ソウルフルな咆哮 即時的なパワー
フェラーリ360 モデナの乗り心地は多少硬めだが、流れの速い区間に出れば、しなやかさが増す。軽快でありながら、安定している。ボディは剛性の高さを醸し出し、サスペンションからカタカタとノイズが出ることもない。
【画像】V8サウンドを全身で浴びる 360 モデナ/スパイダー/チャレンジ・ストラダーレ 現行のV8フェラーリも 全143枚
ステアリングは正確に反応し、手のひらへ伝わる感触も豊か。最近のフェラーリと異なり、直進時の神経質さもない。
ストロークの長いアクセルペダルを積極的に傾ければ、フェラーリらしく、3.6L V型8気筒エンジンのソウルフルな咆哮が放たれる。即時的にパワーが湧出し、ユニットの緊張感が伝わってくるが、洗練されてもいる。
ターボチャージャーで過給されるように、低回転域からたくましい。クレッシェンドしていき、最高出力に達したと思ってタコメーターを見たら、まだ6000rpmだった。
F1マティックは、スポーツ・モードへ切り替えると流暢に仕事を始める。7000rpm以上なら、0.15秒で次のギアを選ぶとか。シフトダウン時には、ブリッピング機能が働く。このモードではダンパーも引き締まり、一層の興奮を誘える。
シルバーストン・サーキットへ戻り、クリス・ハイゲンボッタム氏の360 スパイダーへ乗り換える。レッドのボディに、オープンゲートが切られた6速MTは、フェラーリのイメージ通り。F1マティックより多少ラップタイムが遅くても、許せるだろう。
バレエダンサーのように流暢なソフトトップ
スパイダーの発表は、2000年3月のスイス・ジュネーブ・モーターショー。フェラーリ初となる、全自動ソフトトップを背負い、サイドウインドウを下ろした状態で、20秒で開閉可能だった。
ソフトトップの動きは、バレエダンサーのように流暢。ボディと同色に塗られたクラムシェル・カバーの下へ見事に折り畳まれ、ロールバー後方に2本の峰が立ち上がった、美しい後ろ姿を生み出している。
ロールバーとその間には、ガラス製のウインドディフレクターが備わり、風圧による共振音を低減してくれる。エンジンカバーのガラスを介して、真っ赤に染められた吸気システムを鑑賞できる。
当時のフェラーリは、モデナからの妥協は殆どないと主張した。だが、シート後方の収納空間は狭くなり、ゴルフバッグは積めない。エンジン前方にクロスメンバーが追加され、フロントガラス周辺も強化され、ソフトトップを含めて車重は60kg増えている。
それでも、動力性能はほぼ変わらず。最高速度は289km/hがうたわれ、0-100km/h加速は4.6秒でこなした。英国価格は、モデナより6000ポンド高かった。
実際にステアリングホイールを握れば、これくらいの代償は払う価値があるとわかる。ハイゲンボッタムはこの360 スパイダーで、欧州のF1レース観戦を楽しんでいるそうだが、オープン時でも車内は無風に近く、ソフトトップを閉めれば平穏だと話す。
モデナより110kg軽いチャレンジ・ストラダーレ
走行距離は8万kmを超えているものの、確かにフィーリングはソリッド。360 モデナとの違いは、殆ど看守されない。120km/h近い速度でも、助手席の人と楽しく会話できる。乗降性も良い。気温が丁度いい季節は、間違いなくドライブが楽しいだろう。
筆者の感覚では、より高次元でクルマと一体になれる印象。より昔のクラシック・フェラーリと重なる体験だと思う。
小さな欠点といえるのが、ステアリング。360 モデナのように正確でクイックだが、凹凸の目立つ路面ではステアリングコラムがかすかに震える。アルミ製のルーフを切り取った見返りだ。
そして、極限まで360の能力を追求したのが、チャレンジ・ストラダーレ。2003年の英国価格は13万3025ポンドで、約3万ポンドもモデナより高かったものの、別次元といえるフェラーリを購入できた。
ワンメイクレースの360 チャレンジ・レーサーから派生した360 チャレンジ・ストラダーレは、大幅に軽く強力だ。カーボンファイバーが多用され、ウインドウガラスは薄く、リアウインドウはアクリル製へ置換。360 モデナより、110kgも軽い。
