターが切り離され、エンジンのみでのFF走行となる。オフロードモードは、エンジン+モーター駆動のAWDで、モーター駆動は40km/hまで働きそれ以上はFFになる。
またパワーモードもエンジンとモーターの両方で駆動するが、175km/h以上でモーターは遮断される。また、アクセルを強く踏み込むと自動的に車速に応じてAWDないしパワーモード走行となる。
こんな感じで、ドライバーのモード選択によりFF、後輪駆動、AWDとシステムは自在に切り替わるのは後輪にモーターを配置したPHEVならではだ。ただし、よほどメーターのパワーフローや音の変化に気をつけていないとドライバーも含め、乗員はこれに気が付かないだろう。それくらいシームレスに駆動が切り替わっている。
荷室を犠牲にしないパッケージ
またPHEVのパッケージングの特徴は、バッテリーをセンタートンネル部に縦置き配置していることで、このためリヤのラゲッジスペースに影響がなく、このクラス最大の529Lというラゲッジ容量が実現している。
もちろん、リヤシートに座った状態での膝周りの広さもクラスの中でも余裕があり、PHEVでのネガテイブな部分はない。こうしたことがバッテリーをセンタートンネルに縦置き配置したメリットだ。
今回の試乗は上級モデルの「T6ツインエンジン AWD インスクリプション」だったが、実は同じT6ツインエンジン AWDのベースモデル、「モメンタム」にも注目したい。モメンタムは659万円という戦略的な価格が設定されている。PHEVモデルにはエコカー減税+補助金が45万5000円補助されるので、実質価格は613万5000円となり、エンジンモデル/FFのV60 T5 インスクリプションとの価格差は14万5000円と差が小さくなる。
実は輸入プレミアムメーカーは各社ともPHEVモデルを日本に導入しているが、いずれも売れ行きは芳しくない。絶好調のディーゼル・モデルとは対照的だ。その理由は、やはりPHEVはメカ的に複雑で、家庭充電を行なえば、走行距離にもよるが実質的にはガソリンを使用せずEVモデルとして使用できる。また、バッテリー残量が少なくてもハイブリッド走行ができるといった強みが一般的に認知されていない。さらに、価格が高めなどの理由が重なっているようだ。
こうした背景があるので、「T6ツインエンジンAWDモメンタム」は、ノン・ハイブリッドのエンジン・モデルと実質的な価格差を縮小したチャレンジングなPHEVということができる。<レポート:松本晴比古/Haruhiko Matsumoto>
ボルボ V60シリーズ 諸元表
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