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4ドア+4シーターの本物 フェラーリ・プロサングエへ試乗 例えるならGTC4クロスカントリー 前編

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4ドア+4シーターの本物 フェラーリ・プロサングエへ試乗 例えるならGTC4クロスカントリー 前編

真のフェラーリになる可能性を確信した

筆者は今、雪深いイタリアにいる。期待のフェラーリ・プロサングエへ試乗するために。けれどマラネロの技術者は、気温が低いため待って欲しいと話す。AUTOCARが独自に英国で準備した機会なら、恐らくピットレーンで暖気しているところだろう。

【画像】4ドア+4シーターの本物 フェラーリ・プロサングエ 競合モデル GTC4ルッソも 全129枚

タイヤの性能を発揮するには、寒すぎるらしい。カフェラテを飲んで、太陽のエネルギーが多く届くまで待つしかない。温かい4月なら理想的だが、少なくとも悪条件での走行性能は確かめられる。

せっかくだから、同社のエンジニアへいくつか質問させていただいた。彼によれば、背の高いモデルを作ろうという決断へ至ったわけは、真のフェラーリになる可能性を確信したからだという。

かくして、大きなフェラーリが誕生した。SUVと呼ぶべきか、クロスオーバーと呼ぶべきか、少し悩む。マラネロの技術者は、あえてそのような呼称を用いようとしない。

続けて、逆に質問を受ける。アストン マーティンDBXやランボルギーニ・ウルス、ロールス・ロイス・カリナンを運転した経験があるかどうか。とても丁寧な口調で。

筆者は、いずれのモデルも独自性が高く、直接的なライバルは存在しないと考えている。フィッシュ&チップスが、カレーライスと直接競うことがないように。どちらを選ぶかには、明確な理由がある。金曜日の夜に料理するのが面倒だから、とか。

自然吸気6.5L V12+トランスアクスル

話がずれてしまったが、プロサングエは、フェラーリ初となる正式な4ドアモデル。ウルスやポルシェ・カイエンは、フォルクスワーゲン・グループ内でアーキテクチャを共有するが、こちらは独自のアルミニウム製モノコックを採用する。

英国価格は、31万3120ポンド(約5041万円)から。ディーラーは、6万ポンド(約966万円)程度のオプションは追加して欲しいと考えているらしい。

滑らかなボンネットの内側、フロントアクスルの後方には、自然吸気の6.5L V型12気筒が収まっている。最高出力725ps、最大トルク72.8kg-mを発揮し、燃費は5.8km/Lがうたわれる。

駆動系統は、フェラーリFFとその後継のGTC4ルッソから派生したもの。ボディ後方に、トランスアクスル・レイアウトで8速ツインクラッチATが組まれる。さらに別の2速ATが、フロントアクスルへ駆動力を伝える。パートタイムの四輪駆動となる。

ロング&ローなシューティングブレークのGTC4ルッソは小さくない支持を集めたが、フロントノーズが長く、ドアは2枚しかなく、実用性が高いとはいえなかった。顧客は、もっと乗りやすいモデルを欲していた。

プロサングエには、ボディ側面にドアが4枚と、大きなリアハッチがある。ISOFIX規格のチャイルドシート固定ポイントも備わる。最低地上高は185mmあるから、歩道の段差も心配いらない。

全長は4972mmで、全幅が2028mm、全高は1586mmある。ちなみに、ウルス・ペルフォルマンテより約30mm、DBX707より約90mmも背が低い。車重は2033kgだ。

大人4名が過ごせるゆとりある車内空間

サイドドアのうち、リア側はリアヒンジで開く。Bピラーがコンパクトで済むため、3018mmのホイールベースを有効に使える。ドアを開閉させる重いメカニズムを、剛性の高い場所へ配置することも可能になる。

前後の重量配分は49:51で、トランスアクスル・レイアウトが効いている。そのかわり、リアのシートは左右で2脚に別れており、5シーターではない。

車内空間にはゆとりがあり、平均的な大人がフロントシートに座っても、リア側にも大人が充分過ごせる空間が残る。リアシートは電動で折りたためる。

荷室容量は473L。フォルクスワーゲン・グループの競合モデルは600L以上を確保しているから、余裕があるとは感じないだろう。

上質に設えられた荷室を保護するため、硬いカーペットで覆えるカバーが用意されている。それでも、スキーや自転車を運びたい場合は、テールゲートにラックを追加した方が良いだろう。

しばらくして気温が上昇し、プロサングエのステアリングホイールを握れるようになった。部分的に凍った駐車場で探りを入れると、かなりの勢いでダッシュする。エキゾチックな雰囲気がある。

今回の試乗ルートは、北イタリアの雪で覆われたアルプス山脈が舞台。タイヤはフロントが235/35 R22、リアが315/30 R23というサイズのスタッドレス。除雪はされている方だが、雪道にも挑もうと考えている。

ステアコラムに固定された大きなパドル

スポーティなヒーター付きのシートが据えられた車内は、居心地ががいい。運転席と助手席を、大きなセンターコンソールが仕切る。ダッシュボードも、左右に別れた造形が施されている。ドライビングポジションは適正で、視界も悪くない。

前方を見ると、フロントフェンダーの峰が視線に入るが、ボンネット自体は隠れている。筋肉質なボディラインのお陰で、リアウインドウは小さい。

メーターパネルはモニター式。ステアリングホイールのタッチパネルには凹凸が付き、ローマなどより操作しやすい。その奥には他のモデルと同様に、ステアリングコラムへ固定された大きなシフトパドルが並ぶ。

フェラーリは、バドル操作の邪魔になるという理由で、ステアリングコラムにレバーを付けたがらない。レイアウトは走行性能を優先に決められるため、レバーよりパドルが大切に扱われてきた。

しかし、プロサングエでは使いやすさも追求されている。ダッシュボードの中央には、エアコン用のロータリーダイヤルが備わる。タッチセンサー式で、押したりスワイプすることで、送風位置などを変更できる。

独立したボタンの方が操作しやすいとは思うが、大きなモニターへ統合されているより好ましい。

この続きは後編にて。

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みんなのコメント

4件
  • 写真で見るとまるでプ・・・
    おっと、実際見るとまるでサイズは違うでしょうが。
  • gtcルッソを4ドア化させて車高上げてsuv風にしたらこんな感じか。フェラーリの歴代モデルの中でもトップクラスの実用性重視って感じ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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