1920~1940年代に活躍したダヴァンツォ選手から現役のカルデロン選手まで、アルファロメオのモータースポーツの歴史を彩った女性レーサーたち
3月8日、アルファロメオは国際女性デーに際してモータースポーツの輝かしい歴史を彩った女性レースドライバーに敬意を表し、現在から20世紀初頭に活躍したアルファロメオの女性レースドライバーたちを振りかえった。
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タチアナ・カルデロン選手
コロンビアのボゴタで1993年に生まれたタチアナ・カルデロンは、2005年に国内選手権のイージー・カート・プレジュニアシリーズで優勝したのを皮切りに、モータースポーツシーンで頭角を現していく。そのわずか3年後には、アメリカのスター・オブ・カート選手権東部ディビジョンで初の女性ドライバーとして優勝を飾っている。
2017年には、ザウバーF1チームの開発ドライバーに。1年後にザウバーは彼女を開発ドライバーからアルファロメオ・レーシングのテストドライバーへと昇格させ、カルデロンはラテンアメリカ出身の女性としては初めてF1マシンをドライブした女性となった。
カルデロンはアルファロメオの現役女性ドライバーだが、1世紀以上前、第一次大戦後にも、マリア・アントニエッタ・ダヴァンツォがアルファロメオ初の女性レースドライバーとして活躍している。
タマラ・ヴィダリ選手
アルファロメオがレース界にカムバックするべく設立されたアルファ・コルセ部門は、タマラ・ヴィダリをスターダムに押し上げることにも貢献した。1992年のイタリア・ツーリングカー選手権グループNで、彼女は「アルファロメオ33 1.7クアドリフォリオ・ヴェルデ」を駆って年間チャンピオンに輝いている。
マリア・グラツィア・ロンバルディ選手/アナ・カンビアギ選手
1950年代にF1史上初の女性ドライバーとして歴史に名を残すマリア・テレーザ・デ・フィリッピスの後を追って、マリア・グラツィア・“レラ”・ロンバルディはふたり目のイタリア人女性ドライバーとしてF1に参戦し13のレースに出場した。1982年から1984年の間、彼女はアナ・カンビアギやジャンカルロ・ナッデオ、ジョルジオ・フランチャ、リナルド・ドロヴァンディとともにヨーロッパ・ツーリングカー選手権に「アルファロメオGTV6 2.5」で参戦し、輝かしい戦績を残している。
クリスティン・ベッカーズ選手/リアン・エンゲマン選手
1960年代は、「アルファロメオ・ジュリアスプリントGTA」がモータースポーツシーンを席巻した。当時がアルファロメオの歴史を数々の勝利によって彩る貴重な時代であったことは良く知られている。しかしながら、あまりよく知られていないこともある。スーパーチャージャーを積んだ「アルファロメオGTA-SA」である。当時のグループ5向けに10台が製作されたGTA-SAは、油圧駆動の遠心式コンプレッサーを採用し、220㎰のパワーで240km/hという性能を発揮。当時のレースマシンの中でも突出したパワーを誇ったが、当時アウトデルタでテストドライバーを務めていたテオドロ・ツェッコリは「何の前触れもなしに突然ブーストがかかってパワーがさく裂するので、コーナーなどでは扱いにくく予測のつかないマシンだった」と評している。このじゃじゃ馬を誰よりも上手に御したのは若いベルギー人のクリスティン・ベッカーズだった。
1968年にベルギーのウイエで開催されたレースで、彼女は誰もがコントロールすることに苦しんだGTA-SAを駆って優勝している。翌年もコンドロズ、エルブモン、ザントフォールトで入賞を果たした。しかしながらGTA-SAを飼いならしたのはベッカーズだけではなかった。トアイン・ヘゼマンのチームから「アルファロメオ1300ジュニア」でオランダの国内選手権に参戦していたリアン・エンゲマンもGTA-SAと相性が良かった数少ないドライバーのひとりだ。ちなみに彼女は後年、アルファロメオのモデルも務めた。
スサーナ・“スージー”・ラガネッリ選手
四輪のレースで唯一世界チャンピオンになった女性ドライバーと言えばスサーナ・“スージー”・ラガネッリをおいて他にない。1966年にスージーは100ccカート世界選手権でリーフ・エングストロムやロニー・ピーターソンなどのなみいる強豪を抑えて年間チャンピオンに輝いた。ラガネッリの人生はアルファロメオとは切っても切れないものだった。レーサーとしてのキャリアの終盤に彼女はアルファロメオGTAで数々のレースに出走。また、わずか12台しか生産されなかった伝説的な1967年式「アルファロメオ33ストラダーレ」を購入したひとりでもあった。
