ドラマチックなV10エンジンを積んだウラカン
ランボルギーニ・ガヤルドの後継として、2014年に投入されたウラカン。V型10気筒エンジンを搭載し、エキサイティングなパワーとシンフォニックなサウンドで、称賛を集めてきた。
【画像】今が「決断」のタイミング? ランボルギーニ・ウラカン 最新テメラリオと先代ガヤルドも 全141枚
次期モデルのテメラリオには、V型8気筒ツインターボが載る。ウラカンの価値は今後上昇する可能性が高い。もし余裕があるなら、今こそ決断のタイミングといえる。
このV10エンジンは、初代アウディR8に積まれた5.2Lユニットの改良版。だが、ヘッドと排気系に大幅な手が加えられ、血統にふさわしい傑作へ仕上がっている。
当時のフェラーリ488やマクラーレン650 Sへ対抗するため、自然吸気ながら610psの最高出力を捻出。0-100km/h加速を3.2秒でこなし、最高速度は320km/hを超える。
シザーズドアを持ち上げ、レーシングカーそのままなバケットシートへ座るプロセスだけでも、1つのイベント。戦闘機にあるようなボタンを押すと、エンジンは咆哮とともに目覚める。
エグゾーストノートは、8250rpmのレッドラインめがけて音域を高め、刺激的に変化。許される環境で没入すれば、2000年代半ばのF1マシンとイメージは重なる。
インテリアは、カーボンファイバーとアルカンターラが多用され、ガヤルドより上質。アルミニウム製の巨大なシフトパドルも、ドライバーの気持ちをそそる。12.3インチのメーター用モニターは、現代的な装備といえる。
ボディは多彩な色を選べたが、艶消しには注意が必要。維持管理は簡単ではない。
ウラカンの究極仕様はペルフォマンテ
ガヤルドからの技術的進化は数多いが、その筆頭といえるのがトランスミッション。やや変速の遅い6速セミATから、素早い7速デュアルクラッチATへ刷新されている。
電動機械式パワーステアリングにカーボンセラミック・ブレーキ、磁性流体ダンパーは標準。四輪駆動システムと相乗し、前世代を凌駕する操縦性と乗り心地を叶えている。ただし、アンダーステアと積極的な電子制御の介入は、走りの妨げになることも。
暴れ牛のようなテールスライドに興じたいなら、後輪駆動のウラカン LP580-2が望ましい。最高出力は30ps低くなるものの、フロントのドライブシャフトが省かれ、軽く機敏。思い切り興奮へ浸れる。
シャシーとパワートレインの一層の進化を求めたのが、ウラカン・ペルフォマンテ。640psへのパワーアップと1382kgへのダイエットを果たし、サスペンションとシャシーが再チューニングされ、アクティブエアロも獲得している。
ウラカンの究極仕様といえるのが、このペルフォマンテ。英国の中古車価格は強気で、17万ポンド(約3315万円)程度は準備が必要になる。
2024年でも、猛烈にエキサイティングなスーパーカー、ウラカン。安価な例では、11万ポンド(約2145万円)程度から探せる。ランボルギーニの中でも、コストパフォーマンスは最高といっていい。
V10エンジンは、今後入手困難。悲しい現実だが、未来の価値という面では、所有者を喜ばせる事実でもあるだろう。
新車時代のAUTOCARの評価は?
特に注目したいのが、その走り味。ウラカンは先代より高度な技術を搭載し、明らかにモダンなスーパーカーへ進化した。それでいて、正真正銘のゾクゾクするようなランボルギーニ。現代稀に見る、鮮烈な体験を得られる。(2014年5月7日)
オーナーの意見を聞いてみる
ギャレス・ジョーンズ氏
「これまでガヤルドを所有してきましたが、2024年4月にウラカン・スパイダーへ乗り換えています。落ち着いた色を探し、グリージョ・アンタレスという珍しいシルバーのLP610-4と出会えました。他とは違う雰囲気が欲しかったんです」
「まだ半年しか経っていませんが、今までに生じたコストは2000ポンド(約39万円)の点検整備費用のみ。英国では1年間の保証が付帯するので、正規ディーラーでの購入がベストだと思います」
「美しく、乗り心地は良いですし、高速道路での燃費は9.2km/Lと期待以上。サウンドもいうことなしです!」
購入時に気をつけたいポイント
エンジン
アイドリング時に回転が乱れる場合は、カムシャフト・センサーの不調が疑われる。交換は比較的簡単。もし原因が異なるなら、その車両の購入は見送りたい。
排気系統
純正マフラーのテールパイプ部分は、緩みがちで外れることも。しっかり固定されているか確かめたい。
ボディ
車高が低いため、ノーズリフト機能がない場合は、フロントスカートを傷つけやすい。マットカラーの塗装は、飛び石傷などの修理が大変。保護フィルムでラッピングされた例が望ましい。
ブレーキ
パッドとディスクの摩耗具合を確かめる。特にカーボンセラミック・システムは高価。
電気系統
ノーズリフト機能のモジュールは、フロントガラスの付け根から水が侵入し、故障する場合がある。修理にはユニット交換しか手はなく、予め防水対策をしたいところ。
MMIと呼ばれるタッチモニター式のインフォテインメント・システムは、不調になりがち。走行中、勝手に再起動したりフリーズすることがある。事前に試乗し、正常に動作するか確かめたい。
不調はソフトウェアのアップデートで解決できる場合も多いが、タッチモニター一式の交換へ至ることも。もちろん、安くはない。
ツールキット
標準のツールキットには、ハンドブレーキが故障した場合に、ブレーキを解除するデバイスが付属している。これが紛失していないか確かめたい。
知っておくべきこと
2019年に、ウラカンはウラカン・エボへ進化している。前期型のペルフォマンテ譲りとなる640psのV10エンジンに、アクティブエアロ、新しい後輪操舵システムなどを得たフェイスリフト版だ。スタイリングも、僅かに変更されている。
その後、サーキット走行へ特化したウラカン STOが登場。モデル末期に、オフロードを想定したウラカン・ステラートが追加された。
英国ではいくら払うべき?
10万9000ポンド(約2126万円)~11万4999ポンド(約2437万円)
基本的に状態の良い、初期のウラカンを英国では探せる価格帯。走行距離は、どれもそこまで長くないはず。クーペが中心だが、スパイダーもチラホラ。アフターマーケットの部品で、派手に改造された例は避けたい。
12万5000ポンド(約2438万円)~14万9999ポンド(約2924万円)
ウラカン LP610-4とLP580-2が中心で、スパイダーの割合いが増える。走行距離の幅はかなりあるが、いずれも状態は良さそうだ。
15万ポンド(約2925万円)~17万4999ポンド(約3314万円)
走行距離が短いウラカンを選ぶなら、英国ではこの価格帯から。走行距離はやや長めだが、ペルフォマンテや、フェイスリフト後のウラカン・エボも、少ないが含まれる。
17万5000ポンド(約3315万円)以上
素晴らしいコンディションの、ウラカン・ペルフォマンテを英国では探せる価格帯。クーペとスパイダーの両方がある。ボディカラーも多彩だ。
英国で掘り出し物を発見
ランボルギーニ・ウラカン LP640-4 ペルフォマンテ(英国仕様) 登録:2018年 走行距離:2万6500km 価格:17万4990ポンド(約3412万円)
ランボルギーニの正規ディーラーで整備を受け続けてきた車両で、保証も付帯する。保護フィルムが全面に貼られているとのことで、塗装の状態も間違いないだろう。
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