現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 5ナンバーミニバンはなくなってしまうのか? ノア&ヴォクシーが全車3ナンバーになった理由とは!?

ここから本文です

5ナンバーミニバンはなくなってしまうのか? ノア&ヴォクシーが全車3ナンバーになった理由とは!?

掲載 44
5ナンバーミニバンはなくなってしまうのか? ノア&ヴォクシーが全車3ナンバーになった理由とは!?

 トヨタの人気ミニバンノア&ヴォクシーが新型へと生まれ変わった。その新型において大きな変更があった。それは全車が全幅1700mm以上の3ナンバーモデルになったことだ!

 先代までは5ナンバーサイズの標準ボディと3ナンバーサイズのエアロモデルの設定があったのだが、新型では思い切って標準ボディを廃止したのだ。

5ナンバーミニバンはなくなってしまうのか? ノア&ヴォクシーが全車3ナンバーになった理由とは!?

 この大変革の背景を渡辺陽一郎氏に分析してもらった。

文/渡辺陽一郎、写真/ベストカー編集部

■新型ノア&ヴォクシーから5ナンバーサイズが消滅!

2022年1月に登場した新型トヨタ ノア。標準ボディ、エアロ仕様とも3ナンバー車となった

 2022年に発売された新型車の中で、特に注目されるのが1月に登場した現行ノア&ヴォクシーだ。売れ筋のミニバンで、新型はエンジン、ハイブリッドシステム、プラットフォームなどをすべて刷新させた。衝突被害軽減ブレーキを始めとする安全装備、運転支援機能も大幅に進化している。

 そのためにノア&ヴォクシーは、各種の機能がミニバンの中で最も先進的だ。特にハイブリッドシステムのTHS IIは、ほかの車種に先駆けて第5世代に進化したから、膨大なトヨタ車の中でも設計が一番新しい。

 ノア&ヴォクシーで、もうひとつ注目されるのがボディサイズだ。ノアは標準ボディとエアロ仕様、ヴォクシーはエアロ仕様のみを用意するが、先代型ではノアの標準ボディは全幅が1695mmに収まり、5ナンバー車になっていた。エアロ仕様は、先代型から3ナンバー車であった。

 それが新型では、標準ボディ、エアロ仕様ともに全幅を1730mmで統一され、全車を3ナンバー車にした。5ナンバーサイズの標準ボディは選べない。

 なぜ新型ノア&ヴォクシーは、3ナンバー専用車になったのか。

■ノア&ヴォクから5ナンバーサイズが消えた理由

2022年1月に登場した新型トヨタ ヴォクシー。ノアと同じく3ナンバー車となった

 一番の理由は、プラットフォームの刷新だ。先代ノア&ヴォクシーのプラットフォームは設計が古かった。そのために現行ハリアーに搭載される設計の新しい直列4気筒2Lエンジン、第5世代のハイブリッドシステム、さらに各種の先進安全装備などは、プラットフォームを刷新しないと採用できなかった。

 新しいプラットフォームは、プリウスから採用を開始したGA-Cと呼ばれるタイプだ。このプラットフォームを使って、全幅が1700mm以下の5ナンバー車を開発すると無理が生じるため、すべて全幅が1730mmの3ナンバー車になった。

 全車を3ナンバー車にした背景には、ユーザーの全幅に対する認識の変化もある。以前のノア&ヴォクシー、セレナ、ステップワゴンは5ナンバーサイズにも魅力があったが、最近のエアロパーツを装着したグレードは、すべて3ナンバー車だ。

 しかも3ナンバーサイズでエアロ仕様の先代ノアSi&ヴォクシーZS、セレナハイウェイスター、ステップワゴンスパーダは、販売比率が5ナンバーサイズの標準ボディよりも高い。そこでノア&ヴォクシーは、全車を3ナンバーサイズに拡大して、プラットフォームを始めとするクルマ造りを刷新した。

 ノア&ヴォクシーのボディサイズについて、販売店に尋ねると以下のように返答された。

「ノアやヴォクシーのお客様は、全幅などボディサイズを気にされるが、5ナンバー車というカテゴリーにはこだわらない。先代型の時点で、ノアの標準ボディは5ナンバー車だったが、多く売られていたのは、ノア、ヴォクシーともに3ナンバーサイズのエアロ仕様だった」。

 それなら5ナンバーサイズにこだわるミニバンのユーザーは、今ではいなくなったのか。この点も尋ねた。

「ミニバンを購入するお客様にも、5ナンバーサイズにこだわる方はおられる。最も多いのは、自宅の駐車場所が狭く、なるべく全幅を抑えたい場合だ。運転が苦手で3ナンバー車はダメ、というお客様もいる。そのような方は、シエンタを選ばれることが多い」。

 ノア&ヴォクシーが3ナンバー専用車になり、トヨタで唯一の5ナンバーミニバンとなるシエンタの役割が、従来以上に大切になった。

■ノア&ヴォクシーのイメージが変わっていく

先代のトヨタ ノア。3ナンバーサイズが売れ筋だったが、あくまで基本型である5ナンバー車の発展型という形だった

 それでもノア&ヴォクシーの3ナンバー化には、ひとつ心配なことがある。それは売れ筋は従来型から3ナンバーサイズのエアロ仕様になっていたが、5ナンバーサイズの標準ボディも併せて用意されていたことだ。

 登録台数は別にして、先代型のノア&ヴォクシーやステップワゴン、現行セレナには5ナンバー車があり、3ナンバーサイズのエアロ仕様は、その発展型に位置付けられた。これは5ナンバーサイズのミニバンというイメージをもたらす。

 それなのに現行型のノア&ヴォクシーとステップワゴンは、5ナンバー車を廃止した。2022年の後半から2023年に登場する次期セレナも、現行型の売れ筋がハイウェイスターだから、3ナンバー専用車になる可能性が高い。ミドルサイズミニバン全車に通じる印象として、以前の馴染みやすさが薄れるかも知れない。

 今の商品開発は「3ナンバーサイズのエアロ仕様が圧倒的な人気を得て、5ナンバーサイズの標準ボディは不人気だから、もはや5ナンバー車は用意する必要がない」というものだ。

 この判断が正しいか否かは、5ナンバー車を廃止した直後の現時点では分からない。売れ行きの乏しい5ナンバーサイズの標準ボディが、一種の求心力として、エアロ仕様の陰で人気を支えていた可能性もある。

 そして実際に、今でもミニバンに限らず5ナンバー車の人気は高い。2021年に国内で販売された乗用車の内、約35%を軽自動車が占めた。軽自動車も5ナンバー車に分類される。また5ナンバー車を中心としたコンパクトカー&5ドアハッチバックも、約25%のシェアを持つ。

 軽自動車とコンパクトカー&5ドアハッチバックだけで、乗用車シェアの60%に達するから、シエンタとフリードのような売れ筋の5ナンバーミニバン、ライズなど5ナンバーサイズのSUVも加えれば、日本で売られる乗用車の70%以上が5ナンバー車で占められる。

 この販売比率が定着している中で、ノア&ヴォクシー、ステップワゴン、セレナが3ナンバー専用車になると、売れ行きに悪い影響が生じる可能性もある。これらのミニバンの売れ行きは「日本の5ナンバー車の価値」まで明らかにするわけだ。「税金が同じだから、3ナンバー車でも構わない」という単純な話ではない。

こんな記事も読まれています

“直線番長”プジョー9X8、劣勢も決勝に自信「正しいアプローチかどうかは、レースで分かる」/ル・マン24時間
“直線番長”プジョー9X8、劣勢も決勝に自信「正しいアプローチかどうかは、レースで分かる」/ル・マン24時間
AUTOSPORT web
前年から運用方法が一部変更。2024年のル・マン24時間セーフティカールールをおさらい
前年から運用方法が一部変更。2024年のル・マン24時間セーフティカールールをおさらい
AUTOSPORT web
伝説の「6輪F1マシン」を生んだ小屋 70年前のティレル工場が移転保存 英国
伝説の「6輪F1マシン」を生んだ小屋 70年前のティレル工場が移転保存 英国
AUTOCAR JAPAN
JAFが義務化しているユニバーサルロゴの意味は? 実際にラリー車両に貼ってモータースポーツ参戦している人の声を聞いてきました
JAFが義務化しているユニバーサルロゴの意味は? 実際にラリー車両に貼ってモータースポーツ参戦している人の声を聞いてきました
Auto Messe Web
余裕と安心の「サイレント」スポーツ ベントレー 4 1/4リッター・ヴァンデンプラ(2) 創業者も認めた1台
余裕と安心の「サイレント」スポーツ ベントレー 4 1/4リッター・ヴァンデンプラ(2) 創業者も認めた1台
AUTOCAR JAPAN
ロールス・ロイス傘下の「ダービー」世代 ベントレー 4 1/4リッター・ヴァンデンプラ(1) 端正なコーチビルド
ロールス・ロイス傘下の「ダービー」世代 ベントレー 4 1/4リッター・ヴァンデンプラ(1) 端正なコーチビルド
AUTOCAR JAPAN
日産「新型“超凄い”スカイライン」まもなく登場! 420馬力の“史上最強”モデルはまさに「集大成」! もはや「次期型」に期待な“NISMO”実際どう?
日産「新型“超凄い”スカイライン」まもなく登場! 420馬力の“史上最強”モデルはまさに「集大成」! もはや「次期型」に期待な“NISMO”実際どう?
くるまのニュース
日本のキャンピングカーは仕上がりが違う! 知られざる「キャブコン」の製造工程とは
日本のキャンピングカーは仕上がりが違う! 知られざる「キャブコン」の製造工程とは
WEB CARTOP
首都高つながらない「関越道」どう行く? 渋滞を“まるっと避ける”マル秘ルートとは “練馬から正面突破”は最悪?
首都高つながらない「関越道」どう行く? 渋滞を“まるっと避ける”マル秘ルートとは “練馬から正面突破”は最悪?
乗りものニュース
テインの純正互換ショック「EnduraPro」シリーズに『カローラ』『シエンタハイブリッド』など6車種の適合が追加
テインの純正互換ショック「EnduraPro」シリーズに『カローラ』『シエンタハイブリッド』など6車種の適合が追加
レスポンス
メルセデスF1、トモダチ改造計画でW15を“ドライバーの味方”に「改善のためにマシンをいじめ抜く」
メルセデスF1、トモダチ改造計画でW15を“ドライバーの味方”に「改善のためにマシンをいじめ抜く」
motorsport.com 日本版
最高出力830PS、最高回転数9500rpm!フェラーリから自然吸気V12エンジン搭載モデル「12チリンドリ」が登場
最高出力830PS、最高回転数9500rpm!フェラーリから自然吸気V12エンジン搭載モデル「12チリンドリ」が登場
@DIME
高速道路で「人が旗振ってる!」意味わかりますか? 見かけたらそこは「危険」
高速道路で「人が旗振ってる!」意味わかりますか? 見かけたらそこは「危険」
乗りものニュース
軽自動車の「白っぽく見えるナンバー」なぜ増えた? 軽であること隠したい!? 導入7年「図柄入りナンバー」の現状は?
軽自動車の「白っぽく見えるナンバー」なぜ増えた? 軽であること隠したい!? 導入7年「図柄入りナンバー」の現状は?
くるまのニュース
61年の歴史で初 ハイブリッド化されたポルシェ改良新型「911」に熱視線! SNSでの反響とは?
61年の歴史で初 ハイブリッド化されたポルシェ改良新型「911」に熱視線! SNSでの反響とは?
VAGUE
【試乗】新型シトロエンC3は革命を呼びかけるヤバいクルマ! 日本上陸前に本国でBEVの「ë-C3」に乗った!!
【試乗】新型シトロエンC3は革命を呼びかけるヤバいクルマ! 日本上陸前に本国でBEVの「ë-C3」に乗った!!
WEB CARTOP
モーターマガジンMovie 週間視聴回数BEST5 プラス1(2024年6月9日~6月815日)
モーターマガジンMovie 週間視聴回数BEST5 プラス1(2024年6月9日~6月815日)
Webモーターマガジン
東急バス「バス以外の交通手段」に参入 チャリもクルマもライバルじゃない “相乗効果”狙う
東急バス「バス以外の交通手段」に参入 チャリもクルマもライバルじゃない “相乗効果”狙う
乗りものニュース

みんなのコメント

44件
  • しかし‥いつ見てもひどいグリルですね‥。カミソリみたい
  • 昔、5ナンバーのR32スカイラインから3ナンバーのJZX100マークⅡに乗り換えたけど後ろの長さ以外はそんなに感覚も変わらなかった。
    ヤリスクロスも3ナンバーだしあまり気にする必要はないのではと思う
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

267.0351.8万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

9.6552.8万円

中古車を検索
ノアの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

267.0351.8万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

9.6552.8万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村