日本では道路事情の関係で全長4700mm以下、全幅1700mm以下、全高2000mm以下の5ナンバーサイズのクルマが好まれてきる。だが今回はそんなの無視無視! トヨタ メガクルーザーの試乗をはじめ、威圧的なまでの暴力的ボディサイズの巨獣たちにスポットを当てていく! だって単純にカッコイイだもん!
※本稿は2022年10月のものです。本企画に登場するメガクルーザーは埼玉トヨタが所有する貴重な一台で、今回特別に撮影、試乗の許可をいただいたものです。このクルマはユーザーに向けた試乗車でも売り物でもないため、埼玉トヨタへの試乗や車両に関する問い合わせはご遠慮ください。
文/松田秀士、岡本幸一郎、ベストカー編集部、撮影/平野 学、取材協力/埼玉トヨタ本庄早稲田店
初出:『ベストカー』2022年10月10日号
最低地上高420mmってどゆこと のメガクルーザーほか デカいが正義! 日本を走った巨獣たち
■ホイールベース3395mmはジムニーの全長と同じ…!? 何もかもが規格外のトヨタ メガクルーザー
こんな国産車があったことをご存知か? 「和製ハマー」とも呼ばれた「メガクルーザー」。
1990年代初頭に開発された陸上自衛隊向け高機動車がベース。その民生用として登場したもので、メガクルーザーの販売期間は1996年1月~2001年12月と6年のみ。販売台数は133台程度。
価格は980万円だったが、その希少性から現在の中古車価格は1800万円以上!
そんな希少車を埼玉トヨタさんが車検を取得し動く状態で持っていて、特別に試乗許可いただいたという次第。
実は筆者、まったくの初試乗です。大きいのは認識していたが、実際に目の当たりにするとやはり相当デカい!
トヨタ メガクルーザー。全長5090×全幅2170×全高2075mm、ホイールベースは3395mm、車重2900kg、最低地上高420mm、最小回転半径は5.6m(!)
サイドビュー。3395mmのホイールベースは現行ジムニーの全長と同じ。直立したAピラーが特徴的。ボンネットは前ヒンジ開き。スクエアボディにシャープなノーズだ
リアビューはまさに断崖絶壁。リアゲートは真上にガバッと開く。その開口部はほぼスクエア。閉めるためのストラップは必須アイテム
全長5090×全幅2170×全高2075mm、ホイールベースは3395mm、車重2900kg。
際立つのは全幅2170mmと軽自動車の全長ほどもある3395mmのホイールベースだろう。
コレ普通に運転できるかなぁ? とちょっと心配に。
実は2900kgの車重は現在では準中型自動車(5t未満)に分類されるため、2017年3月12日以降に普通免許を取得した人は運転できません。
幸いにも筆者が普通免許を取得したのは昭和48年。じゃぁ最近運転免許取った人には運転のハードルが高いのか? というと、別にそんなことはなく運転はいたって普通。難しくないです。
ただ4.1L、直4ディーゼルエンジン始動用のチョークレバーが付いていたり、冬季にはおそらくグロープラグを通電させる作業があるだろうくらい。
視界のよさは特筆レベル! 運転席と助手席を隔てている巨大なセンターコンソールはトランスミッションを収納
普通のATゆえ使いやすい
軍用車の民生用車らしく質実剛健を地で行く無骨なコックピット。座面、シートバックは肉厚で座り心地がいい
リアシートは変則的な4人掛けで広いがタイト感あり
運転しやすさの秘密は後輪ステア。
Uターンや交差点での右左折時など、ステアリングをたくさん回す時にはリアタイヤが逆位相に大きく切れるので楽々方向を変えられる。
軽自動車の全長並みのホイールベースを持ちながら最小回転半径は5.6mと普通乗用車並み。
フロントウィンドウは思いっきり長尺の横長。おかげで視界は抜群。なんとフロントウィンドウには3本、リアには2本のワイパー。
サスペンションは前後Wウィッシュボーンでコイルスプリングではなく縦置きトーションバー。ちょっとバタつくけど乗り心地はなかなかいい。
最低地上高は脅威の420mm!最低地上高を確保するためにハブリダクションドライブを採用。日本車史上最強のオフローダー
4輪インボードブレーキを採用、ブレーキをデフとドライブシャフトの間に配置して小型軽量化を実現。乗り心地の向上にも貢献
420mmの最低地上高だからゲリラ豪雨の一時的冠水も、ものともしない。
床下を覗くと、前後インボード式のベンチレーテッドディスクブレーキ。
これはハブリダクションドライブといって、ドライブシャフトをハブとホイールのセンターより上部に接続することで車高を稼ぐ方法。
このためハブ内に減速ギヤを仕込みホイールを駆動。したがってそこにディスクブレーキを設置できないからインボード式にしているわけだ。
超重量級だが走りは軽快! 舵角が大きくなると、4WSはリアタイヤが逆位相に大きくステアするので運転し始めは戸惑うが、慣れると想像を絶する巨体を自在にコントロールできるし、小回りがきいて運転しやすい
巨獣の心臓部は4.1Lのディーゼルターボ。2900kgの巨体を考えると170ps/43.0kgmは驚くスペックではないが、力強さ満点!
車線いっぱいを使って走る巨獣をドライブするのは爽快だったぜ。
●トヨタ メガクルーザー主要諸元
・全長×全幅×全高:5090×2170×2075mm
・ホイールベース:3395mm
・車重:2900kg
・最小回転半径:5.6m
・最低地上高:420mm
・エンジン:4.1L、直4ディーゼルターボ
・最高出力:170ps/3000rpm
・最大トルク:43.0kgm/1600rpm
・トランスミッション:4AT
・タイヤサイズ(F/R):37×12.50R17.5-8PRLT
・新車時価格:980万円
(TEXT/松田秀士)
■デカさ、強さに憧れる!! 巨獣度ランキング 現行巨獣図鑑
常識を超越したデカさを誇る巨獣は、存在が無駄、エコじゃない、扱いにくいなどネガなイメージのオンパレードだと思う。
しかし、子どもは建機、バス、トラックなどが好きだ。理由は簡単で、デカくて強そうだから。人間のDNAにはデカいものに憧れる習性が刷り込まれているのだ!
クルマは凹凸があり完全な立方体ではないが、ここでは現行モデルを対象に、全長×全幅×全高によって算出された値の上4桁を巨獣度ポイントとしてランキング付けしていく。例えば、全長3395mm、全幅1475mm、全高1725mmのジムニーの巨獣度は0864(864)pt.となる。
ここで登場する現役巨獣たち、ぜひ讃えてほしい!
10位 メルセデスベンツ Gクラス…(全長4665×全幅1985×全高1975mm/巨獣度:1829pt.)…超高額SUVながらバカ売れして現在はオーダーストップのGクラス。旧型よりも若干小型化されたとはいえ巨獣ぶりをいかんなく発揮
■全長、全幅、全高別 現行モデルベスト5
6mに限りなく近い全長5990mmのファントムはまさに孤高の存在。全幅ではランク外のアヴェンタドール、BMW X6M、ベンツGLEクーペといったクルマが顔を出す。それにしても全幅2m超えは驚異的だ。全高はやはりミニバンが強し!
全長、全幅、全高別 現行モデルベスト5
【番外コラム】全長5.6m! 日本に現われた最新の巨獣 ジープグラディエーター試乗
長い! 目立つ! 周囲のみんなが目で追っているのをヒシヒシと感じる。とにかく見た目のインパクトは満点だ。
ジープグラディエーターに自動車評論家 岡本幸一郎氏が試乗
表面を保護するスプレーベッドライナーが施された荷台には、濡れたままのサーフボードや汚れたアウトドア用品をそのまま積んでもぜんぜん問題なし。ラングラーよりも後席のニースペースが大幅に拡大していて、座面下に収納スペースがある点も異なる。
全長が5.6mでホイールベースも3.5m近くあるので、運転するといかにも長いものを操っている感覚があるが、意外とすぐに慣れて内輪差も気にならなくなる。動きはゆったりとしていて、ラングラーよりも縦揺れがいくぶん少なく、乗り心地もマイルドで、高速巡行でも安定。
走りは洗練されているわけではないが、それもこのクルマのキャラのうち。ゴツいマッド&テレインタイヤもよく似合っている。舗装路では音が大きくてグリップ感も薄いものの、FOX社製ダンパーの組み合わせはオフロードで本領を発揮。粘り腰のグリップでかなりの難所もなんのそのだ。
「フリーダムトップ」を取り外して高い目線のまま開放感のあるドライブを楽しむこともできる。とにかく見ても乗ってもハイな気分になれるクルマ。これで920万円ならなかなかお買い得だ。
走りは洗練されているわけではないが、見ても乗っても気分がハイになれる貴重なクルマだ!
(TEXT/岡本幸一郎)
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みんなのコメント
乗り替え理由は、ただ単に乗ってみたかった。
記事は色々書いてあるが、田舎暮らしなので取回しに不便を感じた事は全く無かったなぁ。
強いて言えば、週末に買い物に行くスーパーは嫁さんと子どもを店の入り口で先に下ろして、駐車場の奥の方に止めて歩いて行くくらいで、ランクル80の頃からやっていたから何とも思わなかった。
兼業農家なので、草刈り機や小型の幸運機も搭載出来て重宝したが、2人目が出来て乗り降りがたいへんだからと親エスティマに代替えしたが、また乗ってみたいな。