【VW ポロGTI】ピュアエンジンの面白さを味わわせてくれる小さなGTI

新車試乗レポート [2023.01.06 UP]


【VW ポロGTI】ピュアエンジンの面白さを味わわせてくれる小さなGTI
文●大音安弘　写真●ユニット・コンパス

　VWのエントリーモデルとして多くファンを持つポロは、2022年6月にビックマイナーチェンジを実施。そのトリを飾るのが、昨年11月に発表されたホットハッチのGTIだ。


マイナーチェンジで何が変わったのか
　ベース車同様に、内外装デザインの変更を受けたが、そのエクステリアは、アグレッシブさが増し、よりGTIらしい世界観が高まっている。

　正直、前期型のGTIは、兄貴分のゴルフGTIと比べると、ちょっと演出が地味だった感は否めない。それが、新ゴルフVIII GTIにも取り入れられるハニカムデザインのロアグリルとフォグランプを採用。リヤテールも幅広となったことで、ワイド感も増した。アルミホイールも新たに１８インチ仕様が選択できるようになり、スポーティさも強調されている。


　ボディサイズは、マイチェン版ポロと同等だが、ローダウンの専用スポーツサスペンションを装着するため、全高は20mmダウンに。その評価は、現行型も、やっとGTIらしいカッコ良さと迫力を纏ったといえる。


GTIとしての伝統を受け継ぎながらデジタル装備をアップデート

ポロGTI
　インテリアには、タータンチェック柄のトップスポーツシートをはじめとするGTI伝統の空間が受け継がれているが、標準車同様に、デジタル機能を強化。デジタルメーターパネル「Digital Cockpit Pro」やスマートフォンワイヤレスチャージングを全車に標準化。


　インフォメーションシステムは、標準ではナビ無しだが、従来同様にスマホリンクで対応。さらにETC2.0車載器が標準となったので、ナビを選ぶ必要性が減ったことは朗報だろう。また先進機能もフル装備の内容となり、日常からロングドライブまで幅広いサポート力を誇る。


ポロGTI
　やはり最大関心事は、性能の進化だろう。


　エンジンは、2.0L直列４気筒DOHCターボのままだが、改良を受け、最高出力が+7psの207ps/4600～6000rpmに向上。最大トルクは320Nmと同様だが、発生回転数の上限が+150rpm高められ、1500～4500rpmとなった。


　トランスミッションは、６速から７速のDSGに進化し、燃費消費率も15.7km/L(WLTC)と公表される。2.0Lターボ車であることを鑑みれば、その燃費は優秀といえるだろう。また多段化で高速燃費も向上したようだ。


　唯一残念なのが、切替可能なダンパーを含むスポーツパフォーマンスキットがオプション化されたこと。新設定の18インチアルミホイールとセットで、12.1万円に。ドレスアップ効果と快適性の向上を考慮すれば、選んで損のないオプションといえるだろう。


ポロGTIのメカニズム的特徴

ポロGTI
　その走りは、刺激的の一言。1310kgの軽量コンパクトなボディとハイパワーなエンジンの組み合わせは、スポーツカーとしての魅力を高める条件のひとつだ。


　その性能は、最高出力でゴルフＶGTIを凌ぎ、最大トルクだとゴルフVIGTIに勝るのだから当然だ。シーンによっては、その軽量さとコンパクトボディを活かし、ゴルフGTIとも良い勝負を見せるかもしれない。もちろん、上位モデルのゴルフだけの隠し味もあるだろう。


　例えば、リヤサスペンションは、ゴルフが４リンクに対して、ポロはトーションビームとなる。ただシャシーが共にMQBとなり、基本スペックの差は縮まっている点は見過ごせない。


ピュアエンジンの面白さを味わえるホットハッチ

ポロGTI
　試乗車は、18インチホイールとモード切替可能なダンパーの組み合わせのスポーツパフォーマンスキット付きだが、スポーツモードにすると、ダンパーはより引き締められる。ノーマルもしっかりとした感触だから、標準ダンパーだと結構、足は硬いかも。この点は、購入時のチェックポイントに加えて欲しい。


　いずれの乗り味でも共通するのが、ポロであることを忘れさせるパワフルなエンジンをしっかりと受け止めるボディと足回りの良さだ。


　その走りは、よりゴルフGTIに近づいたといえる。少なくとも刺激という面では、ポロの方が上かもしれない。ホットハッチを求めるユーザーの心を刺激する味と雰囲気をしっかりと作り込んでいるという感じなのだ。


まとめ
　今やゴルフGTIは、500万円に迫る。だが、ポロGTIならば、ベースで411.3万円だ。もちろん、お得という気はさらさらない。コア価格が300万円前後のポロシリーズでは超高級車だ。具体的には、エントリーのTSIアクティブベーシックの154.1万円差。ポロの上位スポーティグレードとなるTSI Rラインと比べても、81.4万円差にもなる。しかもGTIと言えど、ヒエラルキーはポロのまま。それでもポロGTIを選ぶ人は、その軽さとコンパクトさに価値を見出せる人だ。それだけにクルマ好きからは違いの分かる奴と認識されるだろう。


　またハンドブレーキ愛好派にも、ポロGTIは貴重な存在となる。ポロGTIの評価は、人により分かれるだろうが、ピュアエンジン車の面白さを伝えてくれる貴重な一台であることは間違いない。昔のゴルフGTIを懐かしむ人にも悪くない選択となるだろう。

Comments

マイナー前の中古車ならメーカー新車保証付きの程度の良い認定中古車でも200万前後で買えるからコスパは高い。新車で乗り出し450万はちょっとポロとしては高過ぎるけどね。

ポロは意外と高い。
大きさに不満が無いならゴルフが良いね。