現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 「見たことないカワイイ車!」が、どうして“フツーの軽”になっていった? 偏愛で語るホンダ「トゥデイ」の13年

ここから本文です

「見たことないカワイイ車!」が、どうして“フツーの軽”になっていった? 偏愛で語るホンダ「トゥデイ」の13年

掲載 18
「見たことないカワイイ車!」が、どうして“フツーの軽”になっていった? 偏愛で語るホンダ「トゥデイ」の13年

「漢の軽」の時代に出てきた「カクカク欧州車っぽい軽」

 1980年代中盤の軽自動車は、それまでの随所に「角」があるようなカクカクしたデザインから、丸みを帯びたモデルに移り変わりつつありました。筆者個人的にはカクカクしたデザインも好きなのですが、メタリックカラーのモデルが多く、どことなく男っぽい印象。そんな中で、各社から登場し始めたソリッドカラーの丸いデザインの軽自動車は「新しい時代」を予感させました。

【超似てる!】トゥデイの元ネタ車?&たしかにフツーになっていった歴代トゥデイ(写真)

 中でも際立って「新しい」「かわいい」と感じさせたのが、1985年に登場したホンダの「トゥデイ」でした。

 遠目に見ると、4年前に「モトコンポ」とのセットで登場したホンダ「シティ」にもよく似たデザインですが、シティよりもはるかに背が低くてコンパクト。でも、何かそれまでの軽自動車とはまるで違うポップな印象で、まだ中学生だった筆者も街中で見かけるたびに「見たことがないかわいいクルマが出たな」とトゥデイを見ていたことを思い出します。

――なのですが、大人になり、その頃よりもはるかに知識が上積みされた自分が今、初代トゥデイを見直すとハッとするところもありました。同時期に走っていたフィアット「リトモ」(1978~)に超そっくりではありませんか。

 改めて見直してビックリしましたが、当時は日本でそう多く走っていなかったリトモのデザインを多分に真似た部分があると思います。しかしそうであっても、前例がないうえでも「欧州車的なデザイン」をいち早く取り入れ、アプローチしたという意味では、トゥデイはやはり歴史に残るモデルだったと感じます。

 トゥデイはかわいさだけでなく、居住性にも優れていました。

 エンジンスペースをごくタイトにすることでショートノーズとし、合わせてロングホイールベースとすることで、何よりも室内空間を広く取っているのが利点。また、後部座席をベンチシートとし、これを倒せばさらなる積載力も発揮します。

 それでいて、やはりどこかフィアット的なファブリックシートもかわいらしく、女性にウケないはずがないモデルだと思います。

 結果、このトゥデイの初代は発売翌年の1986年にグッドデザイン賞を受賞。後に様々な派生を生み出すことになりました。

「カワイイ路線」と「漢の路線」

 ところで、なぜかホンダは歴史的に、「初代で好評価を得たクルマ」が、以降の派生モデルなどで迷走し始める傾向があると感じています。あくまでも想像ですが、以下のような流れから来ることなのかなとも思います。

ホンダの偉い人「最近トゥデイが売れてるらしいな。グッドデザイン賞まで取って」

トゥデイ担当者「そうなんです。おかげさまで」

ホンダの偉い人「それはおおいに良いことだが、売れてるんならもっと売らないと。販売向上チームを作って、みんなの意見を反映してさらに売れるようにしよう」

トゥデイ担当者「……は、はい!」

 しかし、多くの意見を取り入れると、得てして本来の良さが薄まるのも事実。結果、「初代でみんなが評価したのは、そんなところじゃないような……」と思う方向に向かっていくことがホンダには多いように感じるのですが、これは筆者だけが思うことでしょうか。

 トゥデイは1987年にポシェットという特別仕様車が展開されますが、そのカラーは“サーティワンアイスクリーム的なミントブルー”でした。

 時代的にはもう流行りが終わりつつあったパステルカラーを採用し、ママさん向けのような路線が打ち出されました。

 一方、1988年からトゥデイは男性向けをも意識してか、初代のリトモ的なかわいい丸目のヘッドライトが廃され角目ライトになりました。トゥデイらしさが薄まり少し残念に思う一方、全車に3気筒ハイパー12バルブ新エンジンおよび新設計のオートマトランスミッションを搭載。さらにはオプションで電動サンルーフなどを選択することもできました。

 初代で評価を受けたトゥデイから、さらに「女性」「男性」双方のユーザーを取り込むべく、はっきり区分けしたモデル展開を目指していったように映ります。

 これが良いかどうかは人それぞれ感じ方が異なるはずですが、筆者個人的には、やはり初代のデザインや印象を崩さず、走行性・安全性のみをブラッシュアップしてくれていたら……とつい思ってしまうのも正直なところです。

8年目にしてフルチェン! 「え、フツー…」

 こうマイナーチェンジを繰り返していたトゥデイでしたが、ここまでの試行錯誤で明確な答えを見つけたのか、累計売上が71万台となった1993年、ついにフルモデルチェンジ。初代の面影はヘッドライトが丸目に戻った程度でしたが、コンパクトになりながらも流れるようなデザインは、「新しいトゥデイ」として十分な完成度に見えます。

 また、走行性・安全性ははるかにアップ。「軽自動車がセカンドカーとして使われている」点に着目し、コンパクトにさせたことで、積載性よりも快適な運転性能を優先させていることがわかります。トランクリッドが“下に開く”点も特徴的でした。

 初代とは大きく変わったデザインながらも、ホンダらしい優れたデザインで良いなと思うのですが、この2代目もまた「やっぱそっちに行くんすね……?」的な展開に。

 複数回のマイナーチェンジを経て、だんだ“普通の軽自動車”になっていき、1996年のモデルでは紫色になってしまいました……。今になって思えば先のミントグリーン同様、トゥデイはママさんを意識せざるを得なかったモデルのようにも感じます。

 結果的にトゥデイは1998年に姿を消すことになりました。もっともこれは軽自動車規格変更の影響であり、ホンダにおけるトゥデイのラインは、3代目「ライフ」に集約されることになりました。

 他方、いまだにコアな人気を誇るのも事実で、トゥデイをベースにしたレースが今日も密かに行われており、YouTubeなどでもその様子を見ることができます。

 特にホンダオート岡山販売によるカスタムトゥデイは、サーキットでフェラーリやポルシェを煽って追い抜く「世界最速軽自動車」と言われ、660ccにして250馬力をも発揮するオバケマシンとしても注目されています。

 こんな様々な逸話のあるトゥデイ。かつて乗っていた人も、そうでない人も改めてトゥデイの面白さに注目されてみてはいかがでしょうか。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油7円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

【ドイツ】ガソリン1Lで「100km」走れる! VWの「超・低燃費」ミッドシップクーペ「XL1」に反響あり!  800kg未満の「超軽量ボディ」採用した“爆エコ市販車”が凄かった!
【ドイツ】ガソリン1Lで「100km」走れる! VWの「超・低燃費」ミッドシップクーペ「XL1」に反響あり! 800kg未満の「超軽量ボディ」採用した“爆エコ市販車”が凄かった!
くるまのニュース
「アルファードは嫌…」 日産「高級ミニバン」どんな人が買う? 15年目の「エルグランド」 次世代プレミアムミニバン示唆も…まだ売れている理由とは
「アルファードは嫌…」 日産「高級ミニバン」どんな人が買う? 15年目の「エルグランド」 次世代プレミアムミニバン示唆も…まだ売れている理由とは
くるまのニュース
「ロービーム車検」になると多くのトラックが落ちるってマジ!? ロービーム検査の導入が伸び伸びになっている背景
「ロービーム車検」になると多くのトラックが落ちるってマジ!? ロービーム検査の導入が伸び伸びになっている背景
WEB CARTOP
「東京オートサロン2025」開幕直前!ナマで見たい、国内初披露のニューモデル9選
「東京オートサロン2025」開幕直前!ナマで見たい、国内初披露のニューモデル9選
グーネット
17年作られた小さな「救世主」 フィアット500 UK中古車ガイド 魅力は最後までブレず!
17年作られた小さな「救世主」 フィアット500 UK中古車ガイド 魅力は最後までブレず!
AUTOCAR JAPAN
トヨタ「大人気コンパクトカー」が“キャラ変”!? もはや「小さな高級車」に進化? 2代目「アクア」が初代と大きく違う点とは
トヨタ「大人気コンパクトカー」が“キャラ変”!? もはや「小さな高級車」に進化? 2代目「アクア」が初代と大きく違う点とは
くるまのニュース
【アメリカ】ホンダが新型「サルーン」世界初公開! パカッと開く「リトラ」採用した“スーパーカー”風デザイン!? 斬新すぎる「4人乗り」モデルは“2026年”発売へ!
【アメリカ】ホンダが新型「サルーン」世界初公開! パカッと開く「リトラ」採用した“スーパーカー”風デザイン!? 斬新すぎる「4人乗り」モデルは“2026年”発売へ!
くるまのニュース
爆売れしている「ミニバン」ってなに? 1位は「200万円以下」から買える“コスパ最強”モデル! 大人気な「ミニバン」ランキングトップ3とは?
爆売れしている「ミニバン」ってなに? 1位は「200万円以下」から買える“コスパ最強”モデル! 大人気な「ミニバン」ランキングトップ3とは?
くるまのニュース
スズキの超レトロな「軽クーペ・コンセプト」“LC”に「欲しい!」「これは売れる」の声! まるで“次期型フロンテ”な「2ドア×丸目2灯」モデルに反響あり!
スズキの超レトロな「軽クーペ・コンセプト」“LC”に「欲しい!」「これは売れる」の声! まるで“次期型フロンテ”な「2ドア×丸目2灯」モデルに反響あり!
くるまのニュース
ホンダ新型「フリード」なぜ“普通のシフトレバー”採用された? ハイブリッド車に備わる最新「ボタン式シフト」非搭載となった理由とは?
ホンダ新型「フリード」なぜ“普通のシフトレバー”採用された? ハイブリッド車に備わる最新「ボタン式シフト」非搭載となった理由とは?
くるまのニュース
“ワル顔”に変身! 精悍なルックスに進化したフィアットの新ミニバン「ドブロ」はレジャーに“使える”キャビン&荷室と元気な走りが融合
“ワル顔”に変身! 精悍なルックスに進化したフィアットの新ミニバン「ドブロ」はレジャーに“使える”キャビン&荷室と元気な走りが融合
VAGUE
これぞ輸入車!ブランドの“世界観”を堪能できるおすすめ中古車8選
これぞ輸入車!ブランドの“世界観”を堪能できるおすすめ中古車8選
グーネット
中古車はいまだに高価格!! 現役オーナーが初代[N-BOX]を激推しする理由を暴露!!!!
中古車はいまだに高価格!! 現役オーナーが初代[N-BOX]を激推しする理由を暴露!!!!
ベストカーWeb
2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤーに選ばれたホンダ「フリード」の魅力をあらためて考えてみた
2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤーに選ばれたホンダ「フリード」の魅力をあらためて考えてみた
@DIME
新車が100万円以下で買える! ダイハツのエントリーモデル「ミラ イース」どんな人が買う? 話題のターボ&5速MT仕様も気になる!
新車が100万円以下で買える! ダイハツのエントリーモデル「ミラ イース」どんな人が買う? 話題のターボ&5速MT仕様も気になる!
くるまのニュース
ついに5気筒エンジンが過去のものになる! ところで4気筒も6気筒もあるけど5気筒にはどんなメリットがあったのか?
ついに5気筒エンジンが過去のものになる! ところで4気筒も6気筒もあるけど5気筒にはどんなメリットがあったのか?
WEB CARTOP
6000万円超え! いすゞ新型「“精悍” エルガEV」がスゴかった! 70人乗りで画期的な「段差ゼロ」&340馬力の“静音ユニット”搭載! どんな特徴がある?
6000万円超え! いすゞ新型「“精悍” エルガEV」がスゴかった! 70人乗りで画期的な「段差ゼロ」&340馬力の“静音ユニット”搭載! どんな特徴がある?
くるまのニュース
216万円! ホンダ「6速MT&ターボ」採用の「N-ONE RS」に反響多し! 「“反転TURBOステッカー”って渋い」「スポーティでカッコイイ」の声も! 運転楽しそうな「軽ハッチ」に熱視線!
216万円! ホンダ「6速MT&ターボ」採用の「N-ONE RS」に反響多し! 「“反転TURBOステッカー”って渋い」「スポーティでカッコイイ」の声も! 運転楽しそうな「軽ハッチ」に熱視線!
くるまのニュース

みんなのコメント

18件
  • まさやん
    初代の丸目のトゥデイのデザインは世界に通用するくらい良かった。当初エンジンが2気筒だったのが残念だったな。
  • kmq********
    この時のCM曲が、ラブホテル経営で財を成す前の岡村孝子だった
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

78.581.8万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

18.0139.8万円

中古車を検索
トゥデイの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

78.581.8万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

18.0139.8万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村