ここ近年、「日本市場を軽視している」などと指摘されてきた日産。その“ツケ”というワケでもないだろうが、2020年現在、目下の状況はあまりにも厳しい。
だが、1933年創業、間もなく90周年を迎える長い歴史の中で、日産は特に1960年代後半からの日本国内のモータリゼーションの波をけん引する意欲的で先進的なクルマを次々と送り出し続けてきた。
右側と左側で形が違う…便利でも普及せず なにが悪いんだ「非対称グルマ」列伝
1966年にはプリンス自工を吸収合併してスカイラインやグロリアなども「日産車」のラインナップに加わり、モータースポーツでの活躍を背景に存在感を増した。
再び2020年。「キムタク」こと木村拓哉氏を新アンバサダーに迎え(8月20日)、いよいよ“原点回帰”の様相を帯びてきたようにも思える日産周辺。そんな日産の名車たちを振り返り、殿堂入りモデルを決めてみたい。
まずは総合ランキング(1位~10位)、ついで総合ランキングの元となった、松田秀士、片岡英明、国沢光宏、岡本幸一郎4人の評論家による総評と個別ランキングとを見ていこう。総合11位~20位については、車名含め画像ギャラリーを御覧いただきたい。
【画像ギャラリー】いずれ劣らぬ名車揃い…!!! ベストカー『殿堂入り』の日産車たちをギャラリーでチェック!!!
※本稿は2020年7月のものです。4氏の選んだ10車をF1ポイント方式(1位25点、2位18点、3位15点、4位12点、5位10点、6位8点、7位6点、8位4点、9位2点、10位1点)で採点。同点、同順位車が出た場合は、編集部がそのなかでの順位を決定した。
文:松田秀士、片岡英明、国沢光宏、岡本幸一郎、ベストカー編集部/写真:NISSAN、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2020年8月26日号
■1位 初代フェアレディZ(1969年)
●これぞまさに“THE日産”のフラッグシップ
1位 初代フェアレディZ(1969年)
4名全員が2位か3位に入れたことで、総合1位で殿堂入りとなったS30型フェアレディZ。日産で真っ先に思い浮かぶクルマがZかスカイラインという人が多いだろう。
それまでのトラック系フレームシャシーのオープンモデルだった『フェアレディ』から一転、モノコックのロングノーズクーペスタイルを採用したZは衝撃的で、北米でも大ヒットした。
■2位 R35型GT-R(2007年)
2位 R35型GT-R(2007年)
2007年のデビューから13年たつ今も進化を続け、圧倒的なパフォーマンスを誇るGT-R。現行型は570ps/64.5kgmを誇る!
■3位 初代リーフ(2010年)
3位 初代リーフ(2010年)
2010年12月に国内での市販を開始した初代リーフは、日産が世界に先駆けて発売した量産EV。80kW/280Nmのモーターを搭載した。
■4位 ハコスカGT-R(1969年)
4位 ハコスカGT-R(1969年)
Zとともに日産のイメージを決定づけた1台。1969年、4ドアGT-Rが登場し、1971年より2ドアハードトップに変更。直6DOHC「S20」を搭載。
■5位 ケンメリスカイライン(1972年)
5位 ケンメリスカイライン(1972年)
4代目スカイラインが愛称「ケンメリ」。1972年に登場し1977年まで生産され、スカイライン史上最も売れたシリーズ。1970年代の日本を象徴する1台だ。
■6位 初代ブルーバード(1959年)
6位初代ブルーバード(1959年)
310型と呼ばれる初代は1959年登場。フロント独立懸架サス、セミモノコックボディを採用し、当時としては先進的だった。1963年、サファリラリーに参戦。
■7位 510型ブルーバード(1967年)
7位 510型ブルーバード(1967年)
三角窓を廃したシャープでスポーティなボディラインで大ヒットとなった3代目、510型ブル。フロント=ストラット、リア=セミトレの4独。
■8位 S13型シルビア(1987年)
8位 S13型シルビア(1987年)
“アートフォース”のキャッチコピーが新鮮だった。FRを堅持しクルマ好きの支持を得たが、NAのQsはデートカーとして人気だった。
■9位 R32型スカイラインGT-R(1989年)
9位 R32型スカイラインGT-R(1989年)
もっと上位に入るかと思った“サンニーGT-R”。それだけ日産には殿堂入りすべきクルマが多いということ。このクルマの詳細はいまさら説明不要だろう。
■10位 初代プリメーラ(1990年)
10位 初代プリメーラ(1990年)
FFミッドサイズスポーツセダンの初代プリメーラ。フロントマルチリンクサスは接地性に優れ、舵角に忠実にグイグイ曲がる楽しい操縦性。
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* * *
■1位GT-R これはもうブッチギリ(松田秀士が選ぶ10台)
1位GT-R、これはもうブッチギリ。超高速域のスタビリティ、トランスアクスルにすることでドライサンプにしなくても低重心で安定したコーナリング性能をこの価格で実現。性能的には3000万円級。
リーフはあの時期に世界に向けてEV投入を行った記念すべきモデル。
3位、4位は説明の必要はない。5位プリメーラはFFとしてキャビンフォワードをキーワードに欧州でもヒットした実績評価。6位スカイラインクロスオーバーは設計当初予定にないモデルを無理やり作ったのに出来上がるととても魅力的で楽しいハンドリング。技術力を直感したモデルだった。
8位ダットサントラックは商用小型トラックのルーツ。ハイラックスに値引き競争で劣勢のなか、かたくなに買い換え続けた浪速の商人を多数見てきた。
1位…R35GT-R
2位…初代リーフ
3位…初代フェアレディZ
4位…ハコスカGT-R
5位…初代プリメーラ
6位…スカイラインクロスオーバー
7位…S13型シルビア
8位…ダットサントラック
9位…510型ブルーバード
10位…2代目サニー
■日産の礎を築いたのはブルーバードだ(片岡英明が選ぶ10台)
日産の礎を築いたのはブルーバードだ。サファリラリーで勇名を轟かせ、海外でも大ヒットした3代目の510型ブルーバードの功績は大きいが、初代ブルーバードが果たした役割も大きい。前輪ダブルウィッシュボーンのサスペンションを採用し、ブレーキは日本初のユニサーボとするなど、海外市場で勝負できる実力派だった。販売記録も当時としては驚異的だ。
スカイラインを名車にしたのは3代目のハコスカだが、メジャーな存在に引き上げたのは4代目のケンとメリー。あの時代、6気筒エンジンを積む2000GTがバカ売れしたのは凄い。初代S30型フェアレディZもスポーツカーの定義を変えた不朽の名車である。R32型スカイラインも世界に衝撃を与えた。最近の作品ではEVのリーフか!?
1位…初代ブルーバード
2位…ケンメリスカイライン
3位…初代フェアレディZ
4位…R32スカイライン
5位…初代リーフ
6位…510型ブルーバード
7位…2代目サニー
8位…初代プリメーラ
9位…初代マーチ
10位…プリンスロイヤル
■日産の歴史を作ったスカイラインの意義は絶大(国沢光宏が選ぶ10台)
ハコスカは私の趣味です。申し訳ない! クルマ好きになった年代により、皆さんお好みのスカイラインは異なると思う。日産の歴史を作った意義たるや絶大! プリンス時代のS54Bが日本のクルマ好きを育てた。
もうひとつの流れがフェアレディZかと。これまたお好みでいい。私は初代のフェアレディZです。アメリカにおいて日産のブランドイメージを決定的なものにしたという点で存在意義は大きい。
さらにもうひとつの流れとしてブルーバードを挙げておく。実際に強かったのはPA10バイオレットだったものの、ラリーがヨーロッパでのブランドイメージを作り上げてます。個人的にはBe-1やPAOなどのパイクカーを1台入れたいところ。プリンスロイヤルについちゃ別格での扱いで。
1位…ハコスカGT-R
2位…初代リーフ
3位…初代フェアレディZ
4位…R35GT-R
5位…510型ブルーバード
6位…PA10型バイオレット
7位…初代シーマ
8位…S13型シルビア
9位…Be-1
10位…プリンスロイヤル
■一番スゴイのはやっぱり現行GT-R(岡本幸一郎が選ぶ10台)
50代でクルマに早熟だった筆者にとっても昔の日産はスゴかったなと、あらためて思う。「殿堂」という言葉はトヨタよりも日産のほうが似合う。これ以外にも入れたいクルマがいっぱいあったほどだ。
でも一番スゴイのはやっぱり現行GT-R。これだけの性能を実現して世界を驚かせたのはたいしたものだ。
以下は、もはや説明不要の誰しも納得の往年の名車とバブル期にもてはやされたクルマがそれぞれ何台か並んだ。順位をどうするかも悩んだけれど筆者としてはこんな感じ。
Z32は現役時代は走りの評価があまり高くなかったけど、デザインはいま見ても素晴らしい。9位には乗用車として日本で初めてターボを搭載したセド/グロを。10位は世界初の量販EVであるリーフが晴れて「電動」入り(笑)。
1位…R35GT-R
2位…初代フェアレディZ
3位…R32スカイラインGT-R
4位…ハコスカ
5位…ケンメリスカイライン
6位…S13型シルビア
7位…初代シーマ
8位…Z32型フェアレディZ
9位…430型セド/グロ
10位…初代リーフ
* * *
■まとめ
こうしてみると、日産の歴代車種ラインナップの充実度を改めて実感させられた。
R32GT-Rが9位、Z32型Zが17位、「グランツーリスモ」で一世を風靡したY32セド/グロはランク外。ローレルの名も(ファンの方は納得いかないかもしれないが)挙がっていないのだから、いかに“つわもの揃い”であることか。
その一方でスカイラインは4代目ケンメリが5位、8代目R32が12位、3代目C10が13位に入るほか、GT-Rも上位にランクインするなど、プリンス系とはいえ、日産を代表する存在だと再認識させられる思いがする。
そんななかでトップをとったのはS30型 初代フェアレディZ。1位に挙げた人はいなかったものの、全員が2位か3位に入れ、見事総合1位選出を果たした。日本のモータリゼーションに革命を起こした1台としても、ふさわしいのではないだろうか。
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