ボルボXC40に2021MYからプラグインハイブリッドモデルが追加される。数ある自動車メーカーの中でもCO2削減に積極的なボルボは、2040年にクライメートニュートラル、つまりCO2排出ゼロを目指していると発表。このXC40のプラグインハイブリッドモデルの追加によって、ボルボが生産するモデルのすべての電動化が達成されているのだ。
「ボルボXC40リチャージ プラグインハイブリッドT5」がその名称。今後、マイルドハイブリッドモデルは「B」を用い、プラグインシリーズが「T」そしてEVモデルは「P」を用いた名称が使われるということだ。
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試乗したモデルは20MYのPHEVであり、21MYとはエクステリアに若干の違いがある。まず、名称変更があり、これまでプラグインハイブリッドは「ツインエンジン」という言い方をしていたが今後は「リチャージ」という言い方に変わる。装備類では、デュアルエキゾーストパイプは21MYから非装着になり、エンブレムも変わってくる。また180lm/h速度リミッター付きになることも違いのひとつだ。そして5年保証が全車に付帯することも違いのひとつだ。
新価値創造とは
さて、試乗したプラグインハイブリッドは、「車格感が上がった」というのがファーストインプレションだ。それは静粛性が高く滑らかに走ることで感じる高級感であり、もともと高級感のあるモデルが、モーター走行をすることでさらにハイソ感が備わったと感じるのだ。
クルマの新しい価値として近年注目されているのは、高級感ではないだろうか。ボルボがS60をリリースしたとき、プレミアムモデルメーカーとしての位置付けを色濃くアピールした。これまでクルマは利用する量販モデルと所有欲を満たすプレミアムモデルに大きく二分されていたが、電動化が進むにつれクルマの価値を見直すことが増えていると思う。
走る、曲がる、止まると言われる基本性能は、すでに自動車メーカー自身が担保した性能であり、その先にある新たな価値として、コネクテッドや、高度運転支援といった新技術が付加されている。そうしたことで、より便利になり、安全・安心へつながることの「価値」を訴求するケースが増えた。
その一方で、ボルボのようにCO2排出などの環境問題に取り組む企業理念も、メーカーの価値であり、プレミアムモデルという価値にプラスして伝えているわけだ。具体的にその理念はプロダクトにも反映され、その一台が今回の「XC40リチャージプラグインハイブリッドT5」ということになる。もっともユーザーに環境意識が希薄ではその価値は感じにくくなってしまうが、価値を感じて欲しいと思った。
また、ボルボはモデルごとのヒエラルキーを作らず、XC40はXC60の小型モデルでない、というラインアップにしている。デザインを見ればすぐに理解できるほど異なるデザインなのだが、モデルごとに訴求するテーマが異なり、XC60にはXC60の、XC90にはXC90の、そしてXC40にはXC40のそれぞれ全く異なる魅力をもったモデルということも、他社にはない新価値創造である。
モデル概要
さて、XC40リチャージ プラグインハイブリッドT5を簡単に説明すると、XC40は既販車で、今回プラグインモデルが追加された格好になっている。だが、ボルボの小型車用CMAプラットフォームには、新開発されたDRIVE-Eの3気筒1.5Lガソリンターボエンジンが搭載され、さらに7速DCTも新規自社開発し、それにモーターを組み合わせているパワートレーンを搭載しているのだ。
仕組みもユニークで、このDCTの偶数ギヤ段にモーター軸がある。ちなみにターボ過給圧は1.35kgf/cm2で、絶対圧235kPaだ。エンジンの出力は180ps/265Nmでモーター出力は65kW/160Nmとなっている。また搭載するバッテリー容量は10.91kWhで、国産のPHEVモデルを見てみると、プリウスPHEVが8.8kWh、アウトランダーPHEVで14kWhとなっている。
走行は2つのクラッチを使って動力を繋いだり、切り離したりする仕組みで、モーターだけの走行、エンジンだけの走行、両方での走行をし、エネルギー回生も行ないつつ効率のよいモードで走行する仕組みだ。
モーターは2速、4速、6速の3段階減速できるため、モーターの小型化ができ、かつ速度が高い時には減速できるため、高速走行でも消費電力が少なくて済むメリットがある。
通常、発進はモーターで動き出す。EV走行距離はおおよそ50km程度が可能なので、リージョナルな使い方であれば、EVだけで賄えることになる。またギヤの切り替えは、2速で発進し、おおよそ90km/h付近で4速に減速される。
エンジンの変速をイメージするとわかりにくいが、モーターは高速回転域まで減速なしでトルクを発揮し続けることができるため、このような減速が可能になるわけだ。
ドライブモードではハイブリッドモード、パワーモード、ピュアモード(EVモード)、そしてインディビデュアルとあるが、通常はハイブリッドモードを選択すると最適な出力パターンで走行する。
また、エンジンで走行するシーンでもエンジン音は静かで、モーター走行との違いを大きく感じることはない。こうした味付けで静粛性を高いレベルでキープし、高級感へとつなげているわけだ。
操舵フィールや乗り心地でも高級車のように、軽い操舵力で転舵でき、それでいて手応えはしっかりと手に伝わってくるので軽すぎて手応えのないステアフィールとは大きく異なる。
燃費はWLTC平均燃費で14.0km/Lで価格は649万円(税込価格)。このXC40リチャージ プラグインハイブリッドの価値をどう感じるか、是非試乗してみて欲しい。<レポート:高橋明/Akira Takahashi>
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