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「なぜトヨタは強いのか」 他社も新型車投入相次ぐ中、トヨタ一強時代が到来する訳

掲載 更新 36
「なぜトヨタは強いのか」 他社も新型車投入相次ぐ中、トヨタ一強時代が到来する訳

■軽自動車を除いて強みを持つトヨタの全方位戦略

 昨今の国内における新車市場では、とくに登録車においてトヨタ一強ともいえる状態が続いています。
 
 日産やホンダ、マツダ、スバル、三菱もそれぞれ魅力的な新型モデルを投入しているものの、販売台数上位のほとんどはトヨタとなっていますが、それは単なる販売力の差だけなのでしょうか。

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 2020年の登録車年間販売台数において、1位トヨタ「ヤリス(15万1766台)」、2位トヨタ「ライズ(12万6038台)」、3位トヨタ「カローラ(11万8276台)」、4位ホンダ「フィット(9万8210台)」、5位トヨタ「アルファード(9万748台)」、6位トヨタ「ルーミー(8万7242台)」、7位ホンダ「フリード(7万6283台)」、8位トヨタ「シエンタ(7万2689台)」、9位日産「ノート(7万2205台)」、10位トヨタ「ヴォクシー(6万9517台)」となり、10台中7台がトヨタ車という結果でした。

 この販売台数は、一般社団法人日本自動車販売協会連合会が公表しているもので、「ブランド通称名」を合算しています。

 例えば、ヤリスの場合、ヤリス/ヤリスクロス/GRヤリス。カローラの場合、カローラ/カローラツーリング/カローラスポーツ/カローラアクシオ/カローラフィールダーを合算した台数です。

 また、毎月上旬に公表されますが、実際には当月の販売台数ではなく登録(ナンバー取得)の台数となり、一概に比較出来るものではありません。

 しかし、それでも売れているモデルには代わりはないため、この公表データを元に「売れた/売れていない」が判断されているのです。

 そうしたなかで、トヨタ勢が上位を占める理由として、ラインナップのバランスが挙げられます。

 国産メーカーはそれぞれ強みを持つジャンルがあり、軽自動車であればダイハツやスズキ、近年では「N-BOX」などが好調なホンダ。

 SUVではマツダが「CXシリーズ」を展開してラインナップ数が豊富なほか、三菱やスバルは以前から4WD性能に定評がありました。

 また、日産は「ノート」や「セレナ」、「キックス」といったモデルにエンジンを発電機として用いるe-POWERが好評です。

 このようにそれぞれ強みを持つ国産メーカーですが、トヨタはどうなのでしょうか。

 トヨタは、パワートレインにおいては1997年に世界初の量産ハイブリッド車として投入した「プリウス」以降ハイブリッド車のラインナップを拡充。

 ボディタイプでは、その時代のニーズに合わせて変化させており、近年ではSUV人気もあり、2021年現在で7車種。また、燃料電池車という部分では「ミライ」など多方面に強みを持っています。

 また、ボディタイプにおいてトヨタは軽自動車をダイハツからOEM供給されている以外、前述の販売台数ランキングのようにコンパクトカーではヤリス、コンパクトトールワゴンではルーミー、SUVではライズやヤリスクロ、ハリアー、ミニバンではコンパクトなシエンタからアルファード、セダンやワゴンではカローラシリーズとバランス良くラインナップしているのです。

 こうしたラインナップにおいて、首都圏のトヨタ系販売会社の担当者は次のように話しています。

「一般的にクルマを購入する際、同じような価格帯やコンセプト、パッケージを持った他社の競合車と比較されます。

 そうした場合、他社との値引き競争などが起こり、場合によっては他社の競争車を購入されます。

 しかし、最近のトヨタではブランド内のラインナップが豊富なことから、トヨタ内で比較検討される人が増えています。

 また、全国で全車種の取り扱いが開始されたことで、お客さまはどの店舗に行っても自由にトヨタ車を選ぶことが出来るようになりました。

 これにより、これまで近くの店舗で購入やメンテナンスが出来なかったお客さまなどには近くで済ませられるというメリットも出ています」

※ ※ ※

 トヨタは、以前から現在の国内ラインナップ数を半減させるという方針を打ち出しています。

 2019年には、「マークX」や「エスティマ」、2020年9月にはルーミー/タンクがルーミーに統合、同年12月には「ポルテ/スペイド」が生産終了、2021年3月には「プレミオ/アリオン」、プリウスαが生産終了と、ラインナップの整理が始まっています。

