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ベントレー・ベンテイガ Sへ試乗 4.0L V8ツインターボ 欧州ではW12が廃盤へ

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ベントレー・ベンテイガ Sへ試乗 4.0L V8ツインターボ 欧州ではW12が廃盤へ

馬力はそのまま シャシーをチューニング

2022年も一部の市場ではW12気筒エンジンを搭載したベントレー・ベンテイガ・スピードが売られているが、2021年に施されたフェイスリフトに伴い、欧州では提供がストップしてしまった。CO2排出量の規制強化と、それに伴う需要低下が原因のようだ。

【画像】引き締められたベントレー・ベンテイガ S 競合するラグジュアリーSUVと比較 全117枚

そこでベントレーは、ベンテイガへ「S」を追加。ベンテイガ V8へ手を加えることで、W12エンジン版へ迫る能力を与えている。ただし、パワーアップはしていない。

ベントレーの内部関係者の話では、欧州の認可申請にかかる複雑さのため、最高出力の変更は見送られたそうだ。それでも、4.0L V8ツインターボ・エンジンが発揮する549psと78.3kg-mという数字は、充分に印象的なものではある。

カタログ値によると、0-100km/h加速は4.5秒で、最高速度は289km/hに達する。ベンテイガ・スピードと比べるなら、0.6秒遅く、16km/h低い。これを実際のターゲット層はどう受け取るだろうか。

標準のベンテイガ V8からの変更で最も注目するべきポイントが、シャシーのチューニング。サスペンションは、ダンパーの減衰力を15%引き締めたという。さらにスポーツ・モード時は、よりダイナミックな走りにも応じたESCの設定が与えられている。

ベントレーがダイナミック・ライドと呼ぶ、アクティブ・システムも標準で搭載する。電圧48Vで動作するモーターの力で、アンチロールバーへトルクを加え、コーナリング時のボディロールを抑える機能だ。

新エグゾーストで音響的な豊かさを増長

オーナーとしては、見た目の差別化も重要だろう。ベンテイガ Sは、ベンテイガ V8ではオプションとなる、ブラックラインと呼ばれる艶を落としたボディトリムを標準でまとう。ドアには、控えめなSのエンブレムが張られる。

リアへ回ると、大きなウイングがテールゲートに追加され、左右に別れた楕円形の太いマフラーカッターが凄みを利かせている。アルミホイールは標準で22インチを履く。シートの背もたれにも、Sのステッチが施される。

ベンテイガの堂々としたスタイリングや全体のフォルムは、例えるなら豪邸のように風格がある。それでいて通常のV8でも、右足へ力を込めれば圧倒的な動力性能に浸ることができる。そしてこのSでは、その能力がさらに高められている。

確かにパワーアップは果たしていないものの、新しいエグゾーストシステムの獲得で、V8エンジンは音響的な豊かさを増長。アイドリング時から聴き応えがあり、通常の走行時でもゴロゴロとうなりを響かせる。

さらに回転数が高まるほど、感情を顕にするような轟音が放たれる。ただし、筆者のようなクルマ好きは好意的に聞くかもしれないが、フルスロットル時のノイズに冷たい視線を送る人もいるだろう。

休日の早朝に、ベンテイガ Sをガレージから連れ出そうとすれば、隣人にも気づかれてしまいそうだ。広い敷地の豪邸でない限り。

標準のしなやかさは維持しつつタイトに

シャシーのチューニングは良く練られており、標準のベンテイガ V8が備えるしなやかさを損なってはいない様子。北米、カリフォルニア郊外での、比較的短い時間の試乗ではあったが。

スポーツ・モード時は、細かな周期の凹凸などを通過すると、車内にエッジのある振動を伝えてしまう。かといって、不快に感じるほどではない。

コンフォート・モードを選択すれば、巨大な22インチ・ホイールを履いていても、ベンテイガ V8と同等に柔らかな乗り心地を味わわせてくれる。エアスプリングが知的に路面からの入力を吸収し、ボディを平穏に保ってくれる。

とはいえ細かいことは気にせず、ベンテイガに乗るなら、デフォルトのBモードを選ぶのが良い。ベントレーが施したチューニングは、殆どの場面で正解だと感じられるはずだ。

ダイナミック・ライドは、ドライバーに意識させることなく巧みに仕事をこなす。激しいコーナリング時は、完全にボディロールを打ち消すわけではない。ドライバーにシャシーへの負荷を感じさせるため、意図的に僅かにボデイは外へ傾く。

それでも、ボディの大きさや重さを考えれば印象的に動きは抑制され、扱いやすい。タイトコーナーでは最終的にアンダーステアへ転じるものの、そこまでの領域の高さにも唸らされる。

欧州版のトップ・オブ・ベンテイガ

8速ATは、スポーツ・モード時の減速が積極的すぎる印象。V8ツインターボのトルクは極太ながら、優しめのアクセル操作でも加速時はキックダウンし、高めの回転数を使おうとする。

ステアリングホイールにはシフトパドルが付いているが、手で弾いた反応は若干鈍く感じられた。短時間に連続してパドル操作を試みると、弾いた回数と変速の段数が合わない場面もあるようだ。

ベンテイガ S用のアルミホイールは複数用意されるが、好き嫌いが分かれるかもしれない。試乗車が履いていた5スポークでブラック塗装されたデザインは、少々純正感が足りないようにも見える。

大型ラグジュアリーSUVを選ぶようなユーザー層の場合、条件の最上位に動力性能を据える人は少ないとは思う。そう考えると、ベンテイガ Sへ施された操縦性や音響面でのアップグレードは、とても意味を持つことになる。

ベンテイガ Sの英国価格は、18万2300ポンド(約2825万円)。ベンテイガ V8から、2万4500ポンド(約379万円)ほどの価格上昇となる。その追加費用を超えるほどの内容を得たとは、いえないかもしれない。

ただし、2022年の欧州で購入できるトップ・オブ・ベンテイガをお探しなら、このSが答え。仕上がりもベストといえるだろう。

ベントレー・ベンテイガ S(欧州仕様)のスペック

英国価格:18万2300ポンド(約2825万円)
全長:5150mm
全幅:1995mm
全高:1755mm
最高速度:289km/h
0-100km/h加速:4.4秒
燃費:7.5km/L
CO2排出量:302g/km
車両重量:2416kg
パワートレイン:V型8気筒3996ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:549ps/6000rpm
最大トルク:78.3kg-m/1960rpm
ギアボックス:8速オートマティック

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