ガルバニックゴールドなる黄金色に輝くボディカラーのBMW X2が、体育館のような場所にセットされた発泡スチロール風のモノを突き飛ばしながら走っていくCM。どんな意味を持つのかと思ったら、新型X2を象徴するイメージ、The Rebel=反逆者ということを表現しているらしい。
そう、BMWは新型X2を単なるSUVではなく、これまでの優等生的価値観をブチ破るクルマとイメージづけているようだ。しかもそれ以前にBMWはそれをSUVと呼ばず、SAC=スポーツ アクティビティ クーペと称しているが。
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呼び名はさておきX2、スタイリングもこれまでのBMWのSUVとはちょっと雰囲気が違う。サイドのスカートはSUVとは思えぬほど低く、フェンダーのショルダーラインは高く、その上に天地に低いキャビンが載る基本構成。適度に引き締まっていてマッチョでもあり、これはこれでカッコいいと思う。
しかも、キドニーグリルはこれまでと違って下広がりのデザインで、その下にシルバーで囲った大きなエアインテークが存在する。ヘッドライトはキッと相手を睨む感じ。これも、反逆者の雰囲気を表現しているのだろうか。
ボディは4375×1825×1535mm、ホイールベース2670mmという、そこそこボリューム感のあるサイズだが、実はそのプラットフォームは現行MINI、つまり3代目BMW MINIや2シリーズと基本共通するものを使っている。
結果、エンジンは1.5リッター3気筒ターボもしくは2リッター4気筒ターボがフロントに横置きされ、前者がFWD=前輪駆動、後者がAWD=4輪駆動となる。トランスミッショッンは前者が7段DCT、後者が8段ATを装着。
グレードとしての呼び名は、1.5リッター3気筒+FWDが「18i」、2リッター4気筒+AWDが「20i」となる。今回の試乗車はX2 xDrive20i M Sport Xだから後者、しかもそのなかでもっとも高価なモデルで、税込みプライスは515万円になる。ちなみにもっとも安価なX2 sDrive18iは、436万円である。
試乗の舞台は箱根。というわけで、仙石原の端にあるホテルのパーキングから芦ノ湖スカイラインを目指す。広報資料には、ドライバーを中心においたコンセプトとモデルの個性を調和させ、低重心のドライバーシートポジションが設定された、とあるが、着座位置が特に低いという実感はなかった。
M Sportゆえ硬めのサスペンションを装備するのに加えて、試乗車はオプションの20インチホイール&タイヤを装着していた。したがって、乗り心地はSUVとしては硬めで、しかもちょっとザラついた感触をともなう。
純粋の硬さでは、前日に乗ったアルファ ステルヴィオの方が硬く感じられた。けれども、ステルヴィオは硬いけれどスムーズだったのに対して、X2は路面をなぞる感触が少々粗い。セグメントがひとつ違うから直接比較してもあまり意味はないが、たしかにそういう違いはあった、という話だ。
そういうサスペンションに20インチタイヤだから、ハンドリングはSUVとしては骨のある印象で、軽度なロール感と横Gを実感させながら、芦ノ湖スカイラインをキビキビと駆け上がっていく。プラットフォームが基本共通なためか、MINIにもつうじるドライビング感覚を持ったクルマと感じた。
20iの2リッター直4ターボエンジンは192psと28.6kgmを発生、対する車種は1620kgだから、8段ATを介しての動力性能に不足はなく、平坦路はもちろんこと、ワインディングロードの上りも、ドライバーの望むペースを容易にキープできる。
ただし、エンジンは回すとそこそこ勇ましいサウンドを発するし、ロードノイズもそれなりに侵入してくるから、あまり静かなクルマという印象はなかった。ま、静かな反逆者というのも、イメージとは違うかな、と思うが。
いずれにせよ新型X2は、これでオフロードに本気で踏み込むユーザーはほとんどいないだろうと思うし、メーカーもそれを見越して開発したに違いない、という印象のクルマに仕上がっている。SUVではなくSACなのだから、それでいいのかもしれない。
ところでこのX2、キャッチフレーズはThe Rebel=反逆者に加えてもうひとつ、Unfollow、つまりフォロワーにならない、というのがある。
フォロワーにならないのなら、今どきSUVを選ばない、という手があると思うが、それはきつすぎるジョークだろうか?
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