車内には、2脚のカーボン製シート。ドアパネルもカーボン製。防音材は、最低限しか残っていない。ブレーキディスクはカーボンセラミック製で、サスペンション・スプリングはチタン製。ホイールとナットも軽量化され、バネ下重量を5kg削っている。
極上のNA V8サウンドを全身で浴びる
3.6L V8エンジンは吸排気系を一新。最高出力は20ps増しの425psへ、最高速度は299km/hへ上昇し、0-100km/h加速は4.1秒へ短縮された。それでも、ホイールやエンブレム以外、見た目の差別化は最小限といえる。
トニー・ウィリアムズ氏の360 チャレンジ・ストラダーレは、シルバーの左ハンドル。右ハンドルは、100台しか作られていない。
深いバケットシートへ身体をはめ、カーボンが露出した軽いドアを閉める。レース・モードを選択すると、本領発揮の準備は万端。アイドリング時から、360 モデナにはないV8エンジンの勇ましさを感じ取れる。
左ハンドルで、ペダルのオフセットは小さいようだ。それ以外、運転姿勢や快適性はほぼ変わらず。トランスミッションはF1マティックのみの設定だったが、シリアスな360 チャレンジ・ストラダーレには適材だろう。変速は間髪入れず素早い。
右足へ力を込め、極上のNA V8サウンドを全身で浴びる。回転数を問わず加速は鋭いが、低回転域での粘り強さも失っていない。開けた道路で集中力を保てれば、最高の体験を享受できるに違いない。
軽量化が報われ、ステアリングは一層魅力的。乗り心地はハードだが、シャシーの能力を最大限に引き出せる、高精度な姿勢制御を叶えている。
近年は、お買い得だったフェラーリ・モンディアルや400なども価格が上昇中。360モデナに、まだ高騰の波は押し寄せていない。当時最も先進的で完成度の高かったフェラーリを、それらと同等の予算で探せるチャンスは、逃さない方が良いかもしれない。
協力:マイク・ウィーラー氏、ラードリー・モーターズ社、フェラーリ・オーナーズクラブGB、シルバーストーン・サーキット、ゲイリー・マリンズ氏
フェラーリ360 3台のスペック
フェラーリ360 モデナ(1999~2005年/英国仕様)
英国価格:10万1249ポンド(新車時)/9万5000ポンド(約1900万円/現在)以下
生産数:8800台
全長:4477mm
全幅:2050mm
全高:1214mm
最高速度:296km/h
0-96km/h加速:4.5秒
燃費:5.0km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1447kg
パワートレイン:V型8気筒3586cc 自然吸気DOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:405ps/8500rpm
最大トルク:36.9kg-m/4750rpm
トランスミッション:6速マニュアル/オートメーテッド・マニュアル(後輪駆動)
フェラーリ360 スパイダー(2000~2005年/英国仕様)
英国価格:10万7500ポンド(新車時)/8万5000ポンド(約1700万円/現在)以下
生産数:7565台
最高速度:289km/h
0-96km/h加速:4.6秒
車両重量:1507kg
※360 モデナと異なる部分のみ
フェラーリ360 チャレンジ・ストラダーレ(2003~2005年/英国仕様)
英国価格:13万3025ポンド(新車時)/25万ポンド(約5000万円/現在)以下
生産数:1288台
最高速度:299km/h
0-96km/h加速:4.1秒
車両重量:1337kg
最高出力:425ps/8500rpm
トランスミッション:6速オートメーテッド・マニュアル(後輪駆動)
※360 モデナと異なる部分のみ
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みんなのコメント
それまでのモデルと違い、乗り降りがし易くなって中も広々で近代的でした。
1番の違いは、フロントからリヤにかけて車幅がほぼ同じで運転しやすくなった事かな。
唯一難点は、確か規制で初期タイプだけかもしれませんが高回転で音が割れてフェラーリらしくなかったですね。
なので、マフラー替える人が多かったように思います。
フェラーリはどのモデルに乗っても良いですね。