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アストン マーティン 2030年までにEV発売 ハイブリッド車と派生モデルにも注力、今後の計画は

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アストン マーティン 2030年までにEV発売 ハイブリッド車と派生モデルにも注力、今後の計画は

ベントレーから移籍の新社長が語る「未来」

英国の自動車メーカーであるアストン マーティンは、ハイブリッド車のラインナップを急速に拡大し、今後数年間でモデルのバリエーションを増やしていく予定だ。そして、2030年までに同社初のEVを発売するという。新社長のエイドリアン・ホールマーク氏が明かした。

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ベントレーの元社長であるホールマーク氏は、昨年9月にアストン マーティンのCEOに就任し、次の10年戦略の見直しに取り組んでいる。

ホールマーク氏は、アストン マーティンは「素晴らしいブランド」であり、「大きな可能性、素晴らしい株主、将来への投資、そしてこれまでにない、夢にも思わなかったような製品ラインナップ」を持っているため、同社への移籍を決意したと語った。

同氏によると、近年、高級車の購入者数が劇的に増加したことで、アストン マーティンの潜在的な市場競争力が拡大しているという。そして、今後の成功の鍵は「安定した計画」にあり、「5分毎に計画を破棄しても興奮は生まれない」とした。

アストン マーティンでの課題

2018年からベントレーに務めてきたホールマーク氏だが、アストン マーティンへの移籍について、「その機会は突然訪れた。112年ぶりに持続可能な利益を上げられるチャンスが訪れたのだ。できると信じていたので、強い魅力を感じた」と語った。

ホールマーク氏は記者団に対し、「ベントレーだけでなく、すべての高級車メーカーから戦略マニュアルを入手しているので、その目標を達成できると確信している」と自信を見せた。

「この10年から15年の間に市場は完全に変化し、高級車メーカーの見通しも変わった。10年前、20年前に遡れば、高価格帯の製品を購入する人々の数は、現在とは比較にならないほど少なかった。高級車の購入者数と富裕層は4倍に増加し、高級車市場は飛躍的に拡大した。そして、それに比例してアストン マーティンのような企業のチャンスも増加したのだ」

ホールマーク氏は、4年前にローレンス・ストロール氏率いる企業連合が買収して以来、アストン マーティンに対して行われた投資の規模にも魅力を感じたという。

「わたしが過去25年間、直接または間接的に関わってきたブランドでは、アストン マーティンが過去18か月間に実施したような製品攻勢(DB12、ヴァンテージ、ヴァンキッシュ、ヴァルキリー、ヴァルハラ、その他複数の特別モデルの発売)を試みることは決してなかっただろう」

「ほぼうまくいっていたが、すべてのクルマが発売初日から完璧だったわけではなく、遅れもあった。しかし、その意欲と支出はすべて本物だ。困難はなく、資金不足のせいでもない。真摯に取り組み、高い潜在能力を活かして業績を上げるという決意がある」

電動化計画

以前の経営陣は、電動化への道のりにおける「過渡的」技術として、プラグインハイブリッド・パワートレインを使用する計画を推進していた。メルセデスAMGとの技術提携により、間もなく登場するヴァルハラは同社初のPHEVモデルとなるが、他にも複数のモデルに同技術を応用できる。

ホールマーク氏は、電動化の道筋は「3~5年前ほど明確ではないが、全体的な方向性は間違いなく電動化に向かっている」とし、「当社のコミットメントはカーボンニュートラル、あるいはネットゼロである。しかし、そこに到達するために、ハイブリッド分野で段階的に製品を追加していくつもりだ」と述べた。

それでも、アストン初のEVは「2020年代には登場する」が、「ハイブリッド派生モデルも2035年までに追加する」という。前経営陣はEVの発売時期を2027年としていたが、ホールマーク氏はCEO就任前からその点に疑問を抱いており、具体的な時期については言及を避けた。

また、同氏は「最初のEVモデルについては、必要条件はすべて定義済みであり、そのうちのいくつかは開発を終えている」と付け加えた。アストン マーティンは、米EV企業ルーシッドの電気モーター、バッテリー制御システム、インバーターを使用する契約を結んでいる。

最初のEVは完全な新規開発になるのか、それとも既存モデルをベースにするのか、という質問に対し、ホールマーク氏は「当社の規模の企業であれば、既存のモデルを切り替えて思い切った策を取るか、ニッチ市場向けのモデルを開発して徐々に拡大していくかのどちらかになる。まだ完全に決定したわけではない。当初の計画では徐々に拡大していくモデルにする予定だったが、他の選択肢も検討している」と答えた。

今後10年間は「柔軟性」を重視したアプローチを取り、「法規制や顧客のニーズに適合する複数の選択肢を用意する」という。

2030年までは「ある程度の電動化を伴う」エンジン車が販売の大半を占め、最終的には「2035年から2040年の間に完全電動化される」との見通しだ。

「我々は抵抗しているわけではない。ただ法律を考慮し、小規模企業にとってリスクの高い時期を乗り切ろうとしているだけだ。エンジン、ハイブリッド車、EVを製造し、どれが成功するかを見極めた上で他の工場を閉鎖するような余裕はない」

ラインナップ強化

ホールマーク氏がアストンへ移籍した直後に、同社史上最大の製品攻勢が始まった。新型DB12、ヴァンテージ、ヴァンキッシュ、そしてハイパーカーのヴァルキリーを展開したのだ。

同氏はそれらのモデル展開が予定通りスムーズに進んでいないことを認め、EVは別として、さらに新しいモデルラインは2030年以降にならないと登場しないことを示唆した。その代わり、既存モデルの潜在能力を最大限に引き出すことに焦点が絞られる。

モデルバリエーションが限定的である現状については、既存顧客が他社に流れるリスクがある、と危機感を示した。ここで例に挙げられたのは、ヴァンテージのライバルであり、多数のバリエーションを展開しているポルシェ911だ。

「現在、顧客はヴァンテージ、DB12、DBXのいずれかを購入し、2年ほど所有している。これは高級セグメントにおける平均的な所有サイクルだ。つまり、2年後にはより優れたヴァンテージを買う理由が必要となり、さらにその2年後にはさらに優れたヴァンテージが必要となる。当社には、必要なライフサイクル・イノベーションがこれまでなかった。競合他社がやっているのに、当社がやっていないのであれば、成功を収めることはできないだろう」

一部のライバルブランドが200以上のオプションや追加装備を提供していることを受けて、アストンも高級オプションを大幅に拡大していく方針だ。「チタン製エグゾースト、カーボンホイール、ハイエンドオーディオなど」、追加できるオプションをすでに約100項目特定したという。

「これらを追加し、通常レベルの需要を確保できれば、年間ベースでの収益改善は大幅なものとなるだろう。さらに重要なことに、顧客ニーズへの適合という点で大きな効果が見込める」

ミドエンジン車

フェラーリに対抗すべく、アストンは近年、エイドリアン・ニューウェイ氏が設計したヴァルキリーや今後発売予定のヴァルハラなど、ミドエンジン・スーパーカーの分野に進出している。

ニューウェイ氏は現在、アストン マーティンのF1チームで働いている。ホールマーク氏は、ヴァルキリーの後継車が登場する可能性を否定しなかったが、そのような技術力の限界に挑むようなモデル開発は「7年か10年に一度」のプロジェクトだと述べた。

「他社よりもはるかに先進的なクルマを、毎年開発するだけの資金力や情熱を持つ自動車メーカーは多くない。そんなことをすれば、会社が潰れてしまうだろう」

ホールマーク氏はヴァルハラの後継車については明言を避け、そのプラットフォームは低価格車には使用できないと示唆した。

「2020年代の後半を見据えると、これはBEVの発売加速と中核となる製品ラインナップの再定義に関するものだ。高性能スポーツカーブランドとして成功するためには、ミドエンジン車が重要であることは疑いようがない」

「ヴァルハラは全体として非常に洗練されたプラットフォームであるため、手頃な価格のミドエンジン車を作るには不向きだ。そのため、全く新しいプラットフォームが必要となるが、まだ何も決まっていない。可能性がないわけではないが、まだ決定事項ではない」

また、ホールマーク氏は超限定生産の特別モデルの収益性についても言及し、ヴァルハラとフロントエンジン車のヴァンキッシュを「特別モデルを数台生産するためのベース」として使用すると述べたが、「市場が限られているため、特別モデルにばかり夢中になるつもりはない」とした。

そのような特別モデルは、「(ベース車とは)全く異なるコンセプトだが、コアとなる技術を流用している」とのことだ。

DBXへの期待

ホールマーク氏は、これまでのところ販売台数が予想を下回っているにもかかわらず、SUVのDBXに大きな期待を寄せている。ベントレーのベンテイガが発売後数年間苦戦したことに例に挙げ、DBXの認知度を高める必要があるとした。

「2018年、ベンテイガは年間3500~4000台しか売れない失敗作と見られていたが、少しの改良と多くのコミュニケーションにより、2023年には8000台近く売れるようになった」

「誰もがDBXを知っているわけではない。米国に行ってブランドと製品の認知度を見ると、高級車の購入者のうち、当社がSUVを製造していることを知っているのは40%程度だ。我々はコロナ禍のさなかにDBXを発売したが、その発売の仕方には問題があった」

「その後、DBXのポジショニングを見直し、価格設定も変更した。しかし、わたしは基本的に、高級セグメントのシェアの52%がSUVであるなら、我々にもSUVが必要だと信じている。(DBXは)まだやるべきことをすべてやり遂げたわけではない」

「今後1~3年、この分野に注目してほしい。我々はライフサイクルを通じて攻勢をかけ、人々に戻って来てもらえるようにするつもりだ。2ドア車が持つ強みを維持し、ヴァルハラのエキゾチックな魅力をさらに高めたい。スポーツカー、スーパーカー、ハイパーカーというストーリーをうまく進めていくが、SUVも成功させるつもりだ。なぜなら、素晴らしいクルマだからだ」

販売目標

昨年末、ホールマーク氏はアストン マーティンの2024年の生産予定台数を1000台削減し、約6000台に縮小した。これは年間1万3000台近くを生産するフェラーリなどのライバル企業に遅れをとっている。

販売目標について尋ねられたホールマーク氏は次のように述べた。

「ルカ・ディ・モンテゼーモロ(前社長)時代のフェラーリを見てほしい。7000台以上は決して生産しないというルールを繰り返していたが、7000台でどれだけの利益を上げているか見てほしい」

「我々はそれほど多くの利益を上げたことはない。7000台が限界だと言っているわけではないが、素晴らしい企業になるために1万3000台が必要だとは思わない。我々に必要なのは、適切な利益率、適切な台数、そして適切なコスト構造だ。皆さんが次に目にするのは間違いなく台数だが、同時に生産性とコスト構造の改善に取り組む我々の姿も目にするだろう」

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