アルファ・ロメオ・ステルヴィオ・クアドリフォリオ 英国価格は邦貨1000万超え

もくじ

ー フェラーリ製エンジン　ライバルは2ドア・クーペ
ー 電光石火のシフト　リア左右輪でもトルク分配
ー クアドリフォリオ+4つのトリムレベル
ー 卓越したハンドリングのSUV
ー SUVは必要　さもなければ待つのは「美しい死」

フェラーリ製エンジン　ライバルは2ドア・クーペ

アルファ・ロメオは、今夏英国へ上陸する510psを発揮するビターボ2.9ℓV6エンジンを積んだブランド初のSUV、ステルヴィオ・クアドリフォリオの価格が6万9500ポンド（1055万円）からになると発表した。

この価格はステルヴィオのエントリーモデルの実に2倍以上であり、同じエンジンを積むジュリア・クアドリフォリオよりも7905ポンド（120万円）高価なプライスタグを掲げることになる。


ステルヴィオ・クアドリフォリオでは、510psを発揮するフェラーリ製2.9ℓV6に、8速オートマチック・ギアボックスとトルクベクタリング・システムが組み合わされる。アルファ・ロメオCEOのリード・ビグランドが昨年AUTOCARに対して話したとおり、「2ドア・クーペのような運転フィールを実現するため」にこのクルマにはリア優勢のセッティングが与えられている。

「フェラーリのエンジンでただ単に優れたパフォーマンスを実現するだけでなく、アルファ・ロメオらしいモデルにする必要がありました。クアドリフォリオはニュルブルクリンク最速のSUVになるでしょう」とビグランドはいう。「ステルヴィオはアルファ・ロメオがもつ105年の歴史に相応しくないとお思いになるかも知れませんが、一度そのステアリングを握って、ひとつでもコーナーを駆け抜けてみれば、これまでのアルファ・ロメオと何ら変わるところの無いモデルだと理解頂けるでしょう」

電光石火のシフト　リア左右輪でもトルク分配

ステルヴィオ・クアドリフォリオには、レースモードではわずか0.15秒でシフトを行う8速オートマティック・ギアボックスが組み合わされる。さらに、ステアリングコラムに設置されたアルミニウム製パドルによるシフトも可能であり、「ダイナミック」、「ナチュラル」、燃費を重視した「アドバンスド・エフィシエンシー」と、パフォーマンスに特化した「レース」の4つのドライブ・モードが設定される。


さらにこのSUVには、カーボンセラミック製ブレーキをもつインテグレーテッド・ブレーキシステムが搭載される。アルファ・ロメオでは、スタビリティ・コントロールとブレーキサーボを組み合わせたこのシステムにより、停止距離を短縮することができると話す。サスペンション形式はフロントにダブルウィッシュボーン、リアには4.5ポイントのマルチリンクシステムが選択され、いずれも調整式ダンパーとの組み合わせとなる。

ジュリアとは異なり、このステルヴィオのホットバージョンは、アルファ・ロメオがもつQ4システムを搭載した四輪駆動モデルだけとなる。このシステムでは、通常のコンディションでは100%のトルクをリアに伝達する一方、トルクベクタリングと組み合わせることで、初めてフロントとリアへ最大50/50の比率でトルクを分配することが可能となっている。さらに、リアのディファレンシャルにふたつのクラッチを搭載することで、リア左右輪のあいだでもトルクベクタリングを可能としている。

クアドリフォリオ+4つのトリムレベル

アルファ・ロメオ初のSUVでは、主力となるエントリーレベルのトリムをもつスタンダードモデルの価格が3万3990ポンド（516万円）からとなる。これはジャガーF-PACEのエントリーモデルよりも740ポンド（11万円）安価な価格設定だ。

選択できるエンジンは2種類となる。181psと210psのパワーをもつ2.2ℓディーゼルのうち210psは四輪駆動モデルでのみ選択可能であり、200psと280psの2.0ℓガソリンエンジンは四輪駆動モデル専用となる。エントリーモデルでは181psのディーゼルエンジンがリア駆動と組み合わされる。