 今後も売れている車種にラインナップは絞られると見られますが、それでもトヨタブランドのラインナップはバランス良く揃っているため、今後もこの方程式が強さを発揮し続けるといえそうです。

■トヨタの販売体制は他メーカーと何が違う?

 前出の販売会社の担当者が触れていた全国で全車種の取り扱いが開始という部分には、どのような意味があるのでしょうか。

 かつてホンダや日産、マツダなどもトヨタと同じような複数の販売チャネル体制を構築していました。

 しかし、それぞれに専売モデルを設定することは、その分開発費や製造過程のコストが掛かります。

 こうした理由から2000年代には、トヨタを残して複数の販売チャネルは廃止されました。

 そのなかで、これまでトヨタは4つの販売チャネル(トヨタ店/トヨペット店/カローラ店/ネッツ店)を展開し、それぞれに専売モデルを設定していました。

 例えば、ミドルミニバンの「ノア/ヴォクシー/エスクァイア」はシャシが共通したデザイン違いのモデルですが、ノア(カローラ店)、ヴォクシー(ネッツ店)、エスクァイア(トヨタ店・トヨペット店)となっていましたが、2020年5月から全国の店舗で全車種が取り扱えるようになったのです。

 そして、前述のようにユーザー側のメリット増や新型モデルの投入などにより、コロナ禍ながら販売台数を伸ばしていました。

 また、各社の販売体制という部分では店舗数も大きく影響しています。

 トヨタ系列の販売店は全国に約4600店舗といわれており、ホンダや日産が約2000店舗、マツダやスバルが600店舗から800店舗、スバルが約500店舗とそもそもの販売店に大きな差が存在します。

 これらの販売体制の差がそのまま販売台数の差になっているのです。

 こうした店舗数について、日産の販売会社の担当者は「やはり、店舗数が多いほうがお客さまからすると購入しやすいです。メーカーにこだわらず、自分の家の近くに店舗があるという理由で、来店されるお客さまも一定数はいらっしゃいます」と話しています。

※ ※ ※

 また、コンビニなどと同じようにどこにでもあるという部分では、今後のサービス展開において重要な要素となり得ます。

 今後、販売店は新車購入やメンテナンス以外にモビリティサービスの拠点となる戦略が各社から打ち出されています。

 そのため、店舗数が多いほうがカーシェアリングなどのサービスも広く展開しやすいうえ、電気自動車がさらに普及すれば充電スポットの拠点としても重要な役割を持ってきます。

 現在、日産ではほとんど店舗に充電スポットを設置しており、日産車以外の電気自動車でも充電が可能です。

 こうした単純にクルマの販売だけでなく、さまざまなサービス展開においても店舗数は大きな強いとなります。

 今後、サービス面を含めた販売体制の構築は新たな局面を迎えていくのかもしれません。

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みんなのコメント

36件
  • 大枚をはたいて自社の車を買ってくれたお客さんを地道に満足させ続けた結果だね。一度トヨタに乗った人がトヨタを買い続けてくれる。シェアが増えるというのはそういうこと。商品ラインアップとかディーラー数とかは、さらにその結果でしょ。
  • トヨタは他が追従できないほど商品力と広告戦略が強すぎる。儲けてはヒット商品を分析して売れそうな所に徹底的に仕掛ける。
    『ラインナップを増やした』ってよりも『気付けば増えてた』って感じだろう。増えすぎたしそろそろ整理しよっか。みたいな。

    逆に他社はトヨタに客を取られ、儲けが減り、車を作れなくなる負の連鎖。
    いやー他社も全然頑張ってるんだけどさみしいねぇ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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