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ガラスに塗るだけで「走りが変わる」って本気か! トヨタが開発した「不思議な」コーティングを試した

掲載 更新 250
ガラスに塗るだけで「走りが変わる」って本気か! トヨタが開発した「不思議な」コーティングを試した

 トヨタの空力エンジニアの疑問からスタート

 それはトヨタの空力エンジニアが開発中のテストカーのコンディションが日によって違うことに疑問を持った所から始まった。

ワークスに勝るカスタマイズなし! GRヤリスを完全体にするGRパーツの中身

「粘土で試作した空力パーツを樹脂で作り直すと、同じ形状にも関わらず同じ効果がでない……。さらにヘッドライトや電装品に手を入れた時に『ちょっとハンドル軽くなった!?』と感じることがありました。その原因を調べていくと『ボディの帯電』が悪さをしていたことがわかりました」。

 クルマは電装品の影響もあり「+」に帯電している。その状態で走行すると空気も「+」に帯電しているので反発力から空気の流れは乱れ、本来の空力性能が十二分に発揮できていなかったのである。

 その解決策は? クルマ側の「+」を放電させることだった。さまざまなアイテムで試した結果、アルミテープが簡単かつ効果的だとわかった。このアルミテープ、今では86(後期)を始めとするさまざまなトヨタ車に純正採用されている。

 その違いは筆者も体感済みだが、トヨタの空力エンジニアは「空気に触れるボディに直接帯電処理ができれば、より効果が出る?」と考えた。そこで生まれたのが、帯電防止効果を持つコート剤「GRエアロスタビライジングボディコート」だ。ただ、このコート剤はボディ用なのでより帯電しやすいガラスには塗ることができない。そこで新たに開発されたのが、「GRエアロスタビライジングガラスコート」である。

 今回、編集部の86に施工してその効果を試してみる事にした。作業方法は液剤をスポンジに付けガラス面に塗布→乾燥したら(5~10分後)乾いたクロスで拭き上げ……と、一般的なガラス撥水剤と何も変わらず。ちなみに説明書には「2回塗布することで帯電防止性能を発揮」とあるので、そのとおりに行った。

 ガラスコートを塗布して効果はすぐに感じられた

 その効果は? ボディコートよりは体感度は低いものの、明確な差が感じられた。施工前は車体のネジがどこか緩んでいるようなイメージで「さすがにボディがお疲れ?」という印象を受けたが、施工後は具体的に車体の上側……、ガラスエリアの部分がピタッと安定、イメージ的にはガラス面に外から適度なテンションが掛けられたように印象で、結果として車体全体がシャキッとしているのだ。その結果、より滑らかになった操舵フィールやコーナリング時のクルマの動きの連続性など、走りにもいい影響が出ていると感じた。

 ちなみに開発者によると「両方施工すると、より効果が出ますよ!!」ということなので、GRエアロスタビライジングボディコートも施工。こちらも作業は簡単で、洗車後にボディ表面の水分を拭き上げた後、ボディ表面にスプレー(ドア1枚あたり3~4プッシュ)し、水分を絞ったクロスで塗り伸ばすだけで。ちなみにボディコート剤本来の性能となるツヤや撥水性は平均的だ(笑)。

 その効果は? 単独で施工した時よりも変化度は高いと感じた。

 具体的にいうと、ステア系はセンター付近のシッカリ感や路面からの情報が解りやすくなっているし、サスペンションはしなやかさが増したことで路面追従性がアップ。前後のタイヤをより効果的に使えている印象で、結果としてフロントはノーズの入りの良さ、リヤは安心感の高さが印象的だった。

 なぜ、このような効果が生まるのか? 原理的にはアルミテープと同じだが、車体・ガラス共に帯電しにくい状態になったことで、86で活用されているエアロハンドリング……ダウンフォースのように空気で抑え込むのではなく、空気で車体を包み込むことで無駄な動きを抑えて安定感を生み出す考え方が、より効果的に働くようになったのだろう。

「空力は高速域でなければ体感できない」という人もいるが、空気の力でハンドリングをサポートする「空力操安」は今や自動車メーカーのトレンドで、定速域ではしなやか、高速域ではフラット……な乗り味を両立させる重要な技術の1つとなっているが、GRエアロスタビライジングボディコート&GRエアロスタビライジングガラスコートはそれをより引き立たせるサポートを行っているというわけだ。

 ちなみに空力とは関係ないブレーキ/シフトフィールも改善されていたが、クルマの帯電が取れたことで、本来の性能を取り戻したのだろう。

 普段乗り慣れたクルマであれば体感できるレベルだと思うが、仮に効果が感じられなくても、クルマは綺麗になっている(笑)。

 自動車メーカーが嫌う添加剤的アイテムをメーカーが開発

 そして、続いて試してみたのは「GRインジェクタークリーナー」だ。リリースを見ると「燃料タンクに注入することで、走行しながらインジェクタ、インテークバルブ、プラグ、燃料室などに付着したデポジットを除去して、新車時に近い加速性、始動性および燃費を取り戻します」とある。これだけ見る限りは他社の製品と変わらない。ただ、一般的には「余計な物は入れないで欲しい」と言ったスタンスの自動車メーカーが開発……ということは、効果に相当な自信があるのだろう。

 40~60Lに1本ということなので、満タン状態で注入。「燃料が空にならない程度まで消費することで、十分な洗浄効果が期待できます」と言うが、注入直後から変化があった。

 一番感じたのは、アクセルに対する応答性が俊敏になったことで、実用域のギクシャク感が少なくなっている。また、中速~高速の伸びも良くなっているなど、全域で眠いエンジンが目覚めた印象だ。正直、液体チューニングでここまで変化があるとは思っていなかったのでビックリだ。

 開発者に印象を伝えると「距離を重ねたクルマほど効果が体感できると思います。86の中古市場が活況を呈していますが、購入されたお客さんのちょっとした『リフレッシュプラン』として使っていただくといいと思います」と語ってくれた。

 そろそろ結論に行こう。一般的にケミカル系のアイテムは「気持ちの問題」、「プラシーボ効果」と馬鹿にする人が多いが、今回テストした商品は下手なハードの変更より効果が感じられた。あのトヨタが多くの人材、多くの施設、そして多くのテストを経て生んだ商品……本気度が違うのだ。そこには「気軽/手軽に乗り味の変化を楽しんでほしい」、そんなGRの想いが込められている。

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みんなのコメント

250件
  • アルミテープもそうだけど、施工してるのかどうか分からないようにして運転してもらって比較してほしい。
  • 静電気一つで性能が向上するなら、昔の車みたいに後ろからアース線を垂らして走ってる方が効果ありそう。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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