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いすゞからOEM供給も知名度ゼロ!? スバル版ビッグホーンの不遇【偉大な生産終了車】

掲載 更新 3
いすゞからOEM供給も知名度ゼロ!?  スバル版ビッグホーンの不遇【偉大な生産終了車】

 毎年、さまざまな新車が華々しくデビューを飾るその影で、ひっそりと姿を消す車もある。

 時代の先を行き過ぎた車、当初は好調だったものの、市場の変化でユーザーの支持を失った車など、消えゆく車の事情はさまざま。

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 しかし、こうした生産終了車の果敢なチャレンジのうえに、現在の成功したモデルの数々があるといっても過言ではありません。

 訳あって生産終了したモデルの数々を振り返る本企画、今回はスバル ビッグホーン(1988-1993)をご紹介します。

【画像ギャラリー】歴史的名モデルをOEM供給 スバル版ビッグホーンをギャラリーでチェック!!!

文/伊達軍曹、写真/SUBARU、ISUZU、Land Rover

■SUVの草分けビッグホーンをいすゞからOEM供給

 何を思ったのか、いすゞの名作クロカン四駆のOEM供給版として突如発売。

 しかしエンブレム以外は車名すらオリジナルであるいすゞ版と同一とし、当然売れず、結果としてほぼ知られることなく市場から消えていったスバルのクロカン四駆。

 それが、スバル ビッグホーンです。

 スバル ビッグホーンのオリジナル版である「いすゞのビッグホーン」は、1981年にその初代が登場したラダーフレーム/副変速機付きのクロカン四駆。

いすゞ ビッグホーン(初代・1981年)。オフロードSUVの草分けとして海外でも高く評価され、OEM車の主力としてスバルのほかにもホンダ・GMなど多くのメーカーに供給された

こちらはランドローバーのレンジローバー(1970年)

 デビュー当初は「プアマンズ・レンジローバー」などと揶揄されましたが、1984年に5ナンバー乗用車登録のワゴンを追加。

 そして1987年にヘッドライトを角型とし、同時にスポーティ仕様である「イルムシャー」を追加したあたりから人気に火がつきました。

 そしていすゞのビッグホーンは1991年に2代目へと進化し、手頃ながら本格的な4WDモデルとしていすゞが乗用車事業から撤退するまで生産が続けられました。

 そしてそんななか、まるで取ってつけたように(?)OEM供給版としてスバルが売り始めたのが、今回ご紹介する「スバル ビッグホーン」です。

スバル 初代ビッグホーン イルムシャー(ロング・1988年)。イルムシャーとはドイツの名門チューナー「イルムシャー社」を指し、いすゞビッグホーンの展開としてはスポーティーなモデルを指す

 スバル版ビッグホーンの初代が発売されたのは1988年11月。1988年といえば世の中は90年代に沸き起こる「RVブーム」の前夜。

 初代三菱パジェロやトヨタ ハイラックス サーフ、日産 テラノなどの、ラダーフレームを採用したクロカン四駆がよく売れていた時代でした。

 しかしスバルにはそういったブームに対応できる車台がなく、自社開発するだけの時間とお金も(たぶんですが)ありませんでした。

 そこで急きょ、当時はスバルと資本提携を結んでいたGMグループ内にあるいすゞから初代ビッグホーンを供給してもらい、それをスバルのクロカン四駆として売ることになったのです。

 スバル版として販売されることになったのは、いすゞ版のなかでも一番人気だった「イルムシャー」で、搭載エンジンは2.8Lの直4ディーゼルターボ。

 ボディはロングとショートに加えてワイドとナローも用意され、トランスミッションも5MTと4速ATがラインナップされました。

スバル 初代ビッグホーン イルムシャー(ショート・1988年)

 そしていすゞの本家ビッグホーンが1991年12月に2代目へとフルモデルチェンジされると、スバル版のほうも1992年に2代目に移行。

 スバル版として供給されたのはフラッグシップである「ハンドリングbyロータス」のみでしたが、エンジンは3.2L V6ガソリンと3.1L直4ディーゼルターボの2種類がラインナップされました。

 そもそもの本家いすゞ版2代目ビッグホーンがカッコいい車でしたので、スバル版の2代目も(当然ながら)カッコいい感じのクロカン4WDではあったのですが、1993年にいすゞとのOEM契約が解消されたことで、発売からわずか1年で2代目の「スバル」ビッグホーンは販売終了となりました。

 ちなみに本家のほうの2代目は前述したとおり、2002年まで長らく販売されました。

■ほかにもっとやりようがあった!? スバル版が名前すら変えなかった理由

 いすゞ版ではなくスバル版のビッグホーンがあえなく販売終了となった理由。

 それは言うまでもなく、前段で申し上げた「1993年にOEM契約が解消となったから」なのですが、そもそもの本質的な理由は「スバル側にあまり売る気がなかったから」ということなのでしょう。

 開発予算を抑えつつ車種ラインナップを広げるため、他社からOEM供給してもらった車を売るというのはよくある話です。

 ビッグホーンにおいても、スバルだけでなくホンダが「ホライゾン」という車名でOEM供給版を販売しましたし、シボレーやオペルなどのGM版もありました。

 しかし、例えばホンダのそれはフロントグリルのデザインを変えていましたし、ホライゾン専用のボディカラーも用意されていました。

 そして当然、車名もビッグホーンからホライゾンへと変更しています。

 ですがスバル版のビッグホーンは、ブランドのエンブレムをいすゞからスバルのものに張り替えただけで、そもそもの車名すら「ビッグホーン」のままという脱力ぶりでした。

スバル 2代目ビッグホーン ハンドリング by ロータス・ロング(1992年)

 ちなみにOEM供給車の長い歴史のなかでも「車名も変えずにとりあえず販売した」という事例は、このスバル ビッグホーンとトヨタ コペン(GRスポーツ)ぐらいではないでしょうか?

 それはさておき、そのような脱力系のOEMクロカン四駆をわざわざスバルディーラーで買うユーザー層とは、果たしてどんな人だったかというと……正直よくわかりません。

 想像としては、「大のスバル党、または諸事情により車は絶対にスバルディーラーで買う必要がある人」で、なおかつ「そのときたまたま『……なんとなくクロカン四駆に買い替えたいなぁ』と思っている人」でしょうか?

 ……そういった人も、もちろん世の中にはいらっしゃったでしょうが、かなりの少数派であることは明らかです。そして少数ですから、当然あまり数は売れませんし、商売も成り立ちません。

 ということでスバル版のビッグホーンは物事の当然の帰結として、とっとと世の中から消えていくことになりました。

 なぜ、当時のスバルの上層部がこのプロジェクトを行おうと思ったのか? 最終的な赤字額はどのぐらいだったのか? というのは筆者は知りませんが、まぁ赤字は大したことはなかったのかもしれません。

 なにせ、エンブレムを付け替えただけの車でしたから……!

■スバル ビッグホーン 主要諸元
・全長×全幅×全高:4660mm×1745mm×1840mm
・ホイールベース:2760mm
・車重:2010kg
・エンジン:直列4気筒ICディーゼルターボ、3059cc
・最高出力:125ps/3600rpm
・最大トルク:28.0kgm/2000rpm
・燃費:――
・価格:296万3000円(1992年式 ロング ハンドリングbyロータス 5MT)

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みんなのコメント

3件
  • ホンダでもいすゞのビッグホーンのOEM出してたよね。
  • ビッグホーンとランクルのどちらか迷ったけどランクルにして正解だった
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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