マイチェンで大きく変化したインテリア
複数の選択肢があるフォルクスワーゲン・ゴルフの中でも、GTEは興味が惹かれる存在の1つ。プラグイン・ハイブリッド版のGTIが目指されており、実際にこれまでも走りにコダワリを持つドライバーの期待へ応えてきた。それは、8代目でも変わらない。
【画像】電気で最長130km走れるHV! VWゴルフ GTE 競合クラスのハッチバックたち 全185枚
フォルクスワーゲンは、ゴルフを2024年にマイナーチェンジ。8.5代目と呼べる進化を果たしているが、GTEにも印象的な改良が施されている。英国価格は、4万300ポンド(約782万円)からに設定された。今回は、その実力を確認してみたい。
他のゴルフと同様に、スタイリングにも僅かに手は加えられたが、インテリアは大きく進化したことを実感させる。ダッシュボード上には12.9インチのタッチモニターが鎮座し、バージョンアップしたインフォテインメント・システムが稼働する。
ステアリングホイールには、実際に押せるハードボタンが復活。反応の鈍い、タッチセンサーは交代となった。車内が居心地のいい空間であることに、変わりはない。
装備は充実している。キーレスエントリーやオートヘッドライト、バックカメラなどが、ゴルフ GTEには標準で付いてくる。
歴代最強のプラグインHV ゴルフ 電気で最長130km
エンジンは1.4Lガソリンターボから、1.5Lガソリンターボへ更新。109psを発揮する駆動用モーターが、頼もしいアシストを加える。
システム総合での最高出力は、従来の245psから271psへ上昇。約10%も増強された。これにより、歴代最強のプラグイン・ハイブリッド・ゴルフになった。
駆動用バッテリーは6.4kWhも容量が増え、19.4kWhに。エンジンを回さず、電気だけで最長130kmを走れると主張される。普段使いなら、ほぼガソリンを燃やす必要がない、という人もいらっしゃるだろう。
この距離は、メルセデス・ベンツAクラスの250eで走れる距離の約2倍。最長141kmを電気だけで賄える、経済性重視のアウディA3 TFSIeやゴルフ eハイブリッドへ、迫るほどの能力でもある。
従来の充電速度は3.6kWまでだったが、アップデート後はDCで40kWにまで対応。容量が増えた駆動用バッテリーを、短時間で満たすこともできる。
GTEでは、パワートレインの制御をEモードかハイブリッド・モードから選択できる。前者は、基本的に109psの駆動用モーターだけでゴルフを走らせるモード。発進加速は活発で、即座に立ち上がるトルクを活かし、キビキビと市街地を駆け回れる。
バッテリーEVのフォルクスワーゲンID.3ほど、元気に加速するわけではない。それでも、普段使いで不満を感じることは殆どないはず。
優れた経済性と、好ましい運転体験の両立
ハイブリッド・モード時の、ガソリンエンジンとのバトンタッチは滑らか。本気を出せば、0-100km/h加速を6.6秒でこなす速さを引き出せる。ゴルフ GTIとの差は、0.7秒に留めている。
ただし、ホットハッチらしさを強調するユニットではない。1.5Lターボエンジンは、高負荷時に息苦しそうなノイズを放ち、回して気持ちいいとはいえない。
操縦性は正確。ステアリングは素早く反応し、適度な重み付けでダイレクト感が強い。程よく引き締まったサスペンションと調和するような感覚があり、積極的にカーブへ飛び込んでいける。
乗り心地とのバランスも褒められる。試乗車は17インチのアルミホイールを履いており、厚めのタイヤのサイドウォールが、路面の不整を上手に吸収していた。お望みなら、オプションでアダプティブダンパーも組める。
燃費は、流れの速い郊外の一般道や市街地、高速道路などを交えた条件で60kmほど走り、32.1km/Lが表示されていた。動力性能を踏まえると、優秀な結果だろう。
優れた経済性と、好ましい運転体験の両立を狙った、ゴルフ GTE。燃費重視ならゴルフ eハイブリッドの方が有利ではある。純粋なホットハッチがお望みなら、ゴルフ GTIがベストではある。それでも、魅力的なファミリーハッチバックだといえる。
フォルクスワーゲン・ゴルフ GTE(英国仕様)のスペック
英国価格:4万3895ポンド(約843万円)
全長:4284mm
全幅:1789mm
全高:1456mm
最高速度:230km/h
0-100km/h加速:6.6秒
燃費:281.8km/L
CO2排出量:8g/km
車両重量:1593kg
パワートレイン:直列4気筒1498cc ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:271ps(システム総合)
最大トルク:35.6kg-m/1500-4000rpm(システム総合)
ギアボックス:6速デュアルクラッチ・オートマティック(前輪駆動)
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