150万ポンドの1962年式フェラーリが出火
ジャーナリストのマイケル・バーク氏は、1987年に南アフリカから帰国。2002年に、一線からは退いた。
【画像】スタイリングにもメカニズムにも魅了 ジャガーEタイプ S1 同時期の英国車たち 全120枚
それでも、2024年で34年目を迎えるBBC ラジオ4の番組は、今でも続いている。フリーランスとしても、活躍の幅を広げた。TVのリアリティ番組、「アイム・ア・セレブリティー」にも出演している。
バークが振り返る。「チャンネル4では、年金に関するドキュメンタリー番組を製作しています。その中で、オルタナティブ投資の対象として、クラシックカーを取り上げることにしました。自分も、古いクルマが似合う年齢になったと思いましたし」
「とある人物から、当時150万ポンド(数億円相当)という評価額だった、1962年式のフェラーリをお借りしました。念のため消化器を持った、リアシートに座る若い男性も一緒の状態で」
「運転席での撮影が始まってしばらくすると、フロントから煙が。ダッシュボードの下からは、小さな炎が見えました。路肩へクルマを寄せて脱出しましたが、リアシートのスタッフが慌ててボンネットを開いたことで、本格的に出火したようです」
「カメラマンは撮影を中断して、持っていたミネラルウォーターで消火に加わったんですが、撮影は続けて欲しかったですね。昔のカメラマンといえば、ウイスキーを持っていたものですが」。とバークが複雑な表情を浮かべる。
タイヤが変形しないよう、たまに走らせるだけ
彼が所有する1962年式のジャガーEタイプ S1は、ガレージから出る機会が少なかった。「タイヤが変形して固まらないように、たまに走らせるだけでした」
「ニュース番組のために、BBCの放送センターへこれで向かったこともあります。夏場は渋滞が心配ですが、それ以外は大丈夫でしたよ」
それでも数年前に、エンジンのヘッドから異音が出たことがあった。修理を依頼したのは、ジャガー・ヘリテイジ部門に所属した経験を持つ、サム・モートン氏。彼は復刻モデルの、Eタイプ・ライトウェイト・コンティニュエーションにも深く関わっていた。
現在はフリーランスの技術者。実家の農場の敷地にワークショップを構え、クラシックカーの面倒を見ている。
原因はカムフォロアー・ガイドだと判明。ヘッドを開くが、最終的にはクラッチの交換も必要になり、エンジンが降ろされた。すると、エンジンルームとスペースフレームの修理も必要な状況だった。
ここまでバラすと、当然のようにフロントサスペンションもリフレッシュ。一方を整えるなら、複雑なリアサスペンションも相応の状態にした方が理想的だった。小さなメンテナンスだとしても、特殊な設計で、本格的な作業が必要になる部分だ。
リアアクスルのノイズが小さくなく、シール類やベアリングも交換された。バークの目には望ましい状態へ映っていたボディにも、モートンの洞察力は向けられた。
全体的なボディの酸化は抑えられていた
「普段はガレージへ仕舞っていて、殆ど外は走っていなかったので、目立つような錆はありませんでした。でも、あちこち塗装がひび割れていたのは間違いありません」
彼の購入前、英国のミルレーン・エンジニアリング社がレストアしたのは、1980年代の終り。30年以上、AJB 396AのEタイプは目立った手入れが施されていなかった。その間にどの程度劣化しているのかは、モートンにとっても興味深いことだったようだ。
ボディのレストアを請け負ったのは、Eタイプを専門に扱うクレイトン・クラシックス社に在籍した経験を持つ、ポール・テイラー氏。2014年に、自身のワークショップを立ち上げたという。板金的な修理だけでなく、腐食防止に関する技術にも造詣は深い。
バークのEタイプは、酷い状態ではなかったが、湿気を招きがちな古いパテがサイドシルへ用いられていると判断。ほぼ30年間乗られていなかったことで、全体的な酸化は抑えられていることも明らかになった。
Eタイプは、現在へ至るまでに2度や3度のレストアを受けている例が珍しくない。しかし、彼のクルマは1度だけなことも判明した。
スタイリングにもメカニズムにも夢中なまま
ステアリングホイールを、バークが優しく握る。「運転に難しさはまったくありません。ダッシュボードの雰囲気と、ドライビングポジションが好きですね。モス社製のトランスミッションも、ミュートラルで一拍おけば、問題なしです」
ストレートカット・ギアが組まれる1速から、バークが巧みにシフトアップする。インテリアトリムの殆どはオリジナル。S1は新調されている場合が多く、その過程で当時のニュアンスが失われてしまうのだが、彼のEタイプは異なる。
「このラジオも、モトローラ社製のオリジナル。内部が温まるまで、少し待つ必要があります。古い番組を受信するようなものだと考えれば、気になりません」。3年間に及ぶレストアを終え、帰ってきたEタイプに彼は深く満足している。
紳士的な作業で仕上げられたこのクルマの今後へ、考えを巡らせるようになったそうだ。「ただ状態を保つだけへ戻ったら、レストアは意味のないものになってしまう。もっと乗った方が良いですよね」
「今はまだ、所有していたいと思います。でも遅かれ早かれ、売ることになるでしょう」。若々しく見えるバークの自宅には、充分に広いガレージがあり、資金的に維持が難しいわけではない。手放すのは、健康上の理由になるはず。
Eタイプのように、人生へ大きな影響を与えるほどのクルマは、今後登場するだろうか。バークは約60年前のジャガーへ、今でも特別な気持ちで接している。リスペクトを持って。レストアを経て、スタイリングにもメカニズムにも、改めて魅了されたようだ。
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