サルーンモデルのジュリア（英国仕様）同様、ステルヴィオにはクアドリフォリオ以外に、標準となる「ステルヴィオ」、「スーパー」、「スペチアーレ」と「ミラノ・エディツィオーネ」の4つのトリムレベルが設定される。エントリーモデルでは17インチのアルミホイールと、アダプティブ・クルーズコントロール、8.8インチモニターをもつインフォテインメント・システム、オートマチック式ライトとワイパー、リアにふたつのUSBポートに加えて、自動緊急ブレーキやレーンキープ・アシストなどの安全技術が組み合わされる。F-PACEよりも安価なプライスタグを掲げるだけでなく、メルセデス・ベンツGLCよりも2435ポンド（37万円）、アウディQ5よりは4045ポンド（61万4千円）安く、小型プレミアムSUVのセグメントで最も安価な1台となっている。


クアドリフォリオを除けば、ステルヴィオのトップモデルとなるのは280psのガソリンエンジンを積むミラノ・エディツィオーネとなる。4万5390ポンド（689万円）のプライスタグを掲げ、スペチアーレのトリムに、電動調整式フルレザーシートとバックカメラ、20インチのアルミホイールとキーレス・エントリーを組み合わせるとともに、10台のスピーカーとサブウーファーをもつアップグレードされたスピーカー・システムが装備される。ミラノ・エディツィオーネの0-100km/h加速は5.7秒と、アウディSQ5よりは0.3秒遅いタイムとなる。

卓越したハンドリングのSUV

ビグランドは、ステルヴィオはそのハンドリングによって、ライバルがひしめき合うなかでも存在感を発揮することができると話す。

「お客様はこのクルマがもつドライビング・ダイナミクスによって、われわれのミッドサイズSUVを選ばれることになります。アルファの全てのモデルには、卓越したドライビング・ダイナミクスが備わっており、このモデルも失望させるようなことはありません」

ビグランドはステルヴィオのニュルブルクリンクでのラップタイムを8分以下だと予測する。ポルシェ・パナメーラのラップタイムは7分56秒だった。


「ステルヴィオはSUVとしてのキャラクターを犠牲にすることなく、2ドアのライバルたちに挑戦するべくエンジニアリングをほどこされたユニークなモデルです。フェラーリ製エンジンによって、クラスをリードするパワーを持つとともに、このクルマにはアルファ・ロメオが誇るQ4四輪駆動システムが組み合わされることになります」

ステルヴィオには280ps/40.8kg-mのパワーとトルクをもつ2.0ℓガソリンエンジンもラインナップされる。

ステルヴィオはアルファ・ロメオのモデナにあるエンジニアリング拠点で開発され、その生産は、ジュリアとともに、最近アルファ・ロメオが設備投資を行ったイタリア国内のカッシーノ工場で行われる。

SUVは必要　さもなければ待つのは「美しい死」

ステルヴィオはプレミアムなコンパクトSUV市場においては、全長4686mm、全高1677mm（アンテナ含む）、全幅1903mm（ミラーまで含めると2163mm）と比較的小型なモデルとなる。ちなみに、ポルシェ・マカン・ターボは、全長4699mm、全高1624mm、全幅1923mmとわずかに大柄なボディをもつ。

アルファ・ロメオでは、ドライブシャフトとボディ、さらには多くのメカニカルパーツの材質にカーボンファイバーを採用するなどして、理想的な重量配分を実現したと話す。ステルヴィオのトップモデルの0-100km/h加速は、いかなるライバルをも凌ぐ3.8秒を達成している。


クアドリフォリオには、カーボン製サイドスカートや、よりアグレッシブなバンパーデザイン、拡大されたホイルアーチなどの、力強いボディワークが与えられる。ハッチゲート上部には、アルファ・ロメオがスタイリング上の利点よりも、エアロダイナミクス面での効果があると主張するリアスポイラーが設置される。さらに、フロントには、クアドリフォリオだけの特徴となるインタークーラー用のベントが設けられている。

近い将来、アルファ・ロメオには、ステルヴィオ以外に、より小型なモデルと、より大型のふたつのSUVモデルが加わることになる。さらには2021年までに登場予定の9つの新型モデルのひとつとして、BMW 5シリーズのライバルとなるジュリアのエステート・バージョンも登場予定だ。ステルヴィオはアルファ・ロメオが送り出す初のSUVだが、その重要性は前CEOのハラルド・ヴェスターも認識していた。彼は「もちろん、アルファ・ロメオの純粋さを保って、クロスオーバーの流行には目を瞑ることもできます。しかし、その結果は美しい死でしかないのです」と話していた。