この記事をまとめると
■箱型ボディが特徴だった日産キューブ
10年落ちだから激安! 30万円以下で狙える街で見劣りしない中古コンパクトカー4選
■1998年に登場し、2020年に販売終了
■歴代キューブとキューブキュービックを振り返る
一世を風靡しつつも2020年に販売終了
「立方体」との車名通り、ユーティリティ性能を重視した箱型ボディが特徴だった日産キューブ。初代、2代目と人気車種となったものの3代目となり失速。2020年に惜しまれつつ販売終了となりました。
トヨタ・シエンタやホンダ・フリードといったコンパクトミニバンの販売は好調、ダイハツ・トール(トヨタ・ルーミー)、スズキ・ソリオといったトールワゴンが人気を集めるなか、販売終了したのはさまざまな理由があるとは思いますが「え? 販売終了??」と驚いたユーザーが多かったのではないでしょうか。
今回は、いまはなき歴代キューブを振り返っていきましょう。
初代(1998年)
「コンパクトユーティリティ/デイトリッパー」──いわゆる使い勝手がよく日常的に快適に使える道具として1998年に登場した初代キューブ。その名(立方体)の通りボクシーでトールボーイなデザインが印象的でした。
初代は2代目マーチをベースに、約200mm全高を拡大した背高キャビンを配置。パッケージを重視した新世代のコンパクトカーとして開発されています。
ライバルはマツダ・デミオやスズキ・ワゴンRワイド。いまでいうマイクロミニバンなのですが、両車より頭上空間が圧倒的に広かったのが大きな特徴です。
ベースとなった2代目マーチと比べてボクシーなデザインを採用したのは、男性ユーザーを中心に取り込む次世代のベーシックカーとして開発されたのが理由でした。
ただ、マーチをベースにしていることでフロントノーズ部を切り詰めることができなかったため、高さ以外のスペースを生み出すことに苦労したよう。Aピラーの位置を可能な限り前進させるなどで対応し、マーチから30mm長くした(ホイールベースは同様)全長3750mmなコンパクトなボディながらも、スペース効率が良い室内空間を実現しています。
ただ、スペース効率を高めることを重視した結果、弊害も……。リヤシートのヒップポイントを高めつつニースペースを広げるため後方へ移動したことで、シート両端がホイールアーチに干渉。座面幅が狭くなったことでリヤシートが2名になってしまい、デビュー時の乗車定員は4名となりました。
ユーティリティを重視したにもかかわらず4人しか乗れないことはユーザーから不評をかい、2000年のマイナーチェンジで定員が5名へと変更されています。
デビュー時、初代に搭載されたパワーユニットはCG13DE型1.3リッター直4エンジン。ベースとなったマーチにも用意されたこのエンジンをキューブ用にリファインし、最高出力などをアップさせて搭載しました。
エンジンに組み合わされるトランスミッションは、CVTとともに4速ATを用意。すべてのグレードで両トランスミッションを選ぶことができましたが、CVT仕様は排気規制値を最大限に満たしたロー・エミッション・ビークルとなっていたのが違いです。
初代は発売後、すぐに同様のコンセプトを備えたホンダ・キャパが登場したものの大ヒット。ヒットしたのは販売価格が114万8000円から(月々4500円なるCMも展開)とお手頃な値付けで販売されていたことや、角ばったフォルムがカスタム向きだったことが大きな理由といえます。
2代目(2002年)
コンパクトカーにもかかわらず圧倒的に広い室内を実現したことでヒット商品となった初代キューブ。初めてのフルモデルチェンジで2002年に登場した2代目は、初代同様“ハコ”をテーマにしていたものの、デザインテーマは「角を丸めた四角」。従来のクルマにはないモダンなエクステリアデザインを採用したことで大きな話題となりました。
そんなデザインの大きな特徴は左右で異なる非対称デザイン。右側のDピラーが左側と比べて極端に太くしたことでユニークなデザインとなりましたが、左側のピラーを細くすることで後方視界を良くするなど、非対称デザインは機能的な理由も備えていました。
また、キューブの売りとなるユーティリティ性能も大きく向上。垂直に近いサイドパネルやドア、テールゲートを用いたことで初代から全長は20mm短くなったものの、居住空間は拡大。ホイールベースが70mm長くなったことで、リヤシートのニールームは83mmも広がっています。
リヤシートは初代にはなかった220mmのスライド機構付き。リヤシートを調整することで、ラゲッジルームも最大828mmまで伸ばすことが可能でした。スライド機構を採用したことなど初代と比べ、シートアレンジが多彩になったことも2代目の特徴といえるでしょう。
パワーユニットはCR14DE型1.4リッター直4エンジンを採用。トランスミッションは4WDに組み合わされる4速ATと新開発6速マニュアルモード付きCVTが用意されていました。
2代目のトピックスのひとつが、モーター駆動式4WD「e-4WD」を搭載したこと。エンジンで前輪を駆動しながら、路面状況などに応じて後輪モーターで駆動するこのシステムは、トランスファーやプロペラシャフトがないことでスペース効率に優れ、低コスト(FF車比で約18万円アップ)で車両に搭載可能。新世代の4WDシステムとして注目を集めました。
キューブベースの3列シート車もあった!
3代目(2008年)
2008年、フルモデルチェンジで3代目となったキューブ。左右非対称デザインと横開きのリヤゲートを継承するなど、2代目のイメージを踏襲したエクステリアデザインが特徴です。
いわば正常進化となった3代目ですが、デザインの隠しテーマは「ブルドッグ」。2代目と比べて癒やし要素や温かみが加わったように見受けられます。その理由はキューブとしては初となる、グローバル展開をスタートしたことにもあるでしょう。国内外と多くのユーザーに受けるデザインへと進化させたのです。
ただ非対称デザインでネックとなるのは、海外仕様向けが左ハンドルとなること。グローバル化することで左右ハンドルに合わせ、左開きと右開きふたつのボディを作ることで解決しています。
パワーユニットはHR15DE型1.5リッター直4エンジンを搭載。トランスミッションは全車CVTとなりました。
4WDシステムは先代同様、後輪を電気モーターで駆動するe・4WDを引き続き採用。ただし、モーターの大型化や電流量やトルクをアップしCVTとの協調制御を施すなどの改良が加えられています。
キューブの特徴といえるユーティリティ性能は、2代目からさらに拡大。100mmホイールベースを延長したことでリヤシートのニールームは45mm拡大、ヒップポイントは70mm後退しています。また、後席乗員の開放感を高めるため、リヤシートのヒップポイントを前席より64mm高めたシアターレイアウトを採用しました。
2代目のインテリアも外観同様こだわられていましたが、3代目は大きく進化。ジャグジー・ラウンジをテーマにくつろぎ感にこだわったデザインを採用。また、自分の部屋でリラックスするような居心地の良さにこだわった空間に仕立てています。柔らかな透過光が室内を照らすSHOJIシェードなど、細かい工夫も話題を呼びました。
3代目はデビュー後、細かい改良やマイナーチェンジが行われましたが、2019年をもって生産終了。惜しまれながらもキューブは2020年に販売終了となっています。
キューブキュービック(2003年)
2代目キューブ登場時、ユーティリティ性能を高めたコンパクトカーだけでなく、3列シートを備えたマイクロミニバンのトヨタ・カローラスパシオやホンダ・モビリオが人気を集めつつありました。
そんな流れを受けたのか、2代目キューブの全長とホイールベースを170mm延長し、3列目シートを配した派生車のキューブキュービックを登場させました。ベースとなったキューブの個性的なデザインを崩すことなくボディを拡大したことにもこだわって開発されたことで、良くも悪くも見た目の違いは大きくありません。
同車の3列目シートは、大人が乗車するには厳しいスペースでしかありませんでしたが、ユーティリティ性能が大きく向上したのは確か。3列目シートは簡単に格納できるので、キューブより広いラゲッジスペースが活用できます。
パワーユニットはキューブに搭載されているCR14DE型1.4リッターエンジンそのまま。とはいえ大きくなったボディに合わせるべくトランスミッションは専用のチューニングが施されています。
残念ながらキューブキュービックはキューブほど売れず、3代目キューブの登場とともに販売は終了。その後、トヨタ・シエンタやホンダ・フリードなどマイクロミニバンが人気になっていきますが、3代目キューブに3列シート車は設定されませんでした。
まとめ
3代目から4代目へのフルモデルチェンジが行われないまま、ブランドが消滅してしまったキューブ。日産の業績不振やグローバル化の失敗、3代目に3列シート車が未設定などさまざまな理由があったかと思いますが、キューブ廃止は多くの人から惜しまれました。
ただ、ノートをベースとしたコンパクトミニバンが開発中との噂も。そのクルマがキューブと名付けられるかは不明ですが、どのようなモデルとなって登場するか、いまから楽しみです。
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みんなのコメント
デザインの好き嫌いは別にして、トレンドにあわせてちょっと改良すれば売れる望みはありそうに感じる。
初代は安物過ぎて色々問題有り
三代目はホンダみたいな安易な前作否定をしたばっかりにダメになった