この記事をまとめると
■ジャパンモビリティショー2023でスズキeエブリイコンセプトがお披露目された
2024年は軽バン戦国時代の到来! 軽商用車が一気にEVに置きかわるこれだけの理由
■eエブリイコンセプトはリヤ駆動で床下にバッテリーを搭載しているのを確認
■CHAdeMO対応、ステレオカメラも確認できたが、小まわり性能が気になる
ついにeエブリイ(コンセプト)もその姿を現した
トヨタ・ダイハツ・スズキの3社は、共同で軽商用EVを開発、2023年度内に発売することを公表している。すでに5月に開催された広島G7サミットにおいて、ダイハツ版が展示されていたが、ジャパンモビリティショーでは、スズキのブースにおいて「eエブリイコンセプト」がお披露目された。
軽商用バンに必要な性能、電動ユニットのノウハウなど、3社の知見を持ち寄って開発されている軽商用EVだが、スズキ版といえる「eエブリイ」は、どこから見てもダイハツの軽商用バン「ハイゼットカーゴ」と同じ格好で、フロントにはあからさまに後付けの「S」マークが目立っている。
3社共同開発の軽商用EVについては、生産をダイハツが担うと発表されていることを考えると、車体にハイゼットカーゴを使うことは納得だが、軽バンの世界では人気ナンバーワンを誇るエブリイのユーザーからすると、ハイゼットカーゴのボディであるというのは期待はずれといえるかもしれない。
それはさておき、せっかく実車が目の前にあるので、もっとも気になる点をチェックしてみよう。
気になるのは、駆動方式というか、正しくはモーターのレイアウトである。ベースとなっているハイゼットカーゴはフロントエンジン・リヤドライブのレイアウトとなっている。こうしたクルマをベースに、シンプルにコンバージョンEVを作るとなると、エンジン部分にモーターを置いて、リヤの駆動系(ホーシング)はそのまま利用することが多い。
しかし、上記のようなフロントモーター、リヤ駆動の設計ではトランスミッションを外したとしても、プロペラシャフトは残ってしまう。床下にバッテリーを積むEVにおいては、プロペラシャフトの存在はバッテリー搭載量を稼ぐにはネガとなるのはいうまでもない。
リヤ駆動で先進運転支援機能付きならうれしい
というわけで、eエブリイコンセプトの下にカメラを置き、フロア下を撮影してみると……リヤにモーターとデファレンシャルが一体となった電動ユニットが配置されていることを確認できた。
エンジン車では、いわゆるリジッドアクスルとなっているが、eエブリイコンセプトでは電動アクスルから左右にドライブシャフトが伸びている。それでも横方向の位置決めを担うラテラルロッドは確認できることから、一般的なサスペンション形式の分類としてはド・ディオンアクスルといえそうだ。
そして、床下部分はバッテリーパックが独占している。現時点ではバッテリー搭載量の詳細情報は公開されていないが、このサイズ感からすると、一充電航続距離200kmという開発目標をクリアしているであろうことは期待できる。
また、エンジン車のハイゼットカーゴにおいて給油口はフロントドアの下に置かれているが、eエブリイコンセプトの給電リッドはフロントにある。プッシュオープンタイプのリッドを開けると、上に普通充電、下に急速充電(CHAdeMO)のポートが見える。V2Hなどの外部給電装置につなげることを考えるとCHAdeMO対応は当然なのだが、あらためて実車で装備されていることが確認できた。
そのほか、外観からわかる部分でいうと、フロントウィンドウの内側上部にステレオカメラが置かれている。つまり、ダイハツでいうところのスマートアシストIIIに相当する先進運転支援システムが搭載されるということだろう。
とにもかくにも、3社共同開発の軽商用EVはリヤ駆動であることが確認できた。EV化によってフロントタイヤの切れ角が制限されるとは考えづらいため、FRのハイゼットカーゴの最小回転半径4.2mというスペックは、そのまま維持されているであろう。軽商用EVの主な用途がラストワンマイルの宅配業務であろうことを考えると、そうした小まわり性は使い勝手においける重要ポイントである。ただし、その点だけでいうとエンジン車のスズキ・エブリイは最小回転半径4.1mとさらに優れたスペックを誇る。
はたしてEV化によって最小回転半径をさらに小さくすることができているのだろうか。eエブリイの最小回転半径が、もしベースモデルと同じ4.2mであったとすれば、あらためてスズキの車体をベースに選べなかったのかと思ってしまうかもしれない。
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