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“世界最速の代表”トヨタ小林可夢偉が見据える富士決戦の6時間「正解だったかどうかは明日、分かります」

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“世界最速の代表”トヨタ小林可夢偉が見据える富士決戦の6時間「正解だったかどうかは明日、分かります」

「ちょっとこの週末は雨絡みで、ここまでミックスコンディションで走ってきましたが、(予選は)ちゃんとドライで走れたし、タイム的にも去年よりいいタイムが出ている。最後(の連続アタック)はちょっとプジョーがスローダウンしていて引っ掛かったけど、それでもタイヤの美味しいところは掴めた。今日も気温が涼しいので何とも言えないんですが、BoP(バランス・オブ・パフォーマンス/性能調整)のパワーだとか、ウエイトだとかのことを考えても、このタイムが出るっていうのは、クルマのポテンシャルをしっかり示せたと思います」

 地元・富士スピードウェイで行われたWEC世界耐久選手権第6戦の予選は、小林可夢偉が“世界最速のチーム代表”であることを証明する驚異的タイム(2番手の僚友8号車にも0.624秒差)で、今季3回目のポールポジションをさらった。

予選“絶不調”のプジョー9X8「タイヤが作動域に入らなかった」/WEC富士

■『左側ハード、右側ミディアム』も活きるか?

 予選後の会見では、国内スーパーフォーミュラでの経験も引き合いに「タイヤの温度を、どこで、どのように組み立てるかは当然知っている」と語った可夢偉だが、それでも「正直に言うと、こんなラップタイムは予想していなかった」と、その心境を明かした。

「タイヤを適切に処理することで、今日は最大限の能力を引き出すことができたと思うし、あの瞬間しかない状況でかなり良いラップを刻めたと思う。このコースでは雲が近づいてくると『どのタイヤ、どの空気圧で走行する必要があるか』を判断するのは本当に難しいから」と続けた可夢偉。

 その意味でも、明日の6時間決勝に向け最初の関門クリア、というところだが、晴れの予報で気温上昇も見込まれるレースに向けては、この週末で唯一の“低温ドライ”となったFP2にて、セッション最終盤で左側にハードコンパウンド、右側にミディアムを装着した蓄積が活きてくる可能性もあるという。

「僕が乗っていないから何とも言えない(ホセ・マリア・ロペスが担当)ですし、ドライバー的には『なんでだ』って言ってたけれど、単純に減りを見てレースに対応したいっていうこと。ハード側のタイヤが『何周で、ウエア(摩耗)がどれぐらいあるのか』という確認です」と会見後の取材時に明かしたチーム代表。

 この週末に向けミシュランが持ち込んだミディアム/ハードの2種類に関し、低い温度レンジでハード側がどう機能するかを知り、その“落ち方”も含めて見極められれば、より温度の高い局面では確実に作動とグリップが得られる、と判断することも可能になる。

 明日、11時スタートから17時のフィニッシュを目指す決勝中には、曇りや場合によってはまた雨も舞う不安定要素が残るものの、事前予報どおり日差しの影響を受けて週末最高の路面温度を記録する場面も訪れるはず。そうなったときに「いきなり入れたくないタイヤを入れるよりは……」とのチームの判断も働いたという。

「それが正解だったかどうかは明日、分かります。今はなんとも言えない(笑)。今日のコンディションだったら、間違いなくミディアムの方が良いので。正直、このタイヤデグ(デグラデーション/性能劣化)に関しては、温度がかなり左右すると思います」と続けた可夢偉。

「明日の温度にしっかりクルマのバランスを合わせ、僕らがハンドル(管理)できるぐらいのレンジの中でクルマを転がす……っていうことができたら、うまくタイヤマネジメントができる。でも、その範疇から外れると『正直、運転じゃカバーできない』っていうのがあるから。今週はその(高い)温度でまだ走れていないので、明日はちょっと博打的な状態になる可能性はあると思っています」

 それでも、フロントロウには同じトヨタのGR010ハイブリッドが並ぶ。明日のレース展開を考えても、最終戦に向けた選手権上の優位性でも大きな戦果だったことは間違いない。

「明日のスタートも、いわゆる(後続を)抑えられるっていう意味では非常にベストなポジションからのスタートかなと思いますし、チャンピオンシップを考えても、まずトヨタとしての予選での1ポイントということと、ライバルに獲らせない。これがやっぱり大きいです」

 一方、金曜時点で「この週末は、それぞれが良いレースをしたい」と代表が語っていたとおり、本音ではポールが欲しかったはずの選手権首位8号車を預かる平川亮も、予選を担当したブレンドン・ハートレーとのセッション後のフィードバックから「最終セクターを中心に、わずかに届かない部分があった」と明かす。

「最後は(セクター3を中心に強まった)雨の影響もあったでしょうし、クルマの方でも少し気になる部分はありました。でもそれは明日の決勝では問題にならない部分ですし、今日は可夢偉さんがスゴかった、ということです」

 今回も最大のライバルと目されたフェラーリ・AFコルセ陣営は、中段6~7番グリッドからどこまで上がってくるか。さらにストレートエンドの伸びを武器とするポルシェや、好調キャデラックらも絡む展開となるか。注目の決勝レースは10日(日)午前11時より幕を開ける。

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