アダ・パーチェ(ドライバーネーム“サヨナラ”)選手
1950年代にはアルファロメオのステアリングを握って優れた成績を残した女性レーシングドライバーが存在した。トリノ生まれのアダ・パーチェである。約10年におよぶ彼女のレーサーとしてのキャリアの中で、パーチェは国内選手権で11回の優勝を飾っている。そのうちの6回はツーリングカーで、残りの5回をスポーツカテゴリーで優勝している。レースに出場するときパーチェは 必ず“サヨナラ”というレーサー名を使っていた。彼女は「アルファロメオ・ジュリエッタ・スプリント・ヴェローチェ」と「アルファロメオ・ジュリエッタSZ」をドライブしていた時代に頂点を極め、1958年にはトリエステ・オピチーナ・ヒルクライムレースを制している。
オデット・シコ選手
1930年代にアルファ ロメオはモータースポーツ界の主役に躍り出ていた。高いパフォーマンスを発揮したレースマシンがその立役者であったことは言うまでもないが、それ以上に伝説的なドライバーたちがモータースポーツにおけるアルファロメオの名声をさらに高めていった。当時、タツィオ・ヌヴォラーリやアキッレ・ヴァルツィ、ルドルフ・カラツィオラにレイモン・ソメールなど、錚々たるドライバーたちがしのぎを削っていた。なかでもソメールは1932年のル・マン24時間レースで「アルファロメオ8C 2300」を駆って優勝を果たしたが、同レースで「アルファロメオ6C 1750 SS」のステアリングを握って2リッタークラス優勝、総合で4位に入賞したオデット・シコを忘れてはならない。若いパリジェンヌのシコは一躍レース界で脚光を浴びるようになり、レースでのパフォーマンスのみならずパドックでのエレガントな振る舞いも注目の的であった。当時、同じフランス人女性ドライバーであったエレ・ニースともにスポットライトを浴びたふたりの女性ドライバーは、いずれもアルファロメオと人生が交差していた。
エレ・ニース選手
出生名はマリエッテ・ヘレーネ・デラングだったエレ・ニースは、レーシングドライバーであると同時にモデル、スタントウーマン、そしてダンサーでもあった。社交的な性格だった彼女は当時、ロートシルト家やブガッティ家とも交流があった。ニースはおもにヨーロッパとアメリカのモータースポーツシーンで数々の戦績を残したが、車体にスポンサーのブランド名を掲示した初期のドライバーのひとりでもある。1933年にモンツァで開催されたイタリアGPには、彼女自身が所有する「アルファロメオ8C 2300モンツァ」で参戦している。このレースはジュゼッペ・カンパーリ、バコーニン・ボルザッキーニ、スタニスラ・ツァイコウスキーがレース中に命を落とした悲劇的なレースとしても知られている。1936年にはモンテカルロで開催されたレディース・カップに出走。同年にはサンパウロGPに出場し、大クラッシュを喫している。
アンナ・マリア・ペドゥツィ選手
アルファロメオの歴史はスクーデリア・フェラーリ抜きに語ることはできない。数々の「跳ね馬」ドライバーのなかで、フランコ・コモッティ、通称「モロッカン(モロッコ人)」の妻でコモ生まれのアンナ・マリア・ペドゥツィは数少ない女性ドライバーだった。自身が所有していた「アルファロメオ6C 1500スーパースポーツ」は、彼女がエンツォ・フェラーリから直接購入したものだったが、彼女はこれを駆って様々なレースに参戦。1934年のミッレミリアでは1500クラスで優勝を飾り、戦後には「アルファロメオ1900スプリント」と「アルファロメオ・ジュリエッタ」で数多くのレースに出場した。
マリア・アントニエッタ・ダヴァンツォ選手
第一次大戦が終戦を迎えてほどなくして、バロネス・マリア・アントニエッタ・ダヴァンツォがアルファロメオからモータースポーツ界へのデビューを果たした。パイロットでありジャーナリストでもあったダヴァンツォは、イタリアのモータースポーツ界における女性レーサーのパイオニアである。彼女は1921年にブレシアで開催されたレースでアルファロメオG1をドライブして3位入賞を果たしている。ダヴァンツォは当時のモータースポーツ界で輝かしい戦績を誇っていたエンツォ・フェラーリを含む男性レーサーたちの良きライバルであった。ダヴァンツォはその後も様々なカテゴリのレースに参加し、その活躍は1940年代まで続いた。
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