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新型クラウンセダンはFR? マツダ6との共同開発説は真実か? 幻か?

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新型クラウンセダンはFR? マツダ6との共同開発説は真実か? 幻か?

 2022年7月15日に公開された16代目となる新型クラウン。2020年11月11日に中日新聞が報じた「次期クラウンはSUVに似た多目的車になり、セダンは廃止」という衝撃的な第一報とは異なり、SUV的なクラウンクロスオーバー、スポーツ、エステート、セダンが公開され、大きな話題となった。

 ただ、ベストカーwebでは、すでにセダンも合わせて開発中という情報も7月の発表数ヵ月前には入手していて、このセダンの素性については、以前から情報収集を行っていた。

新型クラウンセダンはFR? マツダ6との共同開発説は真実か? 幻か?

 その際に入手したのが、マツダが開発中のFRプラットフォームを使って次期マツダ6と新型クラウンセダンを共通化するのではないかということだった。

 新型クラウンセダンが公開され、2023年には市販化されるということから、その情報の真偽について改めて迫ってみた。

文/ベストカーweb編集部
写真/トヨタ、ベストカー編集部、ベストカーweb編集部

■マツダのFRプラットフォームはトヨタの野望のために使うことはなかった

クロスオーバー、スポーツ、エステートとは一線を画すフォルムを持つクラウンセダン

一番下の新型クラウンセダンだけ、ホイールベースが長く、フロントフェンダーアーチからフロントドア前端までの寸法が長い。これはFRならではの特徴ともいえる

トヨタ公式「新型クラウン特設サイト」で公開されている、各シリーズのボディサイズ。セダンの全長とホイールベースが一番長い

 新型クラウンの大転換は、販売店にも大きな驚きを与えたといわれている。今年に入って早い段階でディーラー向けの内見会が開かれ、参加者たちの感想は大きく分かれたという。

 狙いとしての帰納客よりも新規開拓、世界進出は理解できても、現実的に日本のマーケットで受け入れられるのかどうか、という点で販売関係者からは悲観的な声が漏れたというのだ。

マツダのラージ商品群、FRプラットフォーム+直6ユニットを採用し、早ければ2022年末にも登場予定の新型マツダ6(CGイラストはベストカー編集部が製作したもの)

 そうした声を反映したかのように、ほぼ同時期にセダンの開発も行なっているという情報が流れた。合わせて苦境が報じられていたマツダとの関係で、そのセダンはマツダ援助の一環として、マツダの新型FRとクラウンセダンを結びつけるという憶測も飛び出した。

 トヨタとマツダは2017年8月に資本提携に合意し、ウインウインの関係を目指した。

 しかしマツダの電動化の遅れから欧州の環境規制では、トヨタからオープンルールの適用を受け罰金を逃れ、北米アラバマ州のマツダ・トヨタマニファクチャリングにおける共同事業では当初の計画よりも5870億円積み上げなければなくなるなど、マツダにとっては厳しい状況が続いている。

 そのなかでのマツダのFRプラットフォームを使った新型クラウンセダンのFRモデルの誕生は夢物語ではないようにも見えた。実際にその可能性を指摘した情報もあった。

 その後、ものづくりの現場である、トヨタの開発関係者に直接聞いてみると、その答えは「NO」だった。マツダから多くのエンジニアが今トヨタに来ているというが、新型クラウンやFRプラットフォーム関係ではないという。

 水素エンジンや電動化技術、さらに多くは海外拠点におけるOEM車両開発関連などが中心で、新規のプロジェクトはないと断言する。

 当初2020年のデビューを予定していたCX-60の発表時(2022年6月24日予約受注開始、2022年9月発売予定)に、「このSUVだけでFRと直列6気筒エンジンの開発費を賄うのは厳しいのではないか」と、質問してみたが、「CX-8、CX-9などの上級モデルへ展開していくことになると思う」という答えだった。

 もともとはマツダ6の次世代モデル用としてこのFRプラットフォームと直6エンジンが開発されたものの、世界の高級SUVの潮流に押され、まずはSUVを先行させた。

 近いうちに上級サルーンなど、マツダのアッパーモデルを支えていく狙いがあるだろうが、電動化が必須のこれからの時代に、短期間でこの開発費を償却するのは相当厳しい。

 そうしたなかでの新型クラウンのマツダ製プラットフォーム説だったわけだ。クラウンブランドであれば販売台数は期待できるし、マツダとしては助かる。

 しかし、そうはならなかった。それどころではなく、トヨタにとっても次世代高級車をどうしていくかは大きな課題だったのだ。

 今回の4種類のクラウンにはそのためのチャレンジが見える。まずは2022年9月1日に発売されるメインモデル、「クロスオーバー」。このクロスオーバーはレクサスRXなどと共通のFFベースのGA-Kと呼ばれるプラットフォームを採用。リアにEVに使われる強力なモーターを備え、新しいハイブリッドの4WDとした。

 「スポーツ」はすでに2021年12月のトヨタのBEV戦略発表会で公開されたように、EVを主力とする新世代のスポーティな高級車づくりがテーマになると予想される。

 そして「エステート(ワゴン)」は、ハイランダー系のGA-Kプラットフォームを使い、基本的には直4、2.5リッターだけではなく、多様なエンジンを積めるハイブリッドとして、新たなマーケットに対応するべく開発される。

■新型クラウンセダンの最上級グレードはFCVモデル?

上がFR駆動のMIRAI(水素自動車)、下がクラウンセダン。フロントフェンダーアーチからフロントドア前端までの寸法、Aピラーの寝かせ方、ルーフ形状、フロントおよびリアのオーバーハングなどプロポーションは実によく似ている

 そして最大の注目なのが「セダン」だ。プロポーション的にも3台のほかのクラウンとは違い、完全なFRセダンである。「プラットフォームは現行モデルと同じGA-Lながら、このGA-Lの最新版はMIRAIやレクサスLSなどと共通」となるとこのクラウンセダンは、頂点に水素エンジンモデルも備えたFRセダンとなる可能性もある。

 歴代クラウンは、トヨタの持てる最新技術が投入されてきた。水素を使ったFCVはすでにMIRAIがあるが、これによりFCVが普及したかといえば、インフラ整備の遅れもあり、そうでもない。

 これをブレークスルーするためにはクラウンというビッグネームが必要と考えれば、新しいクラウンセダンの役割が見えてくる。

 レクサスLSに迫るサイズ感、黒塗りが必要とされる官公庁向けへの環境面でのアピール、古くからのクラウンファン、そうした層を取りこぼさないために、クラウンセダンがある。

 今年前半、ディーラー関係者の間でマジェスタ後継車がある、という証言が得られたが、実質的にこのクラウンセダンがマジェスタをもカバーする上級モデルとなる。

 こうしたことを総合的に俯瞰してみると、マツダのFRプラットフォームは残念ながら、クラウンに使うことはありえなかったということがわかる。

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みんなのコメント

126件
  • FRでいくならミライかレクサスのFRプラットフォームを使えばいいだけで、わざわざマツダのを使わないだろうとは思ってた
  • 車の情報で最も精度が低くて信頼できないベストカー
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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