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人気軽自動車なぜ共同開発? 日産と三菱の業務提携が成功した理由とは

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人気軽自動車なぜ共同開発? 日産と三菱の業務提携が成功した理由とは

 2019年3月に、日産「デイズ」と三菱「eKシリーズ」が発売されました。この2車種は先代型と同様、日産と三菱の合弁会社となるNMKVが中心になって企画や開発が進められた、両社の共同開発による商品です。

左:日産新型「デイズ ハイウェイスター」/右:三菱新型「eKクロス」 しかしその一方で、先代型と異なるところもあります。先代型は三菱が実際の車両開発と生産を担当して、日産は企画や購買で参画しました。それが新型では、開発は日産がおこない、生産は三菱の水島製作所が受け持ちます。

デリカミニの実力はいかに 新型「eKクロス」はライバルより優れている?

 開発と生産をおこなうメーカーが異なるのは、とても珍しいです。ダイハツはトヨタの「プロボックス&サクシード」を受託生産していますが、両社は親子関係にあってこの流れは1969年から続いています。トヨタとダイハツに比べると、日産と三菱の結び付きは歴史が浅いです。

 また日産は、2002年に発売された初代「モコ」から軽自動車を扱っていますが、先代デイズを含めて、軽自動車を自社開発した経験はほとんどありません。日産は、新型デイズ&eKシリーズで、初めての軽自動車開発に挑み、なおかつその車両を三菱が生産することになりました。

 新型のエンジンやプラットフォームは、日産がすべて刷新したので、初めての試みが膨大にあります。メカニズムでは、運転支援機能のプロパイロットも軽自動車に初採用しています。

 eKシリーズの開発者は、デザインについて次のように話しています。

「新型の外観については、デイズとeKが違うクルマに見えるように配慮しました。先代型は似通ったクルマに見えて、幅広いお客様をカバーしにくかったからです。新型のデイズハイウェイスターとeKクロスを見ると、まったく異なるクルマに仕上がっているでしょう。

 デイズハイウェイスターのフロントマスクは、セレナハイウェイスターなどに近い印象で、eKクロスは三菱のダイナミックシールドの考え方に基づいています。デリカD:5やエクリプスクロスに似た形状です」

※ ※ ※

 ここまで違うクルマに見せるのは、かなり苦労したのではないでしょうか。この点についても尋ねました。

「新型デイズ&eKシリーズの開発は日産がおこないました。従って日産のデザインしたボディに、三菱のフロントマスクを組み込んだと考えて良いでしょう。異なるデザインを融合させるのには苦労しました」と振り返ります。

 このようなエピソードは、苦労の一端に過ぎません。開発は日産、生産は三菱と区分したために、開発から生産に移すプロセスがとくに大変だったようです。

 このときには、設計部門と生産技術部門が、設計された新型車両をスムーズに生産できるか確認します。この作業を設計が中心におこなうのか、それとも生産技術部門か、という違いもありました。

さまざまな苦労を乗り越えた日産と三菱日産の星野専務執行役員(左)、三菱の益子会長CEO(右)の両側に「デイズハイウェイスター」と「eKクロス」 今回の新型軽自動車の開発には、言葉の面においても苦労したようです。前出の開発者は次のように話します。

「頻繁に使うのは日本語ですが、日産と三菱では、同じ言葉でも意味や示している範囲が微妙に違います。そうなると話が通じなかったり、誤解を招く原因になるので、用語の統一を図りました」

 つまり同じ日本メーカーの日産と三菱の間にも「言葉の壁」があったわけです。

 その一方で、日産が三菱に助けられた部分もありました。軽自動車はクルマのなかでも特殊な商品で、全長は3395mm、全幅は1475mmで造られています。

 コストも低減しなければならず、そのためには生産するときの工程を少なく抑えることも求められます。こういった軽自動車特有のノウハウは、日産よりも三菱が豊富でした。長年にわたって軽自動車の開発と生産を続けてきたからです。

 そして前出の開発者は「日産がデイズとeKシリーズを開発して三菱が生産するためには、(日産と三菱の合弁会社となる)NMKVが不可欠の存在でした」とコメントしています。

 先に述べた通り、日産が開発して三菱が生産するには数多くの障壁があり、それを乗り越えて両社を結び付けたのがNMKVでした。

 例えば日産の開発の仕方を、生産を受け持つ三菱の水島製作所に説明するなど、NMKVは偏りのない中立的な立場で両社の意思疎通をサポートしています。

 NMKVは、先代デイズ&eKシリーズ、デイズルークス&eKスペースも担当していますが、その存在価値は、新型デイズ&eKシリーズで飛躍的に発揮されました。NMKVあっての新型デイズ&eKシリーズといえるでしょう。

 合弁会社を活用すると、複数の企業の得意分野を協調して生かすことができます。その意味でNMKVは、合弁会社が成功した注目すべきパターンのひとつです。

 とくに近年の日産と三菱は、日本国内では新型車の発売が滞りがちでした。NMKVを活用して、日本のユーザーに適した魅力的な軽自動車やコンパクトカーを積極的に投入して欲しいものです。

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