2024年シーズンMotoGPは第9戦ドイツGPでひと区切りを迎え、前半戦を終えた。ここで、シーズン前半戦を終えても苦しい戦いが続くホンダの状況を確認していきたい。
ランキングを見ていくことにしよう。チャンピオンシップのライダースランキングは、ジョアン・ミル(レプソル・ホンダ・チーム)が18番手(13ポイント)でホンダ勢として最上位である。続くのはランキング19番手(12ポイント)のヨハン・ザルコ(カストロール・ホンダLCR)、20番手(10ポイント)は中上貴晶(イデミツ・ホンダLCR)で、ルカ・マリーニ(レプソル・ホンダ・チーム)は23番手(1ポイント)となっている。
転倒と負傷、トラブル、そして兄弟揃っての表彰台…M.マルケス、ザクセンリンクの劇的結末/MotoGP第9戦ドイツGP
ちなみに、フル参戦ライダーだけを見れば、ここに21番手のアレックス・リンス(モンスターエナジー・ヤマハMotoGPチーム)が加わり、18番手以下をホンダとヤマハが独占している。
コンストラクターズランキングとしては、5メーカー中、ランキング5番手。チームランキングとしては、11チーム中、インディペンデントチームのLCRホンダがランキング10番手で、ファクトリーチームのレプソル・ホンダ・チームが11番手である。
これらの結果をあらためて確認しても驚きがないほど、2024年シーズン前半戦もまた、ホンダは非常に厳しい戦いを続けていた。ホンダの現状は、どうなっているのか。
4月1日をもって、二輪レース部レース運営室室長に、新たに本田太一氏が就任した。本田氏は二輪レース部のオフロードマネージャーとしてダカールラリーなどを率いてきた人物である。もちろん、こうした人事はすぐに変化を生むものではないかもしれない。ただ、組織、チームが人で構成されているのなら、人が変われば変わるものもあるはずだ。こうした『変更』は、3カ月経って、何らかの『変化』を生みつつあるのか。ライダーはそれを感じているのだろうか。
「チームに人がやって来た時には、彼らに、適応するための時間を少しばかり与えなければならない。彼(本田氏)はまったく異なるカテゴリーからやって来た。彼はまず、決断を下すということを考えなければならないし、その過程にいるんだ。だから、今後、彼が新しい仕事を作ることができるのか、様子を見ていくよ」
「何らかの変化を感じているか?」と尋ねたとき、ホンダ2年目のミルはそう答えた。「つまり、今のところは変化は感じていないということですね?」と確認すると、「今のところはね。でも、彼にはMotoGPに適応するための時間が必要なんだよ」と、ミルは再び時間が必要だと強調した。
ホンダ7年目の中上にも同じ質問をした。中上は「厳しい状況には変わりないですね」と言う。
「日本での動き、現場での動きや人は増えています。いろいろな人が現場に来ているし、去年と比べて様々な人が一生懸命に頑張っている、というのはものすごく感じます。それはすごくポジティブな部分ではあるんですけど、いちばん大事な結果が出ていない。究極の選択ですが、まだ去年のバイクのほうがいい部分もあるんです。みんなが今の厳しい状況を改善したいと頑張っているものの、それがうまく噛み合っていないとは感じています」
今季、ホンダはコンセッションのランクDを受けている。本来は凍結されるシーズン中のエンジンのアップデートや、フル参戦ライダーによるプライベートテスト実施が許可されている。ただ、期待したほどプライベートテストがなかった、と中上は言う。
「LCRが行ったプライベートテストはムジェロの1日だけ。レギュラーライダーたちは思ったよりもプライベートテストをしないんだな、というのが正直なところです。その分、テストチームはたくさんテストをしているみたいですが。あまり頻繁なアップデートもない。コンセッションがあるから開発がスピーディに進むと期待していたけど、あまり期待していたようなパフォーマンスにはなっていない。ちょっと残念なところはあります」
カタルーニャGP、イタリアGP以降、ホンダは大きなアップデートを行っていない。中上によれば、大きなアップデートはサマーブレイク明け。イギリスGPではなく、イギリスGPより先の数戦中になるだろうということだ。
「後半戦に投入されるという大きなアップデートがどれだけパフォーマンスの向上になるのかわからないですけど、今はそれを全員が信じて待っている、というのが現実です。それが、エアロも含めて今年最後のアップデートだそうです」
金曜日のプラクティスで転倒したミルは、「僕たちのペースは1周につき1~1.5秒遅れている。それなのに、転倒してしまうんだ。そんなことがあり得るのか?」と、激しく攻めている状況ではないにもかかわらず転倒することを嘆いていた。シーズン後半戦のアップデートは、こうした現状を改善する切り札となり得るのだろうか。
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みんなのコメント
スポンサーのレプソルか逃げていく状況で、F1に全力投球といった言い訳でホンダ撤退にならなけりゃいいけどね