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アストン マーティン 市販車にも「F1文化」活きる 技術責任者が語る次世代車開発の行く末は

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アストン マーティン 市販車にも「F1文化」活きる 技術責任者が語る次世代車開発の行く末は

ラ・フェラーリを手掛けた重鎮

1年前、アストン マーティンの最高技術責任者にロベルト・フェデリという人物が就任した。

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イタリア人のフェデリ氏は、これまでフェラーリで26年間キャリアを積み、ハイパーカーのラ・フェラーリの開発を指揮した後、BMWとFCAで経験を重ねてきた。アストン マーティンに移籍したのは、同氏がフェラーリ在籍時と同じCEOに就任するアメデオ・フェリサ氏と同時期であった。

フェデリ氏がアストン マーティンの最高技術責任者として約800人のエンジニアを統括し、初めてリリースしたのが新型DB12である。

AUTOCARは彼に独占インタビューを行った。

――1年前に移籍したとき、ローレンス・ストロール会長からどのような説明を受けましたか? また、最初の経験をどう受け止めたのでしょうか?

「ブランドの新しいDNAに従って製品を変えるように、というのがローレンス(会長)からの指示でした。このブランドの『intensity.driven.』という新しい定義は、技術や車両部品の仕様の面で、より明確に定義する必要がありました」

「チームは1年前に、若い才能をうまくミックスして作られました。アストン マーティンには若く有能な人材がたくさんいますが、わたしは彼らの意見に耳を傾け、開発、プロセス、製品に新鮮さを与える機会を与えてきました。すでに豊富な経験を積んでいる人たちと一緒に、若い才能と経験で面白いチームを作っています」

「今年のわたしの目標は、このチームがベストを尽くし、互いに話し合い、政治や時間の浪費をせずに製品について考え、日々飛躍して改善していくことです」

「これはF1チームの文化であり、毎日、競争相手より10分の1秒速くなるために努力するのです。また、自分たちは単なる島と考えるのではなく、周囲を見渡し、ライバルと比較することで、ベストを目指すようになったのです」

「わたし達は、これからたくさんの製品を発表します。わたし達が製品、方法論、プロセス、共同作業で学んだことはすべて、これから登場するさまざまな製品に反映されるでしょう」

若い才能の育成 ブランドの魅力

――未来の才能を育てることは、あなたにとってどれほど重要ですか?

「わたしの目標は、純粋なアストン マーティンの若い才能を磨き、伸ばすことです。彼らが5~7年後に製品開発をリードしてくれることを願っています。アストン マーティンでは、以前はさまざまなリーダーがいましたが、次の新しい技術責任者はアストン マーティンから誕生するでしょう」

「第二の目標は、アストン マーティンの未来を守るために、強力で有能な技術者チームを作ることです」

――アストン マーティンのどこに魅力を感じたのでしょうか?

「これほどエキサイティングなプロジェクトは、世界でも他にないと思うんです。過去を尊重しながら、ブランドは全く違う方向に向かっていく。適切な製品と収益性が必要であり、約束したことを実現しなければならない。それが、ローレンス・ストロールのもう1つの目標です」

「それを実現すれば、会社は完全に変わります。そうすれば、株式の価値も上がり、思い通りのビジネス展開ができるようになります」

「わたしがローレンス・ストロールの提案を受けた理由は、会社の価値を高めるために、価値創造に貢献したいからです」

「スポーティな高級車ブランドにとって、価値は製品と非常に密接な関係にあります。適切な製品があれば、価値を生み出すことができる。製品を作って売り、お客様を満足させてまた買ってもらうことで、より多くのお金を得ることができるのです」

――なぜ、DB12から自社でソフトウェア開発を行うようになったのですか?

「そうせざるを得ないのです。そうしないと、管理できないマーケットがたくさん出てくる可能性がある。そして、他の誰かに導かれ、他の誰かに管理されるのです。すべてのメーカーがそうしています。わたし達は最後の1社です。しかし、やらなければならないのです」

「これは、わたし達が抱える最大の課題の1つと言えるかもしれません。英国でソフトウェアに携わる人の数は決して多くはなく、人材の確保に苦労しています。大学やスタートアップ企業と協力し、最高の人材を確保するための協定を結んでいます」

「長い道のりです。今までに雇いたいと思っていた人たちの50%を雇いました。少なくとも100~150人の人材が必要ですが、英国では優秀な若者を見つけるのに苦労しています。ソフトウェアはすべてのビジネスにとって重要なので、誰もが彼ら(ソフトウェアエンジニア)を求めているのです」

メルセデス・ベンツ、F1チームとの関係

――メルセデス・ベンツとの関係はどのように発展していくのでしょうか?

「メルセデスは今でも(実質的な)株主であり、わたし達にとって重要な技術パートナーです。このようなパートナーシップは、以前よりも少なくなることはないでしょう。ベースとなるエンジンと技術をメルセデスから提供してもらい、エンジンのパーソナライゼーションを進めています」

「メルセデスがいなければ、ICEの次の課題であるユーロ7(排出ガス規制)への対応も大変になってしまうかもしれません」

「同時に、メルセデスは単にエンジンだけでなく、電気アーキテクチャのベースでもあるのです。(DB12では)ベースとなるメルセデスのアーキテクチャに、新しいコンポーネントを組み込んでいきました。この協力関係は、今後も続くでしょう」

――アストン マーティンのミドエンジン車プロジェクトは、どれほどエキサイティングなのでしょうか?

「非常にエキサイティングです。イタリアでの最後の経験はラ・フェラーリでした。わたしにはその経験があります。DB12は始まりであり、とても重要なものです。コンポーネントだけでなく、DNAやブランドの過去への位置づけも含めて、まったく異なる製品になります。このDNAを固め、それに従って新しい製品を考えていきます」

――今後のアストン マーティンの製品間の一貫性はどのように確保するのでしょうか?

「トイレの質、食堂の食事、人、開発者、販売する人など、会社のすべてが一貫している必要があります。次のクルマを作るときも、一貫性がなければならないのです」

「過去は過去ですが、当社の会長は方向性と会社に求める結果を明確にしています。わたし達は明確な方向性を持って動いているのです。手に入れなければならない目標に対して、違う方向に進んでいる日は1日もありません」

――アストン マーティンF1チームとは、どの程度密接に連携しているのでしょうか?

「F1での経験やスキルをたくさん使っています。共同作業の大半は、F1シミュレーターでのエアロダイナミクスとビークルダイナミクスといった分野です。また、エネルギーマネジメントについてもそうですね。彼らはEVやカーボンファイバーに関する経験も非常に豊富です」

「さらに、フェルナンド・アロンソは、(市販車の)性能にも興味を持つ非常に数少ないF1ドライバーの1人です」

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