ユーザーにわかりやすい性能評価基準の統一
ペダルの踏み間違い事故が世間を騒がせたことにより、自動車メーカーでは安全装置の開発を促進しています。トヨタは普及型予防安全パッケージ「Toyota Safety Sence」搭載車の累計出荷台数が上昇中で、さらに後付けできる「踏み間違い加速制御システム」を設定しています。このように、安全装備・運転支援システムが拡充ラッシュですが、自動車メーカーによって名称や性能差がバラバラなのも事実。クルマに詳しくないユーザーからすればカタログを見ても難しく感じてしまいます。
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例えば、前述の「Toyota Safety Sence」は、3つの機能をメインにしたもので、追突事故、歩行者事故低減・軽減に寄与する「プリクラッシュセーフティ」。正面衝突や路外逸脱事故低減に寄与する「レーンディパーチャーアラート」、夜間、歩行者などの早期発見・事故低減に寄与する「オートマチックハイビーム」がセットになったものです。
名称はもちろん、説明があってもクルマに詳しくないユーザーにはピンと来ませんよね。これがメーカーごとに別々になっているとさらに混乱するはずです。そこで、国土交通省は各自動車メーカーが設定する安全運転装置の性能について、新たな認定制度を2020年に創設。ユーザーに受け入れられやすい統一の評価基準を設けることで、安全装置の普及を推進したいようです。
先端技術を活用した安全装置。メーカーの開発努力によってレベルアップされてきているのは事実なのですが、国土交通省としては広まり方をもっと早めたい考えがあるようで、メーカーや車種による性能のバラツキも指摘されている中、新たな認定制度で理解を得やすくする狙いです。事故を少しでも減らしたい、当然の話ですが、そのための新制度というわけです。
対象となるのは「ペダルを踏み間違えた際にセンサーで障害物を検知して加速を抑制する装置」「車線をはみ出した際にドライバーに警報で知らせる装置」「対向車が接近すると自動でライトの強弱を切り替える装置」など、なんとなく知っているような安全運転装置。これらの安全装置がどのような条件下で正しく機能するか、どれだけ早く危険を察知できるか、などの基準を年内に固めて2020年3月までに決定していくようです。
ちなみに安全装置のひとつ「ABS(アンチロックブレーキシステム)」は、2014年11月発売以降のモデル(継続生産車は2017年2月以降)から義務化。かつてはトヨタ自動車が「4-ESC(4輪エレクトロニックスキッドコントロール)」、日産自動車では「4-WAS(4輪アンチスキッド)」、本田技研工業は「4w-A.L.B.(4輪アンチロックブレーキ)」などなど、メーカーによって名称が混在していましたが、1990年代頃からは全メーカーは”ABS”に呼称を統一したことがあります。
ABSとして認定されるものとしては、「急ブレーキ時や滑りやすい路面でブレーキを踏んだ時に、タイヤのロックを防止してハンドルの操作性を確保するもの」とされています。このような制度の後、現在では当然のようにABSと呼び、ポンピングブレーキをする必要はなく、当たり前のように装備されるようになったのです。
なお、国際欧州経済委員会(ECE)が2019年2月12日、日本や欧州連合(EU)など40カ国・地域で「衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)」の導入を義務付ける規則に合意したと発表。自動ブレーキの義務化については、2020年はじめに運用開始予定となっており、2020年以降は自動ブレーキ非搭載のクルマは対象国で新車販売ができなくなる可能性もあるのです。
日本ではこれに先駆けて2018年に認定制度が導入されている「衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)」について、これまでの「静止している前方車両に時速50km/hで接近した際に衝突しない」の認定制度に歩行者の検知についての項目が追加される予定とのこと。
安全基準や安全装置性能の進化が求められ続けるクルマ。果てしないようですが、「必要は発明の母」として、必要に迫られて新たな安全装置が発明されて、世の中に広まって、なくてはならないモノになっていくものだと思われます。
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