この記事をまとめると
■アメリカではレクサスのフルサイズSUV「TX」が人気だ
【試乗】高級ブランド車で悪路を攻める快感!! GXはオフロードでもレクサスっぷり全開だった
■「TX」は社会的地位の高い人に好まれる傾向にある
■日本では3列シートSUVは人気がないので導入の可能性は低そうだ
日本未販売モデル「TX」がアツい
2024年11月22日から12月1日の会期で開催された、「ロサンゼルス・オート・ショー」に先立ち、11月15日にレクサスのフルサイズ・クロスオーバーSUVとなる「TX」の2025年モデルにてスポーティモデルとなる「Fスポーツ・ハンドリング」が追加設定された。
TXというのは日本国内では聞きなれないモデルだ。それも当然で、同車はトヨタブランドでハイランダーのロングホイールベースモデルとなる、「グランド・ハイランダー」をベースとした北米向けクロスオーバーSUVだからだ。2023年6月に世界初公開され、同年10月に2024年モデルが発売となっている。
米国トヨタ販売の統計によると、2024年1月から9月までのアメリカ国内での累計販売台数は2万1315台となり、RX(8万3341台)、NX(5万3515台)、ES(3万284台)に次ぐ形で、発売して間もないのにブランド内4位の販売台数を誇る人気モデルとなっているのだ。筆者がTX発売後、2024年9月末に南カリフォルニアを訪れると、街なかでも頻繁に見かけ、た。
ちなみにベースとして紹介したグランド・ハイランダーの2024年1月から9月までの累計販売台数は5万5410台となり、ベースのハイランダーが7万7287台となるので、「ハイランダーシリーズ」とすると、13万2697台となり、トヨタブランド内で4位の販売台数となる人気モデルとなっている。
その昔アメリカでは、「お母さんのクルマ」の代表はステーションワゴンであった。その後ミニバンへシフトしていったのだが、生活臭が強すぎるということもあり、いまでは3列シートを備えるフルサイズ・クロスオーバーSUVがお母さんのクルマとなるなど、ファミリーカーとして人気を博しているようだ。
レクサスTXとトヨタ・グランドハイランダーの関係は、アメリカにおけるトヨタ・カムリとレクサスESとの関係に似ているともいえる。
アメリカでは車種でその人の地位がわかる
アメリカでは、トヨタ・カムリ、ホンダ・アコード、日産 アルティマのクラスが日本でのカローラセダンのようなポジションとなり、お父さんの通勤用車などとしてよく売れていた。ここ最近はクロスオーバーSUVの人気が高まり、カムリなどに代わり、トヨタRAV4、ホンダCR-V、日産ローグ(日本でのエクストレイル)がよく売れるようになっている。アメリカにおけるSUVは、2列シート車がパーソナル、3列シート車がファミリーユースとしてかなり明確に購買層が異なっているとも聞いている。
トヨタブランドであるカムリは、企業における課長さんのような中間管理職の人などが好んで通勤用として乗っていたとのこと。そして、部長に昇進するとレクサスESにアップグレードすることがよくあったようだ。部長になれば専用個室が与えられるなど、社内での待遇もガラリと変わり、当然収入もアップする。
アメリカではローンやリースで新車を所有することになるので、課長職ぐらいの立場ではレクサス車がほしいと思ってもなかなか融資の審査がとおらないのだが、部長になるといきなり審査がとおりやすくなるようである。
アメリカではこのような事情から、身の丈にあったクルマにしか乗ることができないので、カムリからESへの乗り換えは、その人の社会的ステータスがアップしたこともアピールすることになるのである。
「レクサスのなかでもESはとにかく売りやすいモデルでした。とにかくほしいという気もちも先行しているのか、値引き交渉などもほぼなく、すぐに契約がもらえました」とは、かつて南カリフォルニアのレクサスディーラーでセールスマンをしていたA氏。
このカムリとESの関係のようなものが、グランドハイランダーとTXでも構築されているものと考えれば、それがTXがよく売れている背景のひとつなのではないかと筆者は考えている。
トヨタは、「バリューフォーマネー」的なクルマ作りにとくに長けたメーカーであり、そのためTXもFスポーツを除けば6万ドル前後(日本円に換算すると約930万円)でありながら、そのパフォーマンスや質感は確実にそれ以上のものとなっており、ハイランダー系と比べても明らかに「格の違い」が感じられるところも人気を高めているように見える。
日本国内ではLBXの人気が高まっているが、LBXもボディサイズの違いはあるものの、同サイズトヨタブランド車に比べれば、1.5倍ほど価格が高いだけで得られる高級イメージがそれ以上というところで人気が高まっているものと感じている。
ちなみにアメリカにおいては、TXよりESのほうが販売台数が多いのだが、これは多くのレクサスディーラーにおいて、点検・整備代車としてESを用意しているところも大きいので、純粋な小売りではTXのほうが多いのではないかと考えている。
「日本でもTXを……」という話が出てもおかしくないのだが、残念ながら日本国内では3列シートのクロスオーバーSUVをファミリーカーとして使うというニーズはそれほど多くないし、価格的には超高級ミニバンのLMが見えてくるあたりになりそうなので、それならLMを選ぶ……という流れが目立つことが予測できる。したがって、国内導入はあまり期待できないものと考えている。
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みんなのコメント
でもTXが導入されればレクサスではGX並みの需要は有ると思うけどね