現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 早すぎて高すぎた スカイラインクロスオーバーは今なら成功するのか?

ここから本文です

早すぎて高すぎた スカイラインクロスオーバーは今なら成功するのか?

掲載 48
早すぎて高すぎた スカイラインクロスオーバーは今なら成功するのか?

 先日登場した、トヨタ新型「クラウン」。4つのバリエーションのうち、最初に登場するのは「クロスオーバー」で、今秋発売予定とされている。

 近未来的なエクステリアデザインと、大径タイヤを装着した姿は、セダンとSUVを融合した高級クロスオーバーだというが、高級セダンとSUVとの融合といえば、日産「スカイラインクロスオーバー(J50型、2009年~2016年)」が、思い出される。

早すぎて高すぎた スカイラインクロスオーバーは今なら成功するのか?

 だが、デビュー当初は大いに期待されつつも、日本市場では受け入れられず、1世代で終えてしまったモデルだ。いま登場させれば、成功できるのだろうか。

文:吉川賢一
写真:NISSAN、TOYOTA

「インフィニティEX」の日本向けモデル

 J50型スカイラインクロスオーバーはもともと、日産の北米向け高級車チャンネル「インフィニティ」のクロスオーバーSUV「EX35」として、2007年に誕生したモデルだ。プラットフォームやサスペンションといったコンポーネンツの多くは、G35(日本名:V36型スカイライン)と極力共用していたが、内外装パーツはほぼ専用設計。3.7LのV6エンジンと当時としては多段の7速AT、駆動方式はFRもしくは4WDを組み合わせ、「G35のハンドリングと乗り心地の良さを持つ小型プレミアムクロスオーバーSUV」と位置づけられていた。

 EXのターゲットユーザーは、北米の小金持ちの奥様(旦那様はM45などの大型セダンを想定)。そのため、プレミアムを強調した路線となっており、素材にこだわったインテリアの質感が非常によかった。また、見た目だけでなく、走りも一級品。日本へ「スカイラインクロスオーバー」として導入された当時も、スカイライン譲りの走行性能は、評論家や自動車メディアの間で、非常に評価が高かった。

ベース車との価格差が大きすぎたことが敗因

 しかしながら、SUVという割には後席や荷室が狭いこと(日本市場は、乗る機会が少ないのに、後席の居住性を求める傾向がある)、燃費の悪い3.5Lエンジン仕様しか導入がなかったこと、2WDが420万~472.5万円、4WDが447.3万~499.8万円と非常に高額であったことなどがネックとなり、販売はほとんど盛り上がらず、2016年、国内販売は終了に。もし、中国で出していた2.5LのVQ25HR型エンジン仕様(しかもホイールベースを80mm伸ばしたロングホイールベース仕様。ただし中国国内向けの専売)でもあれば、違った結果となっていたかもしれないが、日本向けの追加・改良のためのプロジェクトが発足することはなかった。

後輪駆動のクロスオーバーSUVとして登場したスカイラインクロスオーバー。スカイライン譲りのシャープなハンドリングと乗り心地の良さは、非常に好評であった

 スカイラインクロスオーバーは、高額であったことに加えて、スカイラインクラスを購入検討する顧客のターゲット層が、ちょっと頑張れば手が届く価格差におさまっていなかったことも、人気が振るわなかった要因であろう。スカイラインクロスオーバーのような「派生型SUV」は、購入する顧客のターゲット層が変わらない価格差に抑えなければ、ヒットさせることは難しい。たとえいま登場させるにしても、ここが変わらないかぎり、スカイラインクロスオーバーのヒットは難しい。

スカイラインも次期型でクロスオーバーSUVが出ると予想!!

 しかし、逆にいえば、「購入する顧客のターゲット層が変わらない価格差」となれば、ある程度のヒットする可能性はあると筆者は考える。ただ、現行のV37型スカイラインは、2013年の登場と、すでに10年目のモデル。ハイブリッドモデルは、この夏に生産終了となり、ガソリンモデルは残されるものの、ベースが古すぎてお話にならない。期待するならば次期型で、ということになるだろう。

 次期型スカイラインについて、筆者は「電動AWD」になるという路線が濃厚だと考えている。バッテリーEVではなく、あくまでエンジンを持つ「e-POWER」シリーズになる、という予測だ。ボディタイプは、セダンタイプとクロスオーバーSUVタイプの両方が用意され、トップグレードには、2ドアのスポーツタイプ、つまり「スカイラインGT-R」が復活するのでは、と予測している。価格次第ではあるが、かなり面白いことになるのではないだろうか。

 日産としても、J50型スカイラインクロスオーバーでの失敗は、苦い経験であり、繰り返してこないはず。今度こそヒットさせるため、クラウンクロスオーバーの動向にも注目しているであろう。日産の星野朝子副社長の「スカイラインは諦めません」という言葉と、勢いを取り戻しつつあるいまの日産に、期待している。

こんな記事も読まれています

トヨタが新型「カローラパトカー」初公開! ド派手カラー&警察専用“特殊装備”を完備! 最新モデルを英で発表!
トヨタが新型「カローラパトカー」初公開! ド派手カラー&警察専用“特殊装備”を完備! 最新モデルを英で発表!
くるまのニュース
エムアンドエムデザインがスピーカーケーブル新製品「SN-MS1800 III」を発売
エムアンドエムデザインがスピーカーケーブル新製品「SN-MS1800 III」を発売
レスポンス
ホンダに「いまこそ聞いておきたい質問」特集(前編)
ホンダに「いまこそ聞いておきたい質問」特集(前編)
カー・アンド・ドライバー
ワイドなグリルでイメージ一新、日産から新型「ノート オーラ」発売!90周年記念モデルも同時リリース!
ワイドなグリルでイメージ一新、日産から新型「ノート オーラ」発売!90周年記念モデルも同時リリース!
LE VOLANT CARSMEET WEB
[ディーラーに聞いてみた] 今春マイナーチェンジした“トヨタGRヤリス”の反響は?
[ディーラーに聞いてみた] 今春マイナーチェンジした“トヨタGRヤリス”の反響は?
月刊自家用車WEB
EVの新フェーズ…EVトランスフォーメーションフォーラム2024 6月26日に開催
EVの新フェーズ…EVトランスフォーメーションフォーラム2024 6月26日に開催
レスポンス
ドラレコに迷っているならコレ! 必要十分な機能がちょうどいいコムテック「ZDR018」
ドラレコに迷っているならコレ! 必要十分な機能がちょうどいいコムテック「ZDR018」
月刊自家用車WEB
マジカルレーシングから「カーボン製三脚テーブル/カーボンカップホルダー」が発売!
マジカルレーシングから「カーボン製三脚テーブル/カーボンカップホルダー」が発売!
バイクブロス
ホンダ[新型フリード]は”もっといい”に進化!! 超実用性が高い3列目採用でシエンタと差別化へ
ホンダ[新型フリード]は”もっといい”に進化!! 超実用性が高い3列目採用でシエンタと差別化へ
ベストカーWeb
大型セダンからバカッ速スポーツモデルまでみんな「FF」! ホンダが「フロントエンジン・前輪駆動」を貫くワケ
大型セダンからバカッ速スポーツモデルまでみんな「FF」! ホンダが「フロントエンジン・前輪駆動」を貫くワケ
WEB CARTOP
日産が「“新型”小さな高級車」発表! 全長4mでクラス超え「豪華内装」×斬新グリル採用! めちゃ上質な「新型ノートオーラ」発売
日産が「“新型”小さな高級車」発表! 全長4mでクラス超え「豪華内装」×斬新グリル採用! めちゃ上質な「新型ノートオーラ」発売
くるまのニュース
Dステーション星野敏、最後のル・マン24時間へ。「完走して最後にしようと思います」
Dステーション星野敏、最後のル・マン24時間へ。「完走して最後にしようと思います」
AUTOSPORT web
新しい日産ノートオーラが、よりプレミアムになって登場!──GQ新着カー
新しい日産ノートオーラが、よりプレミアムになって登場!──GQ新着カー
GQ JAPAN
アウディ 特別仕様車「Q5/Q5 Sportback Sライン dynamic edition」を発売
アウディ 特別仕様車「Q5/Q5 Sportback Sライン dynamic edition」を発売
Auto Prove
アイデア倒れの珍装備とおじさんが復活してほしい昭和の[クルマ装備]
アイデア倒れの珍装備とおじさんが復活してほしい昭和の[クルマ装備]
ベストカーWeb
ストレート途中で減速しなきゃ……なんてことにはならない? 2026年F1のPU規則、FIA自信「その懸念についてはもう大丈夫だ」
ストレート途中で減速しなきゃ……なんてことにはならない? 2026年F1のPU規則、FIA自信「その懸念についてはもう大丈夫だ」
motorsport.com 日本版
いすゞ 新型「3列シートSUV」初公開! ド迫力でカッコいい“旗艦モデル”新型「MU-X」登場! 新グレード「RS」も追加し泰発売!
いすゞ 新型「3列シートSUV」初公開! ド迫力でカッコいい“旗艦モデル”新型「MU-X」登場! 新グレード「RS」も追加し泰発売!
くるまのニュース
データシステムがバックランプ用高輝度LEDバルブ「LED-T16A」を発売
データシステムがバックランプ用高輝度LEDバルブ「LED-T16A」を発売
レスポンス

みんなのコメント

48件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

447.1546.5万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

33.5165.7万円

中古車を検索
スカイライン クロスオーバーの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

447.1546.5万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

33.5165.7万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村