中身も外観もすべてが変わる
執筆:Felix Page(フェリックス・ペイジ)
【画像】王道にして一流【次期BMW 5シリーズのプロトタイプを写真で見る】 全114枚
翻訳:Takuya Hayashi(林 汰久也)
7代目となるBMW 5シリーズは、2023年半ばに7年の歴史に幕を閉じる。その後継モデルは、EV化により技術的にもスタイリング的にも根本的な変化を遂げる。
最も注目すべき点は、エンジン、ハイブリッド、完全EVがそれぞれ用意されることだ。これは、2030年末までにプラグイン・ハイブリッド車と完全EVを700万台販売するというBMWの目標に沿ったものである。
2023年に新型5シリーズが発売される頃には、X1や7シリーズのEVバージョンをはじめ、BMWグループ全体で12台の完全EVをグローバルに展開する予定だ。
次期5シリーズは、現行モデルよりもシャープなデザインのフロントエンドとルーフラインを採用する見込み。プラットフォームは、一部モデルを除くほとんどの現行BMWに採用されているCLARを進化させたものになる。
CLARプラットフォームは、エンジン車、マイルド・ハイブリッド車、プラグイン・ハイブリッド、完全EVの各パワートレインに対応し、後輪駆動と4輪駆動のレイアウトが可能。電動化に向けたラインナップの多様化というBMWの戦略を支えるものだ。
幅広いパワートレインの選択肢
「G60」というコードネームで呼ばれている次期5シリーズは、BMWの「パワー・オブ・チョイス」戦略に基づき、さまざまなパワートレインが搭載されることになる。
2.0Lまたは3.0Lのプラグイン・ハイブリッドの導入も期待できる一方、4.4L V8エンジンを搭載したM550i xドライブの存続は不透明だ。M550iは、540iとM5の間に位置するモデルであり、搭載するツインターボのN63ガソリンエンジンの歴史は、2008年に発売された初代X6までさかのぼる。基本設計が古く、排出ガス規制のユーロ7に適合させることは困難だろう。
M550iの後継モデルとして考えられるのは、545eの改良版である。545eは3.0L直列6気筒エンジンと108psの電気モーターを搭載するPHEVで、合計で393psと61kg-mを発揮する。BMWは以前、CLARベースのPHEVには最高出力204psの電気モーターを搭載できると述べており、M5の下に500ps程度のPHEVが設定される可能性がある。
M5自体は、ライバルであるメルセデスAMG E 63と同様に、次期モデルにPHEVを導入するとの見方が強い。その場合、AMGの電動ターボ4気筒よりも大きいガソリンユニットを搭載することになる。
BMWの開発責任者であるクラウス・フレーリッヒは、2025年までは完全EVのMモデルは登場しないと述べている。電動パワートレインとそれに対応するプラットフォームでは、現在のMモデルの性能水準に達するには重すぎるようだ。
M5 PHEVは、S63ツインターボV8エンジンと200psの電気モーターを組み合わせて、750s程度の出力を実現すると言われている。ハイブリッド・パワートレインの重量増を相殺するほどの大幅なパワーアップになることは間違いない。
ハイパフォーマンスモデルは?
5シリーズのラインナップの最上位には、新型i5をベースにした完全電動パフォーマンスモデルの席が残されている。
CLARプラットフォームには、リアアクスルに2基、フロントに1基の計3基の電気モーター(合計出力800ps)を搭載することができる。そうなれば、はるかに重い「i5 M」でも、現行のM5コンペティション(最高出力625ps)を直線で追い越すことができる。
フレーリッヒは、EVのトラクション・コントロール・システムは簡単に設定できるため、機動性とレスポンスが同等になるとの見方を示した。
「コントロールは、現在のM4よりも100%速くすることができます。5度、10度、さらには45度までスリップするドリフトモードも簡単に設定できます」
i5のデザインは、通常の5シリーズとは異なり、クローズド・グリル、専用ホイール、そして専用のリアエンドが採用される見込みだ。
ラインナップとしては、新型i4と同様に後輪駆動と4輪駆動が選択可能で、エントリ―モデルのi5 eドライブ40(340ps)からツインモーターのM50 xドライブ(543ps)まで幅広く用意されるだろう。
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みんなのコメント
現行モデル、もう7年も経つのか。
ある程度のクルマ好きでも、「3シリーズと思いきや、なんか大きめだから5か」とか、その程度の興味・認識が多そう。
逆に、10年落ちの先代5シリーズ乗っていても、周囲には古いとすら思われないかも。