2022年9月26日、7代目となる新型シビック タイプRの試乗会がF1日本グランプリ直前の鈴鹿サーキットで行われた。FF市販車世界最速、「Ultimate SPORT」をコンセプトに掲げるその新型のドライビングダイナミクスはどのようなものか。テストドライブの模様をレポートする。
ノーマル比10mmダウンの全高がワイド感と迫力を演出
新型シビック タイプRの試乗会が行われたのは鈴鹿サーキットのフルコース。日本グランプリでF1マシンが駆け抜けたのと同じコースで、路面はドライ。「スポーツカーの枠を超えたUltimate Sport」を標榜するこのモデルには、申し分のない舞台設定となった。
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そんな「聖地」で対面したタイプRの伝統とも言える「チャンピオンホワイト」に彩られた新世代のシビック タイプRは、まずは予想した以上にワイド&ローな佇いが印象に残るものだった。
FFモデルとしては異例にファットなタイヤを収めるべくボディから張り出したフェンダーと踏ん張った4輪、そしてノーマル比10mmダウンの全高がワイド感と迫力を演出する。
時に「ガンダムちっく」などとも揶揄されたかつてのタイプRに比べると、新型のルックスは全般にスッキリまとめられた雰囲気。スポーツモデルゆえある程度の顕示性の強さは当然と理解しつつも、個人的にはちょっと気恥ずかしさを覚えた従来型に対し、新型にはさほど違和感を覚えることはなく「これならば街乗り/普段乗りシーンも無難にこなしてくれそうだナ」という印象を受けた。
ドアを開くとそこは心昂る空間。左右幅一杯に広がる特徴的なメッシュ状の空調吹き出し口など基本的なダッシュボードの造形は受け継いだものの、多面体形状が特徴のフロントバケットシート座面やカーペット部分が鮮やかなレッドで彩られ、さらにアルカンターラ巻きのステアリングホイールが奢られたことなどで、上質で華やかなイメージは満点。最もホットな『+R』の走行モードを選択した際のレーシーなメーターのグラフィックにも目を奪われた。
先代モデル比18%軽量を謳うフライホイールの採用で、心配したエンジン低回転域での扱い辛さは全く問題なし。アイドリング回転数+αの領域でもトルクの不足を感じさせられることはない。べース車両の出来の良さからある程度想定できたが、アルミ削り出しノブを採用のMT操作フィール、クラッチペダルに伝わるミート感やその踏力の調教レベルも「ゴキゲン」と言える仕上がりだ。
ピーク値を追わず、あえて最高出力330psにとどめる
テストドライブは前後の慣熟とクールダウンを除いて2周。プロドライバー操る先導車について行かなければならないので、必然的にサーキットパフォーマンスのチェックに終始することとなった。
同じ2Lから400psを遥かに超える最高出力を叩き出すAMG製ユニットを例に挙げるまでもなく、330psと先代比プラス10psに留まった数値は、ターボ付きエンジンとしてはむしろ控えめとも思えるもの。実際、開発陣によれば「自然吸気時代からの継続性も考え、シビックのタイプR用としては敢えてピーク値は追わなかった」と言うが、それでも十分パワフルだし速かったのは確か。
今回のようなドライ路面ではフル加速シーンでもトラクション能力に不満はなかったし、ハンドルに妙な反力やトルクステア感が伝わることもなかった。確かに、フロント2輪駆動のモデル用ということを考えれば、これ以上ピーク値を上げてピーキーな特性持たせるのは得策とは言えないのだろう。
完全舗装が施されたこのコースで今回のようなドライという条件に限れば、アクセル線形が最もレスポンシブでダンパー減衰力も最も強く設定される前出『+R』の走行モードでも跳ねたり過度のホイールスピンを起こすような状況にはならず、マッチングはなかなかの印象。ただし、一般路面やサーキットでもアンジュレーションが目立つような場面では、このセッティングはやや過激でありそう。
一方、短距離ながら本コースに入るまでの荒れた路面では、『コンフォート』のモードが望外な乗り味を示してくれた。このあたりは是非、今後の一般道走行で再度チェックをしてみたい部分である。(文:河村康彦/写真:井上雅行)
■ホンダ シビック タイプR 主要諸元
●全長×全幅×全高:4595×1890×1405mm
●ホイールベース:2735mm
●車両重量:1430kg
●エンジン:直4 DOHCターボ
●総排気量:1995cc
●最高出力:243kW(330ps)/6500rpm
●最大トルク:420Nm(42.8kgm)/2600−4000rpm
●トランスミッション:6速MT
●駆動方式:横置きFF
●燃料・タンク容量:プレミアム・47L
●WLTCモード燃費:12.5km/L
●タイヤサイズ:265/30ZR19
●車両価格(税込):499万7300円
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そして、2lとは言えランニングコストもかなり掛かるでしょうが、この車を買う人はそんなの気にならないでしょう。
購入された方は、しっかり楽しんで頂きたいです。