■見てよし乗ってよし、e-BOXERも好評
近年、SUV市場では各メーカーから新型車が続々と登場し、「SUV戦国時代」と呼ばれるほどその競争は激しくなっています。
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そんななか、これまで堅調な販売台数のSUVとしてスバル「フォレスター」があるというのですが、安定した売れ行きの理由は何でしょうか。
日本自動車販売協会連合会によると、2019年のタイプ別販売台数において、SUVは51万3996台を記録しました。2018年が47万4731台だったので、対前年比で108%となっています。
そして、2020年に入ってからも各メーカーから新型SUVが続々と登場しています。2020年6月にはトヨタから「ハリアー」が、日産から「キックス」が発売され、多くの注目を集めています。
そうした新型車が注目されるなかで、安定した販売を記録するクルマも存在します。スバルの「フォレスター」も、そのうちの1台です。
2019年の新車販売台数では、全体で28位となる3万2384台を記録。直近の2020年上半期(1月から6月)の販売台数でも全体で31位となる1万1358台となっており、大ヒットとはいえずとも堅実な販売をキープしています。
では、登場から2年以上が経ったフォレスターが、このSUV戦国時代で堅調な売れ行きを誇っているのでしょうか。
フォレスターは、1997年に初代モデルが発売され、現行モデルは2018年発売の5代目となります。
現行の「インプレッサ」から導入されたスバルの次世代プラットフォーム「SUBARU GLOBAL PLATFORM」を採用しているのが特徴で、ハンドリング性や操舵性が高められています。
また、モデルチェンジでターボエンジンは廃止され、2.5リッター水平対向4気筒エンジンを搭載したガソリンモデルと、2リッター水平対向4気筒エンジンとモーターを組み合わせたハイブリッド「e-BOXER」モデルの2種がラインナップしています。
フォレスターの人気について、スバルの販売店スタッフは以下のように話します。
「フォレスター全体でいえば、デザインが非常に好評です。
先代モデルと比べ、中身は大きく変わりましたが、外見は『スバルらしさ』『フォレスターらしさ』をキープしており、初代から今までずっとフォレスターに乗っているというお客さまもいらっしゃいます。
また、安全装備などの基本的な性能が充実している点も人気です。
一方で、e-BOXERモデルに関しては、持ち味である低速域での加速が好評です。試乗される多くのお客さまから、ポジティブな意味で『想像していたハイブリッドと違う』という意見を多く頂いているため、現行フォレスターの大きな持ち味のひとつでしょう」
フォレスターのエクステリアデザインは、スバルの次世代デザインコンセプトである「ダイナミック×ソリッド」に基づき、SUVらしい力強さや信頼感が演出されています。
安全装備では、スバルの予防安全装備である「アイサイト」が全車標準装備され、「全車速追従機能付クルーズコントロール」や「車線逸脱抑制」といった先進機能が備わっています。
加えて、個人認識機能を持った「ドライバーモニタリングシステム」を設定しているのも大きな特徴です。
これは、わき見運転や居眠り運転といったドライバーの不注意による交通事故を防止するための機能で、ドライバーが一定時間以上目を閉じていたり、顔の向きを大きく外したりするなど、眠気や不注意があるとシステムが判断した場合、音や画面表示で注意喚起します。
また、e-BOXERの持ち味である低速域での高い加速性能は、さまざまな場面で効果を発揮します。
市街地では、信号待ちからのスムーズな発進といった場面のほか、低速域はモーター主導で走行するため、渋滞での燃費改善に貢献します。オフロードでは、モーター特有の瞬間的な加速能力によって、ぬかるんだ道や雪道での発進をサポートします。
見てよし乗ってよし、ついつい新型車に注目が集まりがちななかでも、フォレスターはその持ち味を確実に活かして、安定したファンを獲得しているようです。
■堅調販売の裏で芽生える、「燃費志向」という不安
先述の通り、直近では各メーカーから話題を集める新型車が続々と投入されています。それらは、フォレスターの売れ行きに影響はあるのでしょうか。
前出とは別のスバル販売店スタッフは以下のように話します。
「もちろん影響は無いとはいえませんが、そこまで大きくもありません。アイサイトを基本とした安全装備は人気ですし、デザインにおいてもフォレスター『一択』というお客さまも一定数いらっしゃいます。
しかし、e-BOXERについては、大きく意見が分かれてしまうようです。ハイブリッドといえば低燃費というイメージを持つお客さまは多いため、燃費というより走りにベクトルを向けたe-BOXERは、ハマらない方にはまったくハマりません」
e-BOXERは、販売店スタッフのコメントにあるように走りを重視したシステムのため、燃費がとくにすぐれている訳ではありません。
たとえば、2020年上半期にハイブリッドをラインナップするSUVのなかでもっとも販売台数の多かったトヨタ「RAV4」では、WLTCモードで20.6km/Lから21.4km/Lとなっています。
一方、フォレスターのe-BOXERは、WLTCモードで18.6km/Lと決して悪いとはいえませんが、競合となるRAV4と比較するとやや劣ってしまいます。
前出の販売店スタッフによれば、e-BOXERを搭載する「Advance」グレードは、販売の大部分を占める人気ぶりのようです。
今後、フォレスターは「燃費推し」の波に対抗し、これまでのような安定した人気をキープすることができるのか注目されます